投資の失敗防止に役立つレントロールの見方と5つのチェックポイント

レントロール

不動産投資において、業者に収益物件を紹介されて「この物件良いかも知れない」と思ったら、購入を検討するにあたってレントロールの取り寄せが必要です。

レントロールを見て、「この物件の収益性は大丈夫か」「何か変なところはないか」と、物件収益の安定性を確認していきます。レントロールをきちんと見ることができれば、問題のある物件を避けられる確率は高まります。
しかし、レントロールの確認にあたっては予備知識が必要です。何も知識がないままレントロールを見ても、得られる気づきは少ないからです。項目の意味が分かるだけでは不十分で、各データの関連付けから、問題のある物件に潜むレントロール上の特徴を見つけられなければなりません。

この記事ではレントロールの見方だけでなく、レントロールを用いた、問題のある物件の見つけ方を解説していきます。どんな人が、いくらの賃料で入っているか、というだけの情報から、想像以上に色々な事が読み取れることが分かるはずです。

1.レントロールとは

レントロール

レントロールは家賃明細表とも呼ばれ、収益物件のそれぞれのお部屋、区画の賃貸借の条件をまとめて参照できるようにした文書の事を指します。
マンション、アパート、ビルを、区分の一室買いではなく一棟ごと買う場合には、物件の収益性を全ての部屋・区画の賃料などから検討する必要があるため、レントロールを見ることがほとんど必須の行為と言ってよいでしょう。他にも、物件購入を検討する場合には多くの項目を見たり聞いたりする必要がありますが、おおまかに全体の概要をまとめると以下のような形になります。

<物件購入検討時に活用すべき書類の例>

物件概要書物件名、住所、利回り、面積など、基本的な事項を確認する。
謄本所有者や抵当権など、権利関係を確認する。
レントロール物件の賃貸借に関する情報から、収益性を確認する。
地積測量図面積や、形状、隣接する土地との位置関係、境界標の位置、地積の求積方法など土地について確認する。
大規模修繕履歴書これからの修繕費用の予測や、管理状況の良し悪しの判断のために確認する。
確認済証、検査済証建築物の計画内容や実際の建築の内容が建築基準法に適合しているかどうかについて確認する。

これらを確認したうえで、現地を確認し、

  • 入居付けは大丈夫か
  • 不良入居者はいないか
  • 清掃など、管理は行き届いているか
  • 書類と違った事項がないか

などを確認し、納得できれば契約へと進むようなイメージです。

収益性、つまり「思ったように家賃収入が入ってくるか」を確認するのが、物件購入においてはとても重要なポイントとなります。金融機関から融資を受けて物件を購入する場合は家賃収入が返済の原資となりますし、家賃収入の減少は将来の売却価格にも大きな影響を及ぼすため、それらの情報を読み取ることができるレントロールの確認はとても大切です。
レントロールだけを見てよい物件だと断定することはできませんが、買うべきでない物件を排除するために、レントロールの確認はとても役に立ちます。
レントロールとは

2.レントロールの内容

まずは項目の意味を理解して、レントロールを読めるようになりましょう。各項目について解説します。この記事では、個人投資家の方が扱う事の多い住居用のアパートや、小規模の複合ビルなどを前提として解説を進めます。
実はレントロールの作成は、法令や規則などで決まっている物ではないため、公式に決まった書式もありません。レントロールを作る不動産業者によって入っていたりいなかったりする項目も存在するため、注意が必要です。
いまから記載していく各項目の内容を自分で必ず確認し、不明な点や記載のない点については、業者や売主に確認していく必要があります。

2.1.号室

各部屋の号室名や、店舗などの場合は区画名が載っています。店舗やオフィスの場合は、見取り図と見比べながら、どこにどの区画名がついているのかを確認すると良いでしょう。
また、物件によってはゲン担ぎで各階の4号室が抜けていたりします。303号室の隣が305号室になっているような場合です。よく調べずに階数×各フロアの最後の号室の数字で部屋数を計算すると、総部屋数が実際と異なりますので、注意します。

