一括借り上げってどうなの?選ぶべき人と判断基準【フローチャート付】

一括借り上げ
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物件を購入するときは、物件購入後の管理についても理解を深めた上で契約すべきです。その際に、一括借り上げのサブリース契約にするのか、それとも、一般的な管理委託の契約にするのか、悩む方は多いのではないでしょうか。

当社でも、毎月約160名のオーナー様から物件の管理に関する相談を受けていますが、やはり多くのオーナー様がどちらの管理方法で契約すべきか悩まれています。

この記事では、一括借り上げのサブリース契約を検討している方がチェックすべき項目をまとめました。

当社の管理コンサルタントの観点から、

  • 新築アパートを購入しようとしている人
  • 中古アパートを購入しようとしている人
  • 既に物件を持っている人

3つの状況に分けて一括借り上げを選んだ方がよい状況をフローチャート図で整理しています。3つの状況でそれぞれ、一括借り上げ契約を選ぶべきなのか判断基準が変わってきますので、ご自身の状況にあうフローチャートを活用し、チェック項目を確認してください。

一括借り上げとはどんな仕組みなのか、契約の落とし穴について分からない方は、必ずこちらの記事を先にご覧ください

そもそも一括借り上げのサブリース契約は、

  • アパート経営による家賃収入が減ってしまう
  • 一定期間ごとに賃料の見直しがある
  • 不動産会社による家賃保証が行われない免責期間がある

といった契約上の落とし穴があります。

これらの落とし穴を理解した上で、サブリース契約をうまく活用することで、不動産投資を成功させることができます。

あなたが一括借り上げのサブリース契約を選ぶべきなのか、最終的な判断基準としてこの記事を活用していただければと思います。


1.【はじめに】収支が不安定になるリスクが高い物件ならサブリース

本記事では、3つの状況に分けて、一括借り上げのサブリース契約を選んだ方が良い場合の判断基準について解説していきます。ただし、基本的には、あなたが投資する物件が、収支が不安定になるリスクが高い物件の場合にはサブリース契約をおすすめしています。

なぜなら、サブリース契約では賃貸経営における

  • 賃料収入
  • 入居者募集の広告費用
  • 原状回復工事費用

を主とする変動する収支を一定にすることができるからです。

そのため、収支が不安定になるリスクが高い物件ほどサブリースの強みを生かすことができます。

状況別の詳しい話は2章から、解説していきます。


2.新築アパートを購入する人がサブリース契約を結んだ方が良い判断基準

新築物件サブリース契約判断フローチャート

基本的に新築アパートの場合は、サブリース契約のメリットを大きく受けることができます。

なぜなら、新築アパートを購入した時は、以下のような理由で収支が不安定な状態となるからです。

①全ての部屋が空室のため、空室に入居者が入るまで家賃収入が得られない

アパート建設時に組んだローンは、毎月返済しなければならないため、収支がマイナスになってしまいます。

新築なので、全く入居が決まらないということはありませんが、例えば、15戸以上の物件であれば、満室になるまでには少なくとも2か月かかると考えておくべきです。

②一度にすべての部屋を募集するため、多額の広告料がかかる

当社の事例から考えても、「家賃1か月分×部屋数」分の広告料は一度にかかってしまいます。特に新築時は、賃料を高く設定するため、空室に入居者を入れるのが難しく、「家賃2か月分×部屋数」の広告料がかかる場合もあります。

家賃10万円の部屋が15部屋あるアパートであれば、少なくとも150万円の広告料がかかると考えておくべきです。逆に、こういった初期の募集費用を払う余裕がない場合には、サブリースを選ぶべきだといえます。

サブリース契約を結ぶことで、このように不安定な新築アパート購入直後の収支を安定させることができるため、基本的には新築アパートを購入する際にはサブリース契約をおすすめしています

これらの点を踏まえた上で、新築アパート購入時にサブリース契約を結ぶべき場合を以下で確認していきましょう。

2-1.新築アパート購入時に、サブリース契約を選ぶ方が融資条件がいいか?

サブリース契約融資条件

新築アパートを購入する際に、

  • サブリース契約であれば銀行からの融資が出る(サブリース契約でないと融資が出ない)
  • サブリース契約であれば有利な条件で銀行からの融資が出る

場合があります。

銀行員の方には、サブリース契約の方が広く知られており、安定した不動産投資ができるという印象があるためです。

銀行の方から勧められた、という理由だけでサブリース契約を選ぶべきではありませんが、銀行からの融資をよりよい条件で受けることができれば、毎月の返済額を抑えることができ、よりよい資産形成ができます。

融資をスムーズに受けるための方法の一つとして、サブリース契約を選ぶというのも選択肢の一つです。

2-2.新築アパート購入時に、借り上げ料率が85%~90%に設定されているか?

サブリース契約借り上げ料率

サブリース契約を結ぶ際に、注意すべきことは「借り上げ料率」です。せっかく高い家賃で空室に入居者を入れることができても、サブリース契約の借り上げ料率によっては、思っていたよりも家賃収入が入ってこない場合があります。

新築アパートの借り上げ料率の相場は、85%~90%だといわれています。

新築アパートは、入居者からの需要が高いので相場よりも少し高い家賃を設定することができますので、借り上げ料率が相場よりも低い場合には、サブリース契約を選ぶべきではありません。

【補足】借り上げ料率が高くても不動産会社が儲かる理由

基本的に不動産会社は、空室に入居者を入れて、借り上げ料率よりも高い入居率を維持することで、サブリース契約で利益を出すことができます。したがって、借り上げ料率を高くしすぎてしまうと、空室に入居者が入らなかった際に不動産会社は損をしてしまいます。

借り上げ料率が90%でも利益が出ている時は、あなたが購入する新築アパートの建築費用を余分にとることで利益を出している可能性があります。


3.中古アパートを購入する人がサブリース契約を結んだ方が良い判断基準

中古物件サブリース契約判断フローチャート

サブリース契約の特徴は、空室の数に関わらず、収支が一定であることです。そのため、空室リスクが高い物件においてサブリース契約は特にメリットが大きいといえます。

この章では、一日に3050店舗の不動産仲介会社を回って、入居需要のヒアリングを行っている当社のリーシング部隊の考えに沿って、空室リスクが高い物件の基準を示しました。ここで示すような空室リスクが高い物件を購入する場合には、サブリース契約をおすすめします。

また、物件が劣化してきている中古物件は、新築物件に比べて、部屋の配管に問題が起きたり、ドアの建付が悪くなったりと、入居者からの問い合わせも多くなります。

サブリース契約であれば、毎月の明細内容が変わりませんし、アパートの部屋で、階下漏水など大きなアクシデントが起きない限り管理会社からの連絡は来ませんのでオーナーの手間がかからないことが特徴です。サブリース契約にすることで、賃貸経営にかける時間を少しでも抑えることができます。

これらの点を踏まえた上で、中古アパート購入時にサブリース契約を結ぶべき場合を以下で確認していきましょう。

【補足】中古アパートでサブリース契約を結ぶことができる不動産管理会社は多くない

中古アパートでサブリース契約を結ぶことができる不動産管理会社はあまり多くありません。

なぜなら中古アパートは新築アパートと違い、空室に入居者を入れる入居付けの力が強い会社でないと、空室が多くなってしまうため不動産会社が損をしてしまうためです。

もし、下記に当てはまるような物件を購入予定で、サブリース契約を結ぶことができる管理会社が見つからない場合には、空室に入居者を入れる力の強いプロパティマネジメント型の管理会社に管理を依頼すべきです。

プロパティマネジメント型(PM型)であれば、一般的な管理会社が5~10店舗で入居者の募集を行うところ、100~120店で入居者の募集を行うことができるため、空室を埋めることに特化した管理会社だといえます。

弊社もPM型を採用しており、実際に、駅遠・築古の物件でも入居が決まり、入居率97%を維持しています。

プロパティマネジメント型の管理会社については、こちらの記事をご覧ください。

3-1.購入予定の中古物件は、駅徒歩15分以上の物件か?

サブリース契約駅徒歩

購入予定の物件が駅徒歩15分以上の物件の場合には、サブリース契約を選ぶといいでしょう。

なぜなら、駅からの距離が徒歩15分以上の物件は、空室リスクが高いといわれているからです。特に駅から徒歩20分以上になると確実に空室リスクがあると考えるべきです。

とはいえ、駅からの距離だけではなく、他の要素も考慮に入れて本当にサブリース契約を選ぶべか判断してください。

3-2.購入予定の中古物件は、築年数が30年以上の物件か?

サブリース契約築年数

築年数が30年以上の物件の場合には、サブリース契約を選ぶといいでしょう。

30年以上の物件は物件が古く、入居者の需要が低いため、空室リスクが高いといえます。

特に木造の物件は、劣化が激しいため、入居者の需要はさらに低くなるので注意が必要です。

とはいえ、この場合にも築年数だけではなく、他の要素も考慮に入れて本当にサブリース契約を選ぶべか判断してください。

3-3.購入予定の中古物件の過去の入居率は、70%を切っていたか?

サブリース契約入居率

中古のアパートを購入する際には、過去のレントロールを確認することができます。

購入しようとしている物件の過去の入居率を確認し、70%を切っている場合には、需要の低い物件である可能性が高いといえます。

その場合には、サブリース契約を選ぶといいでしょう。

ただし、過去の入居率が低い原因が、

  • 現在のオーナーがリフォームできていない
  • 管理会社が能力不足

のように、物件購入後、自分で解決できる理由であれば、空率リスクが高いわけではありません。

レントロールの見方についての詳細は、こちらの記事で解説しています。

3-4. 購入予定の中古物件は、リフォームができておらず、競合物件に劣る状態か?

サブリース契約リフォームの有無

競合物件と比べて、所有するアパートのグレードが低い場合には、競合物件に負けてしまうため、空室リスクが高まってしまいます。リフォームを行うことで、このリスクは回避できますが、リフォームができておらず、競合物件に負けてしまう場合には空室リスクが高いといえます。

その場合には、サブリース契約を選ぶといいでしょう。

ただし、購入後自分でリフォームを行うことを考えているのであれば、空室リスクが高いわけではありませんので、一般管理でも問題ないでしょう。

リフォームを行う場合には、費用に見合ったリフォームを行うために「リフォーム利回り」という考え方をおすすめします。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

物件の状態が競合物件に劣る状態かどうかは、物件を購入予定の不動産会社に周辺情報を聞いてみることで知ることができます。ただし、不動産会社としては、物件を買ってほしいと考えるためあまりネガティブな内容は口にしない可能性があります。

念のために、下記の2つの方法で、自分で周辺需要について調べることをおすすめします。

①賃貸仲介サイトで調べる

  • 同じエリアの競合物件にどんな設備がついているか
  • 賃料の相場はどのくらいか

2点を調べ、購入予定の物件が競合物件に負けていないか調べる。

②仲介会社の営業マンにヒアリングする

偏りがないように何社か聞き、自分の物件が競合物件に負ける場合には、「売れる商品にする」ためのアドバイスをもらう。


4.既に物件を持っている人がサブリース契約を結んだ方が良い判断基準

所有物件サブリース契約判断フローチャート

管理会社を変更するタイミングなどで、サブリース契約を結ぶべきか考えている場合、今までの収支の状況を考慮することが重要です。これまで、赤字経営が続いていて不安な場合には、サブリース契約を結ぶことで、安定した収益を手にすることができ、心の安心を手に入れることができます。

これらの点を踏まえた上で、サブリース契約を結ぶべき場合を以下で確認していきましょう。

4-1.所有物件は、全室空室か?

サブリース契約全空

すべての部屋を1つの法人に貸していたが、全室解約となってしまった場合など、全室が空室である場合です。全部屋の募集を一度に行うと、多額の募集費用がかかる上に空室が埋まるまで家賃収入が入りません。

このような場合には、サブリース契約を結ぶといいでしょう。

4-2.所有物件は、毎年の返済赤字が続いており、サブリース査定額が返済額を上回るか?

サブリース契約返済額

例えば、月々のローン返済額が50万円、サブリース収入が70万円であれば、サブリース収入が変わらない限りは、一貫して収入を得られるため、安心して不動産投資を行うことができます。毎年の返済赤字が続いている場合には、一般管理で収益の最大化を狙うよりも、サブリース契約を結び、安定した不動産経営を行うといいでしょう。

4-3.所有物件は、入退去が頻繁で工事費などの出費が不安か?

サブリース契約原状回復費

アパート経営では、入居者が退去する際に、原状回復工事という工事を行います。入退去の頻度が上がるほど、