地面師とは?土地所有者を装う詐欺集団の手口と防衛手段

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2024年7月にNetflixで配信開始されたドラマ『地面師たち』の影響で「地面師」という言葉を知った方も多いのではないでしょうか。

地面師とは、不動産所有者を装い売買代金をだまし取る詐欺師のことです。
2017年に積水ハウスが50億円以上をだまし取られたことで、地面師が大きな話題となりました。
この積水ハウス事件では、「古くからある建物」「競争率の高い建物」であることなど複数の要因が絡み合い、大金をだまし取られているのがポイントです。

「どんな手口で詐欺をはたらいたのか」
「なぜ一流企業がだまされたのか」
気になっている方も多いと思います。一方で不動産取引は、多くの人が人生で一度は関わるものです。

「自分もだまされてしまうのかな」
「どうやったら詐欺を防げるだろうか」
と不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、地面師の手口を知りたい方のために、その具体的な方法を解説すると同時に、狙われやすい不動産や防止法、実際に起きた事件の内容についても紹介しています。

地面師について理解を深め、安心できる不動産取引の実現に役立ててください。


1.地面師は、不動産所有者を装い代金をだまし取る詐欺師

地面師の関係図

地面師とは、不動産の本当の所有者になりすまし、詐欺のターゲットである買主にその不動産を購入させ、買主から代金をだまし取る詐欺師のことをいいます。
地面師にだまされた買主は、お金を支払ってもその不動産の所有者にはなれません。

他人の不動産を買わせる

地面師詐欺は一人で行うのではなく、複数の人間がグループで行うのが一般的です。

  • 主犯としてグループを組織し、地面師詐欺を企画する
  • 詐欺のターゲットとなる不動産情報を調査する
  • 本人確認書類や印鑑証明書などを偽造する
  • 取引の代理人をし、買主と実際に交渉する
  • 司法書士などの専門家として、詐欺取引のサポートをする
  • 実際の所有者になりすます

など、複数の役割をそれぞれが担当し詐欺を行います。

地面師詐欺の基本は、不動産の本当の所有者になりすまし、自分の物ではない不動産を買わせて、買主から売却代金をだまし取ることです。「自分の物ではないものを売る」と言うとイメージがつきにくいかもしれません。
しかし

  • 空き地
  • 駐車場
  • アパート
  • ビル

など、その場に所有者が住んでいない不動産はたくさんあり、これらの不動産は現地をぱっと見ただけでは誰が本当の所有者なのかは分かりません。
「その不動産を誰が所有しているのか」は法務局が管理している登記簿に書かれているのですが、その登記簿に書かれている本人になりすますことで、地面師は詐欺を成立させようとします。

もちろん買主は、「今自分が代金を渡そうとしている人は、不動産の所有者本人なのか」を確認するため、本人確認を行います。それに対して、地面師である売主が

  • 本人確認書類を偽造する
  • 所有者本人の情報を頭に入れておき、所有者本人のようになりすまし役がふるまう

ことによって、買主が、目の前にいる売主が所有者本人だと信じてお金を渡せば(詐欺グループの銀行口座にお金を振り込めば)、地面師詐欺は成功です。

本来の所有者ではない売主(地面師)に代金を支払い、不動産を買ってしまった買主は、

  • 登記(その不動産の所有者が自分であると、法務局が管理する登記簿に記録すること)の申請が法務局から却下される
  • 現地に立ち入ろうとして本来の所有者とトラブルになる

以上のようなことによって、自分が騙されてしまったことに気づきます。しかし気づいたときには地面師グループは行方をくらましており、支払った代金は返ってこなくなってしまいます。

地面師は所有者になりすます


2.地面師が関わった事件

詐欺犯罪のサイバー化が進む中で、これまでご紹介してきた地面師の手口は、とてもアナログに感じられるかもしれません。しかし20206月にも東京都目黒区で地面師詐欺事件が起こるなど、現在でも複数の地面師は活動を続けているのが実態だと思われます。
ここ最近で起きた大規模な地面師事件の概要を見てみましょう。

2.1.積水ハウス

JR五反田駅から徒歩3分、「海喜館」という広さ600坪もある元旅館の土地をめぐって地面師詐欺事件が起こりました。2017年の4月に手付金の15億円を、6月には48億円を支払って騙されてしまったのは有名企業の積水ハウスであったこともあって、大きく報道されました。