2.2.面積

賃貸借の契約面積(各部屋の面積)が書いてあります。原則は専有部分(お部屋の中)の面積が記載されていますが、オフィスビルなどにおいて、1フロアがまとめて契約されている場合は、廊下や給湯室、トイレなどを含む面積で記載されている事があります。このような場合にも、正確な数字を把握するために業者や売主に確認しましょう。

各部屋の面積は、空室の入居付けにおいて、ポータルサイトの検索に引っかかるかどうかという点で気にしてみると良いでしょう。お部屋を探される方はポータルサイトの検索条件で「20㎡以上」などにチェックを入れる可能性があるため、19㎡と20㎡のお部屋では、検索に引っかかる可能性は後者の方が高くなります。

また、㎡数の代わりに坪数が書かれている場合もあります。近似値ですが、
1㎡=0.3025坪
1坪=3.3058㎡
ですので、どちらかしか書かれていない場合には計算してみましょう。

2.3.用途

住居、事務所、店舗など、賃貸借の契約者がそこを何の用途で使っているかが書いてあります。
建築に関する法令の決まりによって、用途には制限がかけられていることを覚えておきましょう。「空きのテナント区画はリフォームしてレストランをいれるといいかも知れない」と考えても、実現できない場合がありますので、用途制限に関する事項も確認しましょう。

2.4.契約状況

「現況」と代わりに書かれている場合もありますが、現在の賃貸借に関する状況が記載されています。「入居中」「空室」「入居予定(〇月〇日)」「退去予定(〇月〇日)」などです。
もちろん、入居率が低い場合には、思ったように賃料収入を得られない可能性があるため、入居需要がその物件にあるのかどうかを他の手段(仲介業者にヒアリングする、競合物件を調べるなど)で確認しましょう。

2.5.属性

「入居者」と書かれている場合もあります。「法人」か「個人」かで記載されていることがほとんどです。後にも記載しますが、多くの割合の住居が法人で借りられている場合は、法人名まで確認し、同じ法人が多数の部屋を借りていないかどうかを確認して、一斉退去のリスクを確認しましょう。

2.6.間取

2LDKや3SLDK(Sは納戸のこと)などの記載を確認します。
どの間取りが良いとは一概には言えませんが、その物件のエリアの賃貸需要に合っているか(単身者が多いのかファミリー向きなのか)は、ポータルサイトを調べたり仲介業者にヒアリングをしたりして調べる必要があります。
調査の結果、間取りと、そのエリアの賃貸需要が合わないようであれば、購入は見送った方が無難でしょう。

また、大まかな傾向として
単身者向け(1Rや1Kなど)…入居者の入れ替わりが多い(入居期間が短い)が、需要は多い(空室期間が短くて済む場合が多い)
ファミリー向け(1R、1K以外)…入居者の入れ替わりが少ない(入居期間が長い)が、需要は少ない(空室期間が長くなることも多い)
ことが挙げられます。こちらも、退去に伴う費用発生のパターンが異なってきますので、参考情報として頭に入れておきましょう。

2.7.賃料

入居者やテナントから入る賃料です。空室の場合でも想定の賃料が入っている場合があります。「本当にその賃料で入居が決まるのか?」という妥当性についての確認方法は後に記載しますが、きちんと自分で確認しましょう。
事務所や店舗などの用途の場合は、坪単価が合わせて記載されている場合もあります。

2.8.共益費

共用部の水道光熱費、管理費等の意味合いで共益費を徴収している場合に記載されます。賃料と合計して考えると良いでしょう。

2.9.敷金(保証金)

物件オーナーが入居者、テナントから預かっている預り金です。賃料が支払われない場合の補填や、解約の際の原状回復に充てるお金としての意味があり、問題なく解約(退去)された場合は、返す義務のあるお金です。
これらのお金をとっている物件を購入する場合には、敷金や保証金を承継できるか(前オーナーからもらえるのか)、それとも売買代金に含まれているとみなすのか(解約時には自分のお金で敷金、保証金を返還する)で違いがありますので、その点も確認する必要があります。

2.10.契約開始日(更新日)

