
「所有しているアパートの空室がなかなか埋まらない」
「修繕費や管理の負担が増えてきて、このまま持ち続けるべきか迷っている」
このようなお悩みをお持ちなら、アパート売却を検討するタイミングかもしれません。
アパートの売却方法には、大きく分けて「不動産会社による直接買取」(買取)と「仲介による売却」(仲介)の2つがあります。
買取は不動産会社が物件を買い取るため、短期間で確実に売却できる安心感がありますが、価格は仲介に比べて低くなるケースが一般的です。
一方、仲介は、不動産会社が買主を探す方法で、相場に近い価格、あるいはそれ以上で売却できる可能性があります。ただし、売却までに時間がかかることや、成約時に仲介手数料が発生する点が特徴です。仲介会社としても売買価格に応じた手数料収入を前提とするため、できるだけ高値での成約を目指す傾向があります。
武蔵コーポレーションは累計買取取引棟数が4,000棟を超え、累計買取再生棟数は4年連続で全国1位を誇っています。(※株式会社東京商工リサーチ調べ。令和8年4月現在。)再生を前提とした買取のため、築年数が古かったり、空室が多かったり等、物件をすぐに売却したいオーナー様はぜひお問い合わせください。
本記事では、仲介による売却と不動産会社の直接買取それぞれの流れを解説するとともに、売却時にかかる支出の例や、よくある質問をQ&A形式で分かりやすくご紹介します。
目次
1.一棟アパートを売却する際の流れ
先述の通り、アパートの売却方法には、大きく分けて「不動産会社による直接買取」(買取)と「仲介による売却」(仲介)の2つがあり、売却する流れが異なります。買取は売却スピードを重視する人、仲介は売却価格を重視する人に向いています。
買取と仲介の主な違いは「買主」「売却価格」「売却期間」の3点です。
買取では不動産会社が直接の買主となります。買主を探す手間が不要な分、スピーディーかつ確実に売却し、現金化できることが大きな特徴です。ただし、再販売時の利益や改修コストなどを踏まえて価格が設定されるため、仲介と比べて売却価格は抑えられる傾向があります。
一方、仲介の場合、主な買主は個人や投資家となり、市場での需要と供給をもとに価格が形成されるため、相場に近い、もしくは条件次第でそれ以上の価格で売却できる可能性があります。不動産会社も成約価格に応じて報酬が決まるため、高値での成約を目指す傾向があります。ただし、買主が現れるまで一定の時間を要することがあり、売却時期は不確定です。
「できるだけ高く売りたいが、時間もかけられない」という方は、まず買取を軸に検討するのが現実的です。買取は不動産会社が直接の買主となるため、買い手探しの不確実性がなく、スピーディーに現金化できる点が大きなメリットです。
実務上のポイントは、必ず複数社(目安として2社以上)から買取査定を取得することです。提示価格を比較することで、相場観を把握しつつ、過度に低い条件での売却を避けることができます。最も条件の良い提示を選択するだけでも、結果として売却価格の底上げが期待できます。
そのうえで、提示された買取価格に納得できない場合は、仲介へ切り替えるという判断も有効です。市場に出すことで、より高値での成約を狙う余地が生まれます。つまり、「買取で下限を把握し、仲介で上振れを狙う」という二段構えの戦略が合理的といえるでしょう。
本章では2つの方法についての流れを説明します。
1.1.買取の場合
買取とは、アパートやマンション、ビルを専門に取り扱っている不動産会社が買主として、売主から物件を直接買い取る売却方法です。仲介より早期に売却できるケースが多い一方、価格が仲介よりも安くなってしまう可能性があります。
Step1. 不動産会社(買取業者)に相談する
まずは、アパートの買取に対応している不動産会社へ相談します。買取の相談も無料で行えるケースが一般的で、物件概要や賃貸状況、希望条件(価格・時期など)を伝えることで、買取の可否やおおよその方向性を確認できます。
買取の場合は、会社ごとに得意な物件種別やエリア、再生ノウハウが異なるため、提示される価格にも差が出やすい点が特徴です。そのため、仲介と同様に複数社へ相談し、比較検討してよいでしょう。
Step2. 不動産会社に査定を行ってもらう
不動産会社は、物件の収益性や立地、建物の状態、入居状況などをもとに査定を行います。買取の場合は「再販できるか」「どの程度のコストがかかるか」といった観点が重視されるため、仲介査定とは異なる基準で価格が算出されます。
簡易的な机上査定の後、必要に応じて現地確認を行い、より精度の高い査定額が提示されます。
Step3. 買取価格の提示・交渉
査定結果をもとに、不動産会社から買取価格が提示されます。仲介のような媒介契約は不要で、そのまま条件交渉に進む点が特徴です。提示価格や引渡し時期、契約条件などについて調整を行います。