地面師詐欺の対象となった不動産は坪単価1000万円を下らないとされ、大規模に開発できる希少な一等地として、不動産会社の間でも話題になっていたようです。所有者になりすました女が、ブローカーを通じて積水ハウスに話をもちかけました。取引を終え、積水ハウスが所有権登記をするときになって、書類が偽物であることが発覚しています。その時には代金は支払い済みであり、取引相手(地面師グループ)も行方をくらましていたという事です。

報道によればなりすまし役の女は、所有者本人のパスポートを自分の顔写真で作成し、本人確認書類として使用していたようです。報道関係者がその顔写真を、対象となった旅館周辺の住民に見せながら聞き込みをしたところ、「(本当の所有者は)こんな顔ではない」と証言が取れたようなので、積水ハウスがもう少し注意して本人確認を行っていれば詐欺に引っかからずに済んだのでは、という指摘もあります。

しかし、当時の社長が現地訪問して買い付けを指示した案件であったことや、取引に対する警告の文書が積水ハウスに複数寄せられていたにも関わらず、代金の支払いを行ったことなども報道されており、いかにその土地が魅力的であったか、また「買いたい」という気持ちが、騙されるほど焦りを生んでいたかが感じられる事件です。
先述の通り主犯とされる男が逮捕され、実刑判決が下りましたが、だまし取られたお金は戻ってきていません。
参考:日本経済新聞(20181016日)「地面師詐欺、積水ハウスが落ちたワナ」、東洋経済オンライン(2021年7月26日)「監査役は機能?積水ハウス『地面師事件』に残る謎」など

2.2.アパホテル

赤坂に位置する約120坪の駐車場をめぐり、2013年に起きた地面師事件です。アパホテルは代表が自ら訪問しホテル用地の買い付けを行う、積極的な土地仕入れ戦略が有名で、土地売買の専門家も多数在籍しているはずですが、地面師によって12億円以上をだまし取られています。

元々の所有者は無借金であり、現地が駐車場のため人が住んでいないという、地面師にとっては非常に狙いやすい条件の土地でした。所有者が亡くなっており、地面師はその相続人であった兄弟になりすまして、アパホテルとの売買契約を成立させます。

本人確認は住民基本台帳カードで行われましたが、こちらを含め必要書類が偽造されていました。
後に法務局が、申請書類が偽造であることを理由に登記申請を却下します。その時にはなりすまし役は行方不明で連絡が取れず、犯行が発覚したという事です。

こちらも、主犯格の男や関係者が逮捕されていますが、だまし取られたお金が戻ってきたのかどうかははっきりとしていません。地面師詐欺は不動産取引の性質、商慣習上多くの関係者が存在しており、どこまでが詐欺グループで、どこまでが知らないままに取引に関係したのかを明らかにすることが困難なため、だまし取られたお金が多くの関係者によって消費されていることが多い事も、お金が戻ってきにくい理由の一つとなっています。
参考:現代ビジネス(2017223日)「アパホテルから12億円を騙し取った「地面師」驚きの手口」など


3.地面師詐欺の実態

実際に日本で起きた地面師詐欺事件をご紹介しましたが、なぜ、このような事件が起こってしまうのでしょうか。第3章では、取引の実態を詳しく見ていきます。

3.1.地面師詐欺が成立しやすい不動産取引の実態

なぜこのような詐欺が成立してしまうのでしょうか。その理由は、不動産所有者を装いやすい不動産取引の実態にあります。
地面師は買主に対して、本来の所有者を装うために

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 印鑑証明書
  • その他公的書類

を偽造して提示してきますが、それらの偽造を見破るのは、不動産登記、書類作成のプロである司法書士でも難しいとされています。

また、不動産取引では、その性質上売主の方が立場が上(売ってやる、買わせてもらうという関係)になってしまう事が多く、決済の場において買主の取引をサポートする司法書士が、売主の本人確認を十分に果たせないケースが多いことも、地面師詐欺が成立しやすい理由の一つになっています。

この世に二つと同じ不動産は存在しないからか、不動産取引において買主は「買いたい」という気持ちが先行しがちです。取引の場で売主の本人確認を厳密に行うことで売主の機嫌を損ねてしまっては困るという気持ちから、本人確認が十分に行えないケースが発生してしまうのです。

不動産取引の決済の場は一般的に

  • 買主による売買代金(手付金がある場合は、残余代金)の振込
  • 売主による着金確認
  • 売主が買主の司法書士に「権利証(登記識別情報通知)」「印鑑証明書」を預ける
  • 司法書士が法務局で登記申請

という流れで進みます。

地面師詐欺の場合、買主がお金を売主に渡してしまってから、法務局で書類偽造が発覚し登記申請が却下されるまでの間には、一般的には数日間のタイムラグが発生します。
つまり地面師グループに逃げる時間が発生してしまう事が、この詐欺が成立しやすい理由の一つとなっています。

地面師詐欺が成立しやすい理由

3.2.なぜ、地面師に騙されてしまうのか

ここまで、地面師の手口について説明をしてきましたが、なぜ大手の不動産会社など、取引のプロでも騙されてしまうのでしょうか。
「こうすれば騙されなかったのではないか?」と、いくつかの疑問があなたにわいてくるはずです。より地面師についての理解を深めるために、その疑問についてみていきます。

物件の現地訪問をすれば見破れるのでは?

地面師が詐欺の対象として狙う不動産は、たとえ買主が現地訪問を行なったとしても、所有者の偽装が見破られにくいものですそのような不動産を慎重に選んで、地面師は詐欺を行なっています。

まず空き家更地であれば、そこに所有者もいなければ、所有者からそこを借りている人もいないため、買主が現地に地面師グループと同行しても、本当の所有者や、本当の所有者を知っている人と鉢合わせする可能性は限りなく低くなります。
空きビルや、管理人が常駐していない施設の場合も、鍵をかけ替えたり合い鍵を作ったりして、現地内部まで一緒に立ち入る場合などがあり、その場合はより所有者本人であると信じ込ませやすくなります。
所有者本人が亡くなっていたり施設に入ったりしている場合も、現地に所有者本人がいないため地面師詐欺を見破りにくくなります。

所有者本人が現地にいるはずの不動産の場合も、完全に安心とは言えません。地面師グループが、所有者本人に接触し、買主の現地訪問に合わせて旅行に行かせる等、現地から遠ざけておくケースも見受けられます。取引相手の案内に従って現地訪問するだけでは、詐欺を見破ることが難しいのが実態です。

周囲に聞き込みをすれば見破れるのでは?

2017年に起きた積水ハウスの地面師事件においては、報道関係者がなりすまし役の写真を周辺住民に見せて、「所有者の顔と違う」という証言を得ていました。同じことを積水ハウスも事前に行うべきだったという批判も出ています。
しかし不動産取引においては、売主が様々な理由で「秘密裏に売却したい」「売りに出していることを知られたくない」という希望を持っているケースが多く存在します。
何が売主の耳に入り、機嫌を損ねるか分からない状況で、買主側が周辺への調査を表立ってできないのが実情でもあります。買主は、売主の機嫌を損ねるのはもちろん、「もっと高い値段で買う」という競争相手の出現も防ぎたいのが心理なので、事件が起きた後の報道関係者のように、売主の周辺を大々的に調べ回るのは買主側にとって現実的ではないのです。

登記情報をきちんと見れば見破れるのでは?

所有者本人を装うという地面師詐欺の特徴上、登記情報を見ても詐欺を見破ることは不可能です。
登記情報には本人の顔写真などは含まれていないため、登記情報と、偽造された本人確認書類を見比べるだけではそれが詐欺と気づくことはできません。

なぜ、冷静な判断を欠いてしまうのか?

地面師詐欺を防ぐには、所有者に対する入念な本人確認が必須となります。しかし取引によってはこの本人確認が十分に行なえないことが、地面師詐欺を防げない理由の一つとなっています。
先述の通り、不動産の取引においては売主が買主よりも強い傾向にあります。対象となっている不動産が立地面、価格面で買主に魅力的である場合はなおさらです。売主は相場に合わせて「誰にでも売る」と買主を選ぶことができますが、買主は同じ不動産を他の売主から買う事はできません。同じ不動産が二つとない事から、この力関係が発生しているのです。
そのため、買主からの本人確認のための質問を「しつこい」と売主が嫌がるなど、売主の機嫌を損ねれば取引が簡単に破談となってしまう可能性があります。この力関係のため、後になってみれば「冷静さを欠いていた」と評される判断を行なってしまうケースがあるのです。

3.3.地面師の犯人は逮捕されるのか?

少し前に話題となった積水ハウスの事件では、容疑者は逮捕され、主犯とされる被告に対しても実刑判決が下りました。
ただ、グループとして活動する地面師は、警察関係者がその活動の総体を掴みにくい事も多く、犯人逮捕に至らないケースもあるようです。
地面師グループの役割分担の中では、偽造した本人確認書類の中に顔写真が証拠として残る、なりすまし役が最も逮捕されすいのというのが一般的です。しかし、なりすまし役は地面師グループの中では末端の使い捨てが担う事が多く、報酬も低いとされているので、なりすまし役を逮捕するだけでは地面師グループの中枢まで迫ることができないというのが現実です。

3.4.地面師にだまし取られたお金は戻ってくるのか?

地面師にだまし取られたお金は、買主のもとに戻ってこないケースが多いようです。
犯人が捕まって、刑罰が与えられたとしても、警察がお金を強制的に犯人から返還させることはできません。被害者は「不当利得返還請求」という民事裁判を起こす必要があります。民事裁判で、お金の返還請求権が認められたとしても、加害者がそのお金を既に使ってしまい返済能力がない場合には、泣き寝入りするしかないというのが実態です。


4.地面師に騙されないための防衛手段

地面師の手口をお伝えしてきました。多人数が周到な準備をして臨み、逮捕リスクも高いので、個人が買うような金額の不動産については、あまり地面師が関わるケースはなさそうと思われるかもしれません。
しかし、2020年6月に報道された東京都目黒区の土地をめぐる地面師事件では、売却代金が7000万円とそれほど高くないのが特徴的でした。多くの人にとって不動産取引は一生を左右するほどの重要な取引です。防衛手段を紹介しますので、頭に入れて臨みましょう。

地面師への防衛手段

4.1.本人確認を専門家と一緒に徹底して行う

これまでお伝えしてきた通り、地面師は不動産所有者本人となりすまし、買主にそれを信じさせることによって詐欺を行います。買主側の防衛手段として最も重要なのは、売主の本人確認を徹底して行う事です。

積水ハウスの地面師事件では、事件後に報道関係者が、偽造されたパスポートの写真を使って現地周辺に聞き込みを行なったところ、「土地所有者はこんな顔の人ではない」という証言を得ることができたようです。先述の通り、買主が大々的に周辺に対して売主の本人確認の調査をするのは難しいのですが、不動産取引が行われようとしている事実を明るみにしないよう工夫しながら、自分が取引しようとしている売主が不動産の所有者本人であると確かめる必要があるでしょう。
書類の偽造などは担当の弁護士司法書士などと相談して、見るべきポイントを事前に聞いておきましょう。

4.2.信頼できる仲介業者、司法書士を選んで味方につける

不動産会社が仲介として入った取引で、地面師に騙された場合は、仲介業者にも損害賠償責任を認めている事例もあります。司法書士も同じなので、手数料はかさみますが買主側の味方を増やすというのは有効な方法です。本人確認や、取引の安全性を高めるのに一定の役割を果たしてくれます。

しかし仲介業者や司法書士までもがグルである(地面師グループの一員である)場合には、取引後に連絡がつかなくなってしまい意味がありませんので、サポートをお願いしようとしている仲介業者や司法書士の取引件数や業歴、評判などはきちんと確認しましょう。まともな実体、実績のない専門家とは取引を行わないように注意しましょう。
しかし、こうした専門家のサポートを得ても地面師に騙されることはありますし、よほどの落ち度がない限りは専門家に全額の賠償責任を負わせるのは難しいため、完全に安心というわけではありません。あくまで自分で注意して取引することが重要です。

4.3.地面師に狙われやすい不動産の特徴を知っておく

地面師が、詐欺の対象として狙いやすい不動産が存在します。これらの特徴を知っておくことによって、注意して取引に臨むことができます。ここまでも何例か紹介してきましたが、ここでまとめて理解しておきましょう。
地面師が狙いやすい不動産の例

所有者が高齢の物件

所有者が既に亡くなっている、もしくは老人ホームなどの施設に入っている場合などは、取引途中に本当の所有者が表に出てくることによって人目に触れるという事態になりづらいので、地面師グループにとっては所有者になりすますことが容易になります。

空き家、もしくは更地の状態が長く続いている物件

このような物件は、本当の所有者が現地に住んでいないため、たとえ偽の所有者を含む地面師グループと一緒に現地を訪れたとしても、地面師グループの嘘がばれにくくなります。また近隣への聞き込みを行なっても、本当の所有者の事を知っている人がいる可能性が低いため、本人確認が行いにくいというのが特徴です。

担保権の設定がない物件

担保権の設定があるという事は、その不動産を売却するときには抵当権の抹消手続きが必要になるという事です。もう少し詳しく言うと、銀行などが所有者に対しローンの貸し出しを行なっている場合に抵当権の設定がされることがあるのですが、それを抹消するために所有者が銀行などとやり取りする必要があります。そのため、銀行にあらかじめ本人確認書類を出している場合など、なりすましがしにくいため、地面師から守られやすいという事になります。
逆に言うと、担保権(不動産では抵当権)の設定のない物件では、取引に関係するステップ、人数がそれだけ少なくなるため、地面師にとって詐欺のために扱いやすい物件となります。

以上のような物件に出会った際は、より注意して臨むようにしましょう。

4.4.怪しい取引のサインに注意する

地面師が詐欺を働いている不動産取引には、いくつかの怪しいサインが存在します。

怪しい取引サインの例

取引態様が仲介、代理

この取引態様自体が怪しいというわけではありません。しかし2つの取引態様の特徴として、売主本人に決済時まで会う事ができないケースが多いという事があるので、本人確認にはより注意して臨む必要があります。
仲介とは、不動産業者などが売り手と買い手をつなぐ役割として取引に介在しているパターンです。代理とは、売主が別にいて代理人とやり取りを行うパターンです。どちらも、売主と直接交渉、やり取りをする場合と比べると、売主と接触できる機会は非常に限られています。
地面師詐欺の案件では、この仲介業者や代理人も地面師グループの一員であることがほとんどであるため、売主だけでなく仲介業者や代理人の素性を調べることも、詐欺被害から自分を守るためには重要です。

決済までの期間が短い、急かされる

地面師が本来の所有者を装っている期間が長ければ長いほど、詐欺がばれてしまう期間が長くなるため、地面師が関わる案件では決済を急かされるケースがよくあります。

  • 「他にも交渉中の買主がいる」
  • 「売主に特別の事情があって決済を急いでいる」

など、理由は色々ありますが、不自然なほど決済を急かされる場合は注意すべきです。

売主となかなか会わせてもらえない

「売主に会いたい」と言っても、何かと理由をつけて断られる場合などは注意が必要です。地面師側としては、所有者になりすます役と買主が何度も会うと、それだけ所有者本人でない事がばれる可能性が高くなるので、なるべく理由を作って会わせないようにします。
通常の不動産取引でも、売主と買主が実際に会う機会はそう多くはありませんので、売主に会えないからと言って一概に詐欺の可能性が高いとは言えません。しかし不自然なほど売主に会う事が妨げられるようであれば、注意したほうが良いでしょう。


5.(参考)地面師を描いた作品

被害額の大きさを考えると、自分の身に降りかかると思うと恐ろしいのが地面師詐欺事件ですが、その手口や、一つの不動産をめぐる人間関係などは、フィクションとしてとらえれば興味深いものです。
不動産会社に勤める身からしても、仕入れの重大さは共感できるので、怪しさがありつつも取引を進めていかなければいけない買主に私はつい同情してしまうのですが、改めて気を付けないといけないなと思わせてくれます。
事件の時系列や、詐欺グループの役割分担など、より深く理解したいという方には、こちらの小説がお勧めですので、ぜひ読んでみてください。

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また、こちらの小説はNetflixでドラマ化されています。2024年7月から配信開始しており話題沸騰中ですので、こちらもぜひご覧ください。

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