契約開始日とは、現在の入居者、テナントが住み始めたり、使い始めたりするにあたってした契約の開始日です。賃貸借契約は2年など、一定期間ごとの更新になっているケースが多いので、その更新日が書かれていることもあります。

契約開始日からどれくらい経っているかは、その入居者、テナントが退去した場合の次の賃貸借における賃料に影響を与えることが多いです。契約開始日から期間が建っているほど、建物も劣化している可能性が高いため、次の賃貸借で同じ賃料が取れず、より低い賃料でないと契約が決まらない可能性が高くなるという事です。
よって、更新日しか記載のない場合は契約開始日を確認し、契約期間を調べると良いでしょう。

2.11.備考

各部屋、区画においての備考欄は、告知事項(室内での入居者の死亡に関わることなど)や契約形態(普通借家なのか、定期借家なのか)や、特約(フリーレントなど)が書かれている事が多いです。確認し、意味の分からない物や気になるものがあれば、業者か売主に必ず確認をとりましょう。

2.12.その他

駐車場やインフラ設備(ケーブルテレビやインターネット)について、必要に応じて書かれています。先に述べた通り、決まった記載の形式がないため、ここに書かれていない事でも、収益性に影響を与える項目がないかどうかを確認する必要があります。詳しくは4章に記載します。

3.レントロールのチェックポイント

2章では各項目の見方をお伝えしました。3章では複数の項目を横断的に見たり、収益性に問題を抱える物件がもつレントロール上の特徴をもとに確認したりしていきます。ここで解説するチェックポイントを理解し、レントロールを見て、買うべきでない物件を買わない判断を下せるようになりましょう。
レントロールのチェックポイント

3.1.同じタイプの部屋で新しい入居者の方が家賃が下がっていないか

同じ広さ、間取りの部屋が複数ある時に、新しい入居者の方が賃料が下がっている場合は、築年の経過と共に部屋の価値が下がり、賃料も下がってきていると考えます。
このような場合は、古くからいる入居者が退去した際、最近に契約を開始した入居者と同等の賃料まで(現在の賃料相場まで)下がってしまうと考えるべきです。

仮に今ある全てのお部屋が一度退去してしまうと、もう一度満室になったときの賃料収入がどうなるのかを計算し、利回りを再度計算して、それでも収益性に問題がないかどうかを確認しましょう。賃料収入の下落は物件価格の下落にもつながりますので、賃料が下がることは、慎重にとらえなくてはいけません。

3.2.入居日(契約開始日)が最近に固まっていないか

直近の数か月の入居が不自然に多い場合には、入居率の偽装が行われているかも知れませんので、本当に入居需要があるかどうかを確認しましょう。ただし、3月や4月など、引っ越しシーズンには多くの入居者が入れ替わるため、それ以外の月での入居の多さに気付いた場合は、注意する必要があります。

物件を高く売却するために、業者や売主の知り合いを高めの家賃で入居させ、賃料収入を意図的にあげて「満室物件」として売却する手法は、取引現場では稀に見られます。これが入居率の偽装です。
当然、利回りを偽装するためだけに入居した人たちは、物件が売れてしまえば一斉に退去してしまいます。
物件に一斉に空室が増えればキャッシュフローが苦しくなるだけでなく、物件価格が、物件を購入した初期段階で大きく下がることになり大きな損失となります。

実際に当社で管理を委託された物件の中には、売主が意図的に知り合いを入居させていて、後に約半数の部屋で退去が発生した事例もありました。空室は幸いにも埋まりましたが、想定の賃料から10%以上下げなければならず、物件価格も大幅に下がってしまいました。

最近に入居日が固まっている場合は、募集図面(マイソク)や内装写真などを見せてもらった上で入居需要が本当にあるのかどうかを、物件周辺の賃貸仲介店舗などにヒアリングをして確認しましょう。最近にリフォームを行って人気が高まった、管理会社を変えて入居付けがうまく行った等の理由が見つけられず、理由なく入居が立て続けに決まっているようなら、より注意して取引に臨んだ方がよいでしょう。
不自然な入居日

3.3.同じ法人が多くの部屋を一括で借り上げていないか

「属性(入居者)」欄に法人の記載が多い場合は、どの法人が借りているのかまで業者か売主に確認しましょう。結果、同じ法人ばかりが多くの部屋を借り上げている場合は注意が必要です。

法人による社宅の借り上げは、個人よりも契約期間が長くなったり、滞納の可能性が低かったりする傾向がありますので、オーナーにとっては良い事でもあります。
しかし、同じ法人が多くの部屋を借りている場合は、その法人の撤退によって空室が大量に出てしまうリスクがあります。退去とまではいかなくても、一斉に賃料減額などの交渉が入る可能性もあります。長期間借り上げられていて、退去されたときには賃料の下落も発生するため、そのリスクも織り込んで物件購入をする必要があります。
一斉退去リスクのある物件

3.4.入居率は低くないか

レントロールをもらった時点で、入居率が低いのであればその原因を知ることが重要です。入居率の基準はエリアにもよりますが、一般的には7割を切っていると基本的に空室が多いと判断できます。このような場合は物件購入後に自分が入居率を改善できるのかどうかを検討します。

例えば、現在のオーナーが資金的な面で原状回復をする余裕がなく新規の募集ができないのであれば、自分に資金の余裕があれば購入後に工事をしっかり行う事で改善が可能なので、購入しても問題ないと判断することが可能です。
また、現在の管理会社の能力不足のために入居率が下がっているのであれば、管理会社を変更することで解決する可能性もあります。
しかし、

  • 迷惑住人がいて他の住人が退去してしまう
  • そもそも不人気な地域でエリアの入居率が低い
  • 物件で殺人事件などが起きたせいで入居率が低い

等は、自分の力で入居率を改善することが難しいので、避けた方がよい物件でしょう。
つまり、入居率が低い場合は、原因を特定し、自分で解決できる原因なのかどうかで判断しましょう。
入居率が低い理由

3.5.空室の想定家賃は適切か

空室の想定家賃は、原則として同じタイプの部屋で直近に契約がされている家賃と同額で計算しましょう。レントロールでそうなっていない場合は、なぜこの賃料で入居が決まると想定しているのかを、業者に聞いて確認しましょう。グレードアップ工事をしているなどの特別な理由があれば、それを考慮することも可能です。
空室の家賃設定は適切か

4.レントロールに書かれていない重要なこと

ここまで、レントロールのチェックポイントをお伝えしてきましたが、レントロールに記載されていない事項でも、収益に影響のある項目は購入前に検討する必要があります。
先述の通りレントロールには決まった形がないため、以下に記載する項目もレントロールによってあったりなかったりするのですが、記載のない場合には別途確認を行うと安全でしょう。

4.1.滞納

レントロールに「入居」の記載があっても、入居者が賃料を滞納している場合にはオーナーには収入が入ってきません。保証会社に入っている場合は保証会社から賃料が支払われますが、保証会社に入っていない入居者もいるため、滞納の有無については確認をしておきましょう。

4.2.敷地外駐車場

購入する物件に駐車場が足りない場合など、元のオーナーが駐車場を物件外で借りて入居者に貸している場合があります。この契約が承継するかどうかや、駐車場の利用料などが収益に影響する場合がありますので、記載のない場合は確認しましょう。

4.3.水道光熱費

水道料金などは、入居者との取り決めで入居者から定額料金をオーナーがもらい、水道局へはオーナーが支払う事になっている場合があります。
またエレベーターなど設備の電気代が大きい場合にも、収益性に影響が出る場合がありますので、こちらも確認しておいた方が安心でしょう。

4.4.その他

・インターネット
・ケーブルテレビ
など、入居付けを促進するために、無料で入居者が使用できる設備として導入している場合は、その使用料金がオーナー負担となっていますので、こちらも確認しましょう。

5.まとめ

レントロールからは、物件の収益性が大丈夫か、賃料収入面でどんなリスクが物件に潜んでいるのかをうかがい知ることができます。レントロールだけで物件購入は決められませんが、問題のある物件の購入を避けるためにレントロールは必ず確認しなければならないものです。
レントロールの見方をこの記事でマスターし、きちんと判断できるようにしておきましょう。

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