Step4. 売買契約を締結する → 決済・引渡し
条件がまとまれば売買契約を締結し、その後速やかに決済・引渡しへ進みます。買主が不動産会社であるため手続きがスムーズに進みやすく、短期間で現金化できる点が買取の大きなメリットです。
1.2.仲介の場合
仲介による売却は、不動産会社が買主を探して成約を目指す方法であり、市場に広く募集をかけることで、相場に近い、あるいはそれ以上の価格で売却できる可能性があります。一方で、買主が見つかるまでに時間を要する場合があり、成約時には仲介手数料が発生します。
Step1. 不動産会社に相談する
まずは、売却を仲介してくれる不動産会社へ相談します。売却相談は無料で行えることが一般的で、物件概要や賃貸状況、希望する売却価格や時期を伝えることで、今後の進め方についてアドバイスを受けることができます。
不動産会社や担当者によって、販売戦略や対応力に差があるため、売却結果にも影響が出ます。自分の物件に近い売却実績がある会社や、投資家とのネットワークを持つ会社を選ぶことが重要です。複数社に相談し、比較検討するとよいでしょう。
Step2. 不動産会社に査定を行ってもらう
相談を受けた不動産会社は、アパートの査定を行い、売り出し価格の目安を提示します。査定には、物件資料をもとに概算価格を算出する「机上査定」と、現地で建物や周辺環境を確認する「訪問査定」の2種類があります。
机上査定では、取引事例や収益性などから価格を算出し、訪問査定では建物の状態や管理状況なども踏まえて、より精度の高い価格が提示されます。
Step3. 不動産会社と媒介契約を締結する(専属専任・専任・一般から選ぶ)
査定価格や提案内容に納得した不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があり、それぞれ販売活動の範囲や報告義務が異なります。自身の売却方針に合った契約形態を選択することが重要です。
Step4. 不動産会社が売却先を探す(広告・レインズ掲載・投資家への営業など)
媒介契約締結後、不動産会社が販売活動を開始します。レインズへの登録やポータルサイトへの掲載、既存顧客への紹介などを通じて、購入希望者を募ります。内見対応や条件交渉も不動産会社が窓口となって進めます。
Step5. 売買契約を締結する → 決済・引渡し
購入希望者と条件が合意に至れば、売買契約を締結します。その後、残代金の決済と物件の引渡しを行い、売却が完了します。仲介の場合は、このタイミングで仲介手数料が発生します。
2.アパート売却で主にかかる費用
アパートの売却では、多くのケースで以下の項目による費用が掛かります。
※仲介手数料は買取では発生しません
また、下記の記事でこれらの費用を安くする方法についても記載していますので、興味がある方はぜひご覧ください。
2.1.仲介手数料
アパートを売却する際、一般の方がご自身で個人の買主を見つけるのは難しい場合が多いため、不動産業者に仲介を依頼されるケースが多いです。
支払いの時期、条件
仲介手数料は成功報酬で、実際に売却が成立したときに支払うものです。商慣習としては買主と売買契約を結んだときに半額を、物件を引き渡したときに残りの半額を支払うのが一般的です。
売買が成立しなくても、次の2つの場合は仲介手数料を支払う必要があります。
①手付解除…売買契約後に、手付金を放棄(買主から)、もしくは返還した上で同額を支払い(売主から)して契約を解除できますが、その場合には仲介手数料を支払う必要があります。
②違約解除…売買代金を支払わないなど、契約違反(債務不履行)によって契約を解除された場合でも、仲介手数料を支払う必要があります。
支払う金額
仲介手数料の金額は、売却価格が400万円を超えるときには以下の計算式で算出します。
400万円以下の場合も合わせて、金額の計算法は以下の通りです。
2.2.印紙税
売買契約書には印紙を貼付する必要があります。売買契約書は売主分と買主分の計2通を作成することが通常ですので、売主と買主がそれぞれ1通ずつ印紙を負担することがほとんどです。なお、仲介会社と締結する媒介契約書には印紙は必要ありません。
支払う金額
令和9年3月31日までに作成する土地建物売買契約書にかかる印紙税については軽減措置が実施されており、以下の表に従って支払います。
2.3.登記費用
不動産の売買をする際は、登記費用も掛かります。
売主側…抵当権抹消登記(抵当権がついている場合)
買主側…所有権移転登記
といった形で費用負担するのが一般的です。
支払う金額
抵当権の抹消登記を自身で行う場合は、1不動産あたり1000円の登録免許税を支払う必要があります。
