【アパートオーナー専用】シロアリ対策|初動対応・費用・予防まで完全網羅

facebookでシェアする Twitterでシェアする このエントリーをはてなブックマークに追加する LINEでシェアする

アパートのシロアリは、単に「虫が発生した」という問題にとどまりません。
放置すると、土台や柱といった建物の構造部分が内部から食い荒らされます。その結果、耐震性の低下、床の沈み、入居者トラブル、空室長期化、さらには資産価値の大幅な下落といった深刻な問題へ発展するおそれがあります。

特に賃貸経営では、シロアリ被害の初動対応が遅れるほど、被害の範囲と修繕費用が大きくなります。駆除で済む段階を逃すと、土台や柱の交換といった大掛かりな工事が必要になり、費用は数十万円から数百万円規模へ膨らんでいきます。

また、シロアリは床下など目に見えない場所で被害が進むため、羽アリの発生など表面に症状が出た時点で、すでに被害が広がっているケースもあります。だからこそ、入居者様からの報告を受けた際に、正しい手順で速やかに調査・駆除へ動くことが重要です。

本記事では、アパートでシロアリが発生した際に、オーナーとして何を優先し、どの順番で対応すべきかをわかりやすく整理して解説します。


目次

1. 初動対応(発見直後にやるべきこと)

シロアリ(羽アリ)が見つかった際に最も大切なのは、被害の全体像をつかむことです。「すぐに殺虫剤で駆除しようとすること」よりも、まず状況を正確に把握することが大切です。市販の殺虫剤を安易に撒くと、シロアリが薬剤を避けて別の場所へ移動し、かえって被害範囲を広げてしまうことがあるためです。

なお、対応の流れは、管理会社に委託している場合と自主管理の場合で異なります。管理会社委託時は、まず入居者様から管理会社へ連絡が入り、管理会社が状況をヒアリングしたうえでオーナー様へ報告し、オーナー様が調査・駆除の可否や進め方を判断するのが一般的です。

1.1.管理会社に委託している場合

管理会社に委託している場合は、入居者様が管理会社へ直接連絡を入れ、管理会社が一次対応を担います。オーナー様は、管理会社からの報告を受けて、床下調査を実施するか、駆除業者を手配するかを判断します。

Step 1:入居者様から管理会社へ連絡、管理会社が状況ヒアリング

まずは、羽アリや虫を発見した入居者様から管理会社へ連絡していただき、管理会社が状況を丁寧に確認します。発生した場所(水回り・窓際・玄関など)、発生時期、数量、羽アリか通常のアリか、木くずのようなもの(蟻土)や床のふわつきがないかを聞き取り、被害の可能性を把握します。

Step 2:管理会社からオーナー様へ報告、調査・駆除の可否を判断

状況確認の後、管理会社からオーナー様へ発生状況と現場の様子を報告します。オーナー様は、その内容をもとに、床下調査を実施するか、すぐに駆除業者を手配するかを判断します。多くの駆除業者は床下調査を無料で行っているため、シロアリの疑いがある時点で調査を依頼するのが基本です。その後の対応は、管理会社が継続して窓口となり、業者手配まで担うケースが一般的です。

1.2.自主管理の場合

自主管理の場合は、オーナー様ご自身が入居者様対応から業者手配までを担うことになります。そのため、連絡の優先順位を明確にし、被害拡大を防ぎながら、落ち着いて段取りよく進めることが重要です。

Step 1:入居者様への謝罪と状況ヒアリング

まずは、羽アリや虫が発生した入居者様に対して、速やかに連絡を取り、不便をかけていることへのお詫びと状況確認を行います。発生場所、発生時期、数量、床のふわつきや建具の立て付け不良の有無などを聞き取り、被害の程度を把握します。

この段階では、原因を断定したり、安易に「大したことはありません」と伝えたりするのは避けたほうが無難です。まずは、現在の不快感と不安に対して誠実に対応する姿勢を示すことが大切です。必要に応じて、写真や動画の送付を依頼し、記録を残しておきます。

Step 2:被害拡大を防ぐ応急対応(羽アリの回収・写真記録・殺虫剤は使わない)

次に、現場で可能な範囲の応急対応を行います。室内に出た羽アリは、掃除機で吸い取るか、粘着テープで回収するよう案内します。前述のとおり、市販の殺虫剤を大量に撒くことは、巣の移動や被害範囲の拡大につながるため避けた方がいいです。

あわせて重要なのが、証拠の記録です。羽アリの姿、発生場所、蟻道(土のトンネル状の道)や木くずの様子を写真に残しておくと、業者の調査や、後の保険・保証の確認がスムーズになります。羽アリの実物を数匹、透明な袋などに残しておくと、シロアリか通常のアリかの判別にも役立ちます。 

Step 3:シロアリ駆除業者へ連絡

応急対応の後は、速やかにシロアリ駆除の専門業者へ連絡し、床下調査を依頼します。シロアリ被害は、床下・土台・柱・壁の内部など、目に見えない場所で進行していることが多いため、表面的な症状だけで判断しないことが重要です。

この際、発生状況の写真、入居者様からのヒアリング内容を整理して共有すると、調査がスムーズになります。自主管理では対応の遅れがそのまま入居者様の不満につながりやすいため、謝罪・応急対応・業者連絡をできるだけ早く一連の流れで進めることが大切です。

※自主管理で全て対応するのが困難だと思われたなら、このタイミングで管理会社を探して依頼するのもありです。弊社にご依頼いただければ、目の前のシロアリの問題も含めてスムーズに対応させていただきます。


2.調査から駆除・修繕までの流れ

シロアリの初動対応が終わったら、次に重要なのは被害範囲を正確に特定し、適切な駆除工法と修繕方法を選ぶことです。シロアリは、見えている箇所だけを駆除しても、巣や被害範囲が残っていれば再発することが多いため、床下調査から駆除、被害箇所の修繕、完了確認までを一連の流れとして進めることが大切です。 

Step 1:床下調査の実施(蟻道・食害・湿気の確認)

まずは、専門業者による床下調査を実施します。床下に潜り、基礎や土台に蟻道がないか、木部に食害の跡がないか、湿気やカビの状況はどうかを確認します。多くの業者は調査と見積もりを無料で行っており、調査時間は12時間程度が目安です。

調査の際は、口頭の説明だけでなく、床下の写真付きの調査報告書を必ず受け取るようにします。どこにどの程度の被害があるのかを写真で確認できれば、工事範囲や見積もりの妥当性を判断しやすくなります。

Step 2:被害範囲の特定と駆除工法の選定(バリア工法・ベイト工法)

調査結果をもとに、被害範囲と駆除工法を決めていきます。シロアリ駆除の工法は、大きく2種類あります。

バリア工法は、床下の土壌や木部に薬剤を散布・注入し、薬剤の層(バリア)でシロアリの侵入と活動を止める方法です。即効性があり、費用も比較的抑えられるため、被害が確認された場合の標準的な工法です。薬剤の効果はおおむね5年間持続します。

ベイト工法は、建物の周囲に毒餌(ベイト剤)を設置し、シロアリに巣ごと持ち帰らせて根絶する方法です。薬剤を撒かないため居住環境への影響が小さい一方、効果が出るまで23ヶ月かかり、継続的な対応が必要になるため、バリア工法より割高になる傾向があります。

 Step 3:見積もり取得と工事内容の確認

工法の方向性が決まったら、見積もりを取得します。金額だけでなく、施工範囲、使用薬剤、保証内容(年数・再発時の対応)まで確認することが大切です。被害が土台や柱に及んでいる場合は、駆除とあわせて補強・交換工事の見積もりも取り、駆除と修繕をセットで検討します。

目先の費用を抑えることだけを優先すると、再発リスクが残り、結果として余計な出費につながることがあります。複数社から見積もりを取り、工事内容の差を比較するのが基本です。 

Step 4:駆除・修繕工事の実施 → 完了確認と保証書の受領

工事内容が固まったら、駆除・修繕工事を実施します。工事中は、入居者様への事前案内や工期の共有、薬剤のにおい・騒音への配慮が欠かせません。床下作業が中心のため、居住中でも実施できるケースがほとんどですが、室内の点検口を使う場合は入居者様の立ち会い調整が必要です。

工事完了後は、施工箇所が適切に処理されているかを必ず確認します。施工前後の写真や完了報告書を受け取り、あわせて保証書(一般的に5年保証)を必ず受領して保管します。保証書は、再発時の無償対応だけでなく、将来物件を売却する際に「防蟻処理済み」を示す資料としても重要です。


3.アパートのシロアリ被害の主な原因と発生しやすい箇所

シロアリは、どこからともなく突然現れるわけではありません。多くの場合、地中から床下に侵入し、湿った木材を求めて建物内部へ被害を広げていきます。つまり、シロアリが発生しやすい建物には、「湿気」と「エサとなる木材」という共通の条件があります。

そのため、シロアリが発生した際は、駆除だけで終わらせるのではなく、なぜ発生したのかという原因を把握し、環境ごと改善することが再発防止につながります。

 3.1.床下・土台の湿気(換気不良)

シロアリ被害の最も代表的な原因が、床下の湿気です。床下の換気口が物や植栽で塞がれていたり、地面からの湿気が溜まりやすい立地だったりすると、床下の木材が常に湿った状態になり、シロアリにとって絶好の環境になります。

特に築年数が経過した木造アパートでは、床下の防湿対策が現在の基準より弱いことが多いため、注意が必要です。土台や大引きなど、建物を支える重要な部材が床下にあるため、被害が構造部分へ直結しやすい点も床下の怖さです。

 3.2.水回りの漏水(浴室・キッチン・洗面所)

浴室・キッチン・洗面所などの水回りは、配管からのわずかな漏水や結露によって周辺の木材が湿りやすく、シロアリ被害が集中しやすい場所です。実際、シロアリ被害の多くは水回りの床下から見つかっています。

在来工法の浴室(タイル張り)は、目地のひび割れから水が浸み込みやすく、土台や柱が長年湿り続けているケースがあります。水回りで床のふわつきや変色が見られたら、シロアリと漏水の両方を疑うことが大切です。

 3.3.玄関・浴室まわりのタイル下

玄関の土間やタイルの下は、構造上、地面と建物の木部が近く、シロアリの通り道になりやすい場所です。タイルの内側は点検がしにくいため、被害の発見が遅れやすいという特徴もあります。

玄関框(かまち)や柱の根元に、空洞音(叩くとポコポコ音がする)、塗装の浮き、小さな穴などが見られる場合は、内部で食害が進んでいる可能性があります。

 3.4.建物周辺の木材・ウッドデッキ・放置された段ボール

建物のまわりに置かれた木材や切株、ウッドデッキ、杭、放置された段ボールなども、シロアリを呼び寄せる原因になります。これらがエサ場となり、そこから建物本体へ被害が移っていくケースがあるためです。

アパートの共用部や敷地内に、廃材や不要な木製品が置きっぱなしになっていないかを定期的に確認し、撤去しておくことが、手軽にできる予防策の一つです。

 3.5.防蟻処理の効果切れ(築5年以上)・羽アリの飛来

新築時に行われる防蟻処理(薬剤処理)の効果は、おおむね5年で切れると言われています。つまり、築5年以上で再処理をしていない建物は、薬剤による防御がない状態です。築年数が古いアパートほど、防蟻処理の履歴を確認することが重要です。

また、4月〜7月頃には、羽アリが飛来して新しい巣を作ることがあります。羽アリの発生は「すでに近くに巣がある」サインでもあるため、建物内や周辺で羽アリを見かけたら、被害の有無にかかわらず一度調査を検討するのが安全です。


 4.シロアリ駆除・修繕費用と相場

シロアリの駆除・修繕費用は、被害の範囲と深刻度によって大きく変わります。駆除だけで済む場合は数十万円以内で対応できることが多い一方、土台や柱の交換まで必要になると、数百万円規模になることもあります。

そのため、シロアリ対応では「安く駆除すること」よりも、被害範囲に対して必要十分な工事を行い、再発させないことが重要です。相場感と工事内容をセットで考える必要があります。

4.1.駆除費用の目安(バリア工法・ベイト工法)

シロアリ駆除の費用は、施工面積に応じて決まるのが一般的です。

バリア工法
の費用の目安は、1㎡あたり2,000円〜3,000円程度です。
たとえば、床面積20坪(約66㎡)の施工であれば13万円〜20万円前後、30坪(約99㎡)であれば20万円〜30万円前後が一般的なレンジです。アパートの場合は戸建てより床面積が大きいため、1棟あたり数十万円規模になることもあります。

ベイト工法の場合は、建物外周1mあたり3,000円〜5,000円程度が目安で、年単位の管理契約が必要になるため、バリア工法より総額は高くなる傾向があります。

なお、極端に安い金額を提示する業者には注意が必要です。施工範囲を絞りすぎていたり、追加費用が後から発生したりするケースがあるためです。

4.2.被害箇所(土台・柱・床)の修繕費用目安

駆除とあわせて、食害を受けた箇所の修繕が必要になる場合があります。
費用の目安は、被害が軽度であれば数万円〜50万円前後です。

たとえば、柱の部分的な補強であれば1本あたり1万円〜5万円前後、柱の交換になると1本あたり30万円前後、土台の交換では20万円前後かかることがあります。床の張り替えや断熱材の交換が加わると、さらに費用は上がります。

被害が表面的に見えていても、内部でどこまで進んでいるかは開けてみないと分からないことが多いため、修繕費用は調査結果を踏まえて段階的に判断していくのが現実的です。

4.3.大規模修繕が必要になると200万円以上かかるケースも

シロアリ被害が長期間放置されていた場合、土台・柱・床組みなど構造部分の広範囲な交換が必要になり、大規模修繕の領域に入ります。
費用の目安は、被害が中程度で100万円〜200万円、重度になると200万円以上かかることもあります。

特に、被害が複数の部屋や2階部分まで及んでいる場合や、耐震性に影響が出ている場合は、単なる補修ではなく、耐震補強も含めたリフォーム工事として計画する必要があります。このレベルになると、修繕して保有を続けるか、売却するかの経営判断も含めて検討することが現実的です。

4.4.見積もり時の注意点(適正価格の見極め)

見積もりを取る際は、金額だけで判断しないことが重要です。同じシロアリ駆除でも、施工面積の計算方法、使用薬剤、施工範囲、保証内容によって、金額は大きく変わります。

特に注意したいのは、相場より極端に安い見積もりです。「基本料金は安いが、実際の現場で追加費用を次々と上乗せする」という手口のトラブルが実際に報告されています。逆に、不安を煽って過剰な工事を提案する業者も存在します。

適正価格を見極めるには、複数社から見積もりを取り、施工範囲と保証内容の差を比較するのが基本です。そのうえで、床下の調査写真を示しながら「どこに、なぜ、どの工法で施工するのか」を丁寧に説明できる業者を選ぶことが、結果として失敗の少ない対応につながります。日本しろあり対策協会の登録業者かどうかも、判断材料の一つになります。


5.保険・保証・税務上の取り扱い

アパートでシロアリ被害が発生した場合、「保険で費用をカバーできるのか」はオーナーにとって気になるポイントです。

結論から言うと、シロアリ被害そのものは火災保険の対象外が原則です。そのかわり、駆除業者の保証制度や税務上の取り扱いを正しく活用することで、負担を軽減できる余地があります。

5.1.火災保険は原則適用外(害虫被害・経年劣化扱い)

火災保険は、火災・風災・水災など突発的な事故による損害を補償するものです。シロアリ被害は、害虫による被害・経年劣化・メンテナンス不足と見なされるため、原則として補償の対象になりません。

ただし、例外的に関連づけられるケースもあります。たとえば、台風による屋根の破損から雨漏りが発生し、その水濡れが原因でシロアリが発生したと立証できる場合には、元となった風災被害の部分が補償対象になる可能性があります。とはいえ、因果関係の立証はハードルが高いため、「シロアリは保険で直せない」を前提に資金計画を立てるのが現実的です。

なお、「保険金を使って無料で修繕できる」と勧誘してくる業者には注意が必要です。因果関係のない申請は保険金詐欺に該当するリスクがあります。

5.2.防蟻保証・駆除業者の保証制度の活用

駆除工事を行うと、多くの業者が5年間の保証を付けます。保証期間内にシロアリが再発した場合は、無償で再施工されるのが一般的です(業者によって、再発時の建物の損害まで一定額補償するケースもあります)。

保証書は必ず受領し、保証の範囲(再施工のみか、損害補償を含むか)、保証期間、免責事項を確認しておきましょう。また、新築時の防蟻処理保証や、住宅瑕疵保険の対象期間内であれば、そちらが使える場合もあるため、建築時の書類も確認する価値があります。

5.3.駆除・修繕費の経費計上の考え方

賃貸経営におけるシロアリの駆除費用や被害箇所の原状回復費用は、通常、修繕費として必要経費(法人であれば損金)に計上できます。

一方、被害修繕にあわせて建物の価値を高めるような工事(間取り変更やグレードアップなど)を行った場合、その部分は資本的支出として資産計上し、減価償却する扱いになります。金額が大きくなる場合は、修繕費と資本的支出の区分について、税理士に確認しながら進めると安心です。


6.入居者様対応のポイント

シロアリ被害は建物の問題であると同時に、そこに住む入居者様の生活の問題でもあります。羽アリの大量発生は入居者様に強い不快感と不安を与えるため、対応を誤ると、クレームの深刻化や退去につながりかねません。

賃貸借契約では、オーナー様には物件を使用に適した状態で提供する義務があるため、シロアリの調査・駆除費用は原則としてオーナー様負担になります。この前提を理解した上で、誠実かつ迅速に対応することが重要です。

6.1.家賃減額・補償の考え方

シロアリや羽アリの発生によって、部屋の一部が使用できない状態になった場合、その程度に応じて家賃の減額を求められる可能性があります。民法では、賃借物の一部が使用できなくなった場合、使用できなくなった割合に応じて賃料が減額される旨が定められています。

また、羽アリの発生で入居者様の家財に被害が出た場合や、駆除工事で一時的な退去・立ち会いをお願いする場合には、状況に応じた補償・配慮を検討します。実務上は、被害の程度・期間を確認した上で、管理会社とも相談しながら、誠意ある対応ラインを決めていくことになります。

6.2.クレーム・退去リスクの回避

入居者様が最も不満を感じるのは、被害そのものよりも「報告したのに対応してくれない」「進捗の連絡がない」という放置の状態です。実際、オーナーが動いてくれないという入居者様の相談は、ネット上にも数多く見られます。

報告を受けたら、まず調査の手配を即日〜数日以内に行い、「いつ、何をするか」を入居者様に明確に伝えることが、クレームの深刻化と退去を防ぐ最大のポイントです。対応の速さは、そのまま入居者様の安心感と信頼につながります。

6.3.トラブルを防ぐコミュニケーション方法

シロアリ対応では、調査・駆除・修繕と工程が複数にわたるため、節目ごとの丁寧な情報共有が欠かせません。調査結果は「被害があったのか・なかったのか」を含めて必ずフィードバックし、工事の際は日程・所要時間・薬剤の安全性について事前に説明します。

また、工事完了後には、施工内容と保証について簡単に報告し、「今後同じことがあればすぐご連絡ください」と一言添えることで、入居者様の安心感は大きく変わります。誠実な対応の積み重ねが、長期入居につながります。


 7.シロアリ被害がアパート経営に与える影響

シロアリ被害は単なる建物の不具合ではなく、収益・資産価値・将来コストのすべてに影響する経営課題です。

特に、床下など見えない場所で進行するという性質上、発見が遅れるほど損失が拡大します。重要なのは、「一時的な駆除費」ではなく、長期的なキャッシュフローへの影響として捉えることです。

7.1.空室率・収益への影響

シロアリ・羽アリの発生は、直接的・間接的に収益低下を引き起こします。主な影響は以下の通りです。

・入居者様の退去による空室発生
・家賃減額、補償対応による収入減少
・「虫が出る物件」という評判による募集時の反響低下
・修繕期間中の募集停止

たとえば、羽アリの発生をきっかけに1室退去し、次の入居まで2ヶ月空室となるだけでも、家賃6万円の場合で約12万円の機会損失が発生します。駆除費用と合わせると、初動の遅れが数十万円単位の損失につながることがわかります。

 

7.2.資産価値・耐震性の低下リスク

シロアリ被害の最も深刻な影響は、建物の構造部分へのダメージです。土台や柱が食害を受けると、建物の耐震性が低下します。実際、過去の大地震では、シロアリ被害や腐朽のあった木造建物の倒壊率が高かったという調査報告もあります。

また、売却時には、シロアリ被害の履歴は買主への告知事項になります。被害を放置したまま売却しようとすると、大幅な価格減額や契約不適合責任のトラブルにつながるおそれがあります。逆に、適切に駆除・修繕し、保証書や施工記録が残っていれば、売却時のマイナス影響を最小限に抑えられます。

7.3.今後の修繕負担の増加

シロアリが発生した建物は、「シロアリが好む環境(湿気・木材)がある」ということでもあります。駆除しても環境が変わらなければ、薬剤の効果が切れる5年後以降に再発するリスクが残ります。

つまり、一度シロアリが出た物件では、5年ごとの防蟻処理費用と、床下環境の改善費用を、長期修繕計画に組み込んでおく必要があります。築年数が古い物件ほど、外壁・屋根・水回りなど他の修繕とタイミングが重なりやすいため、修繕全体の優先順位と資金計画を見直すきっかけとして捉えることが大切です。


8.駆除・修繕か売却かの判断基準

シロアリ被害への対応は、駆除・修繕して保有を続けるか、売却してリスクを切り離すかという経営判断に行き着きます。どちらが正解かは、被害の程度、物件の収益力、立地、オーナー様の経営方針によって変わります。

8.1.駆除・修繕して保有を続けるべきケース

次のようなケースでは、駆除・修繕して保有を続けるのが合理的です。

・被害が床下や一部の土台にとどまり、駆除+部分修繕(数十万円以内)で収まる
・立地に賃貸需要があり、満室経営が続いている
・駆除・修繕後も十分なキャッシュフローが見込める
・長期保有や次世代への承継を前提としている

被害が軽度のうちに対応すれば、費用は限定的で、資産価値への影響も最小限に抑えられます。保証書を保管しておけば、将来の売却時にもプラスの材料になります。

8.2.売却を検討すべきケース

一方、次のようなケースでは、売却を検討する価値があります。

・被害が構造部分の広範囲に及び、修繕費が数百万円規模になる
・築年数が古く、シロアリ以外にも大規模修繕が控えている
・立地の賃貸需要が弱く、修繕しても家賃・入居率の回復が見込みにくい
・修繕費の投資を回収する前に、売却・相続などの出口を予定している

修繕費が回収できる見込みの薄い物件に大金を投じるより、現状のまま買い取れる不動産会社へ売却し、資金を次の物件へ振り向けた方が、資産全体では有利になることがあります。

 

8.3.判断に迷ったときの考え方(収支・将来リスク)

判断に迷ったときは、感覚ではなく数字で比較することが大切です。具体的には、「修繕に投じる費用」と「修繕後に見込める家賃収入・売却価格」を並べ、投資として回収できるかを確認します。

あわせて、耐震性・再発リスク・他の修繕予定といった将来リスクも織り込みます。自分だけで判断が難しい場合は、賃貸管理と売買の両方に詳しい不動産会社に相談し、「修繕して保有した場合」と「今売却した場合」の試算を出してもらうと、判断の精度が大きく上がります。


9.シロアリの予防策(再発防止)

シロアリ対策は、発生してから駆除するより、発生させないよう予防する方が、費用も被害もはるかに小さく済みます。特に一度被害が出た物件では、再発防止までやり切ることが重要です。

9.1.定期点検と5年周期の防蟻処理

防蟻薬剤の効果は、おおむね5年で切れます。そのため、5年ごとの防蟻処理(予防施工)を長期修繕計画に組み込むのが基本です。予防施工の費用は駆除より安く、1㎡あたり2,000円前後が目安です。

あわせて、年に1回程度は床下や建物周りの点検を行い、蟻道や湿気の変化を早期にキャッチできる体制を作っておくと安心です。管理会社に定期巡回の際のチェックを依頼するのも有効です。

9.2.湿気対策・床下環境の改善

シロアリを寄せ付けない環境づくりの核心は、湿気対策です。床下換気口の前に物を置かない、防湿シートや床下換気扇を設置する、雨漏りや水回りの漏水を放置しないといった対策で、床下の湿度を下げることができます。

また、建物周辺の廃材・切株・ウッドデッキの劣化木材など、シロアリのエサになるものを撤去しておくことも大切です。日常の管理でできる予防策として、敷地内の整理整頓を徹底しましょう。

9.3.早期発見のチェックポイント(羽アリ・蟻道・空洞音)

シロアリ被害は、早く見つけるほど被害も費用も小さく済みます。次のようなサインが見られたら、専門業者への調査依頼を検討してください。

4月〜7月頃に、室内や建物周りで羽アリが発生する
・基礎や束石に、土のトンネル状の道(蟻道)がある
・柱や框を叩くと、空洞音(ポコポコという軽い音)がする
・床がふわふわと沈む、畳がへこむ
・ドアや窓の立て付けが急に悪くなった

これらのサインを入居者様や管理会社と共有しておくと、発見の網が広がり、早期対応につながります。


10.アパートのシロアリに関するQ&A

Q1.シロアリは放置するとどうなりますか?

A.シロアリは自然にいなくなることはなく、放置すればするほど被害範囲が広がります。土台や柱の内部が食い荒らされると、耐震性の低下や床の沈みにつながり、修繕費用は数十万円から数百万円規模へ膨らみます。羽アリの発生など兆候に気づいた時点で、速やかに調査を依頼することをおすすめします。

 Q2.入居者様がいる状態でも駆除工事は可能ですか?

A.可能です。シロアリ駆除は床下作業が中心のため、入居者様が退去する必要はほとんどありません。ただし、室内の点検口を使用する場合や、水回りの床を開ける場合は、入居者様の立ち会いや日程調整が必要になります。工事の際は、薬剤の安全性や作業時間を事前に説明し、不安を取り除くことが大切です。

 Q3.駆除費用を入居者様に請求することはできますか?

A.原則としてできません。オーナーには物件を使用に適した状態で維持する義務があり、シロアリの調査・駆除・修繕費用はオーナー負担が基本です。ただし、入居者様が被害のサインを長期間放置して被害を拡大させた場合や、入居者様の使い方に明らかな原因がある場合には、例外的に一部負担を求められる可能性があります。いずれもケースバイケースのため、管理会社や専門家に相談しながら対応しましょう。

シロアリは、単なる害虫トラブルではなく、建物の構造・入居者対応・収益・資産価値まで左右する重要課題です。

早期発見と適切な初動対応で被害の拡大を防ぎ、駆除・修繕・予防、そして保有か売却かの判断までを一連の流れとして進めることが、安定したアパート経営につながります。

また、武蔵コーポレーションには外注のシロアリ駆除専門会社での勤務経験を持つ社員も在籍しております。少しでもシロアリの可能性を感じた場合や、予防工事をご検討されている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

2027年末に向けてLEDへの交換を!
武蔵コーポレーション

アパートやマンションの照明に今も多く使われている蛍光灯(蛍光ランプ)が今後、徐々に手に入りにくくなることをご存じでしょうか。
実は蛍光灯に含まれる水銀を規制するため、蛍光灯は2028年1月1日以降、製造・輸出入がすべて禁止となります。

既にLED交換工事は増加傾向にあり、それに伴い「価格の高騰」「在庫不足」「工事業者の人手不足」といった問題が顕在化しはじめています。

とはいえ、過度に不安になりすぎる必要はありません。
工事枠と予算に余裕があるうちに計画的に進めて、この危機を乗り越えましょう。

「どこを交換した方がよいのか」
「いつ交換した方がよいのか」
「LED交換にはいくらかかるのか」

など、LED交換に関する疑問があれば、何でもご相談ください。

郊外・築古アパートの空室を埋める!
武蔵コーポレーションの賃貸経営相談

  • 空室がなかなか埋まらない
  • 管理会社の対応が悪い
  • 建物が古く、劣化状況が気になる
  • 工事費用の見積が高い

収益物件の管理運営に関するこんなお悩みはありませんか?

武蔵コーポレーションは関東地域で36,000戸を管理し、入居率98%を維持しています。
管理物件の大半が郊外・築古・駅遠などの「空室を埋めづらい」物件ですが、独自の入居付け・管理手法で高入居率を実現しています。

「空室を埋める方法を知りたい」
「今の管理の改善点を教えてほしい」

など、賃貸経営に関する疑問があれば、何でもご相談ください!

コメント

CAPTCHA