ただ、重要な手続きであるため司法書士へ依頼するのが一般的です。自分でつてがない場合は仲介会社へ紹介してもらうのも良いでしょう。報酬は司法書士にもよりますが、5000円から3万円程度が相場と言えます。
2.4.ローン返済手数料
対象物件にローンが残っている場合は、売却時に残額を一括で返済することが必要です。返済資金については、売却価格が残債(ローン残高)を上回っていれば、売買代金から返済ができますのでさほど問題はありません。しかし、一括返済には手数料がかかるのが一般的です。
支払う金額
手数料は金融機関や手続き方法(対面かオンラインかなど)、もしくはローン契約の種類によって異なります。1万円未満ですむ場合もあれば、返済金額の2%など、高額になる場合もあります。高くなるケースとしては、長期の固定金利で引いていたローン契約を早期に解約する場合などが挙げられます。
2.5.譲渡所得税、住民税
不動産を売却すると、売却益に対して税金がかかります。売却後しばらく経ってからかかる費用なので、忘れずに準備しておきましょう。
支払う時期
所得税(復興特別所得税を含む)については売却があった翌年の確定申告期間中(原則2月16日~3月15日)に支払います。確定申告時に振替納税の手続きをすることも可能で、その場合は4月ごろに銀行口座から自動引き落としとなります。
住民税は、確定申告を経て、その年の5月以降に市町村から納付書が送られてきますので、一括払いか年4回の分割払いで納税します。
支払う金額
譲渡所得を計算し、出た数字に対して税率をかけて税額を計算します。譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡所得=不動産の売却価格-取得費用-譲渡費用
取得費用…購入代金又は建築費用、購入時の手数料、設備費、改良費などの合計。事業用の場合は減価償却費を差し引いたもの
譲渡費用…仲介手数料、印紙税、立退料など、売却にあたって支出した費用の合計。
譲渡所得が計算できたら、税率をかけて税額を計算します。税率は保有期間によって異なります。
物件売却の年の1月1日において所有期間が5年間を超えていれば長期譲渡、5年以下であれば短期譲渡と判断します。物件売却日が基準になるわけではないので注意しましょう。(物件を保有してから1月1日を6回以上迎えて売却すると長期譲渡になります。)
例えば、2020年1月30日に不動産を購入していた場合は、以下の図のような考え方となります。
3.一棟アパートの売却価格に影響する要素
一棟アパートの売却価格は、マイホーム(実用不動産)のように「自分が住みたいか」ではなく、「投資商品としていくら利益を生み出せるか(収益性)」と「買い手が銀行から融資を受けられるか(融資妥当性)」という2つの視点で決まります。具体的には、主に以下の4つの要素が価格に大きな影響を与えます。
特に④「維持管理の状態と大規模修繕履歴」は、買い手および金融機関の評価に直結する重要なポイントです。適切に修繕が実施されている物件は、将来的な修繕リスクが低いと判断されるため、金融機関からの融資が通りやすくなる傾向があります。その結果、購入希望者の幅が広がり、売却価格の向上にもつながります。
一方で、修繕には一定の資金と時間が必要となるため、資金繰りに制約がある場合や、早期での売却を優先したい場合には、現況のままでの売却も有効な選択肢です。現況売却は価格面で一定の調整が必要となる場合がありますが、スピーディーな売却や手間の軽減といったメリットがあります。
そのため、売却にあたっては価格最大化を優先するのか、スピードや資金負担の軽減を重視するのかといった目的に応じて、修繕実施の有無を判断することが重要です。
3.1.アパートの収益性と家賃状況
投資家が最も重視するポイントです。一棟アパートの価格は、基本的に「年間家賃収入 ÷ 期待利回り」という収益還元法で逆算されるため、家賃収入の質がダイレクトに価格に反映されます。
現在の稼働率(満室かどうか): 空室だらけのアパートは、購入後に買い手が自力で入居者を埋めるリスク(コスト)があるため、価格が下がります。
一方で、修繕・再生を専門とする不動産会社の直接買取であれば、空室が多い状態でも有利に売却できる可能性があります。不動産会社は、独自のノウハウによるリフォームや、それに伴う賃料上昇を見込んだ評価を行うためです。一般の買い手へ売却するよりも、不動産会社ならではの強みを活かした好条件での取引が期待できます。
3.2.アパートの立地とニーズの合致
不動産において立地は変えられない最大の要素ですが、一棟アパートの場合は「単に駅が近い」だけでなく、ターゲット層との合致が見られます。
エリアの賃貸需要
「駅徒歩10分以内でないと売れない」というわけではありません。例えば駅から遠い単身物件でも、近くに大手工場や大学があり、単身者需要が旺盛なエリアであれば高く評価される場合があります。
ハザードマップの影響
近年、銀行の融資審査において「浸水想定区域」や「土砂災害警戒区域」に入っているかどうかが厳しくチェックされます。リスクが高いエリアは買い手が融資を受けにくくなるため、売却価格を下げざるを得ないケースが増えています。
3.3.構造と残存耐用年数
買い手が「銀行からいくら、何年のローンを組めるか」に直結する要素です。
法定耐用年数と残存期間
法定耐用年数は、木造(22年)、重量鉄骨(34年)、RC造(47年)と定められています。銀行の多くは「耐用年数 - 築年数 = 融資期間」とするため、築年数が古く融資期間が短くしか組めない物件は、買い手の毎月のローン返済額が大きくなるため、価格を下げないと売れにくくなります。
違法建築・既存不適格の有無
建ぺい率や容積率がオーバーしている物件は、原則として銀行の融資が下りないため、価格は相場の半値近くまで暴落する場合もあります。
3.4.維持管理の状態と大規模修繕履歴
購入した投資家、不動産会社が、その後いくら追加でコストを払う必要があるかという視点です。
大規模修繕の履歴
外壁塗装や屋根の防水工事(一般的に10〜15年周期、費用は数百万円〜)が適切に行われている物件は、買い手が「当面は大きな出費がない」と判断できるため、その分高く売れやすいです。
アパートの大規模修繕とは?実施タイミングや費用相場をわかりやすく解説
メンテナンス不足
雨漏りの放置、共用部の汚れ、給排水管の老朽化などがある場合は、購入後に発生する修繕費用分が、売却価格からまるまる差し引かれる(値引き交渉の材料にされる)場合があります。
4.一棟アパート売却に関するQ&A
Q1.アパートの売却価格の相場を調べる方法はありますか?
A. あります。アパートの売却相場は、主に「収益還元法」という計算方法を使うことで、具体的かつ客観的に算出することが可能です。投資用不動産であるアパートの価値は、一般的なマイホームとは異なり、「その物件がどれだけの利益を生み出せるか」という基準で決まります。具体的な調べ方と、相場を把握するためのステップを見ていきましょう。
1.「収益還元法」で具体的な価格を算出する
アパートの売却価格を予測する上で基本となるのが「収益還元法(直接還元法)」です。これは、年間のおおよその利益を「期待される利回り(還元利回り)」で割って価格を求める方法です。
【計算例】
還元利回り6%が見込めるエリアで、年間の予想利益が600万円のアパートの場合
600万円 ÷ 6% = 1億円(収益還元価格)
このように、年間の利益と地域ごとの利回りさえ分かれば、おおむねの相場価格を自分で計算することができます。
2. ポータルサイトを活用して「地域の利回り」を調べる
上記の計算に必要な「利回り」は、一棟投資不動産の専門ポータルサイトである「楽待(らくまち)」や「健美家(けんびや)」を活用すると簡単に調べられます。
ご自身の所有物件と「エリア」「築年数」「構造(木造・RCなど)」が似ている類似物件を探し、それらが「利回り何%」で売りに出されているかを確認してみましょう。その利回りを先ほどの計算式に当てはめることで、より実態に近い売却相場が見えてきます。
▼ アパート売却相場のより詳しい調べ方や注意点は、下記の記事で解説しています。
アパートの売却相場はいくら?実例と調べ方を解説
Q2.アパートをより高く売却できるタイミングはいつですか?
A. アパートを高く売却するためには、下記4つのタイミングがオススメです。
① 利益が出る時: 売却価格が「購入額+投資額」を上回ったタイミング。
② デッドクロス(減価償却の終了)を迎えた時: 税金負担が増える前のタイミング。
③ 所有期間が5年を超えた時: 売却益にかかる税率が下がるタイミング(長期譲渡所得)。
④ 大規模修繕を終えた時: 物件の価値が上がり、買い手が見つかりやすくなるタイミング。
▼ 「今が自分の売り時か分からない」「デッドクロスの具体的な計算がしたい」という方は、下記の詳細記事も合わせてご覧ください。
アパート売却の最適なタイミングとは?4つの判断ポイントを解説
さいごに
一棟アパートの売却を成功させるためには、物件の収益性や立地だけでなく、発生する費用や税率が下がるタイミングなどを総合的に見極めることが重要です。売却スピードを最優先にするなら「直接買取」、少しでも高値を目指すなら「仲介」など、ご自身の経営状況や目的に合った最適な売却方法を選択しましょう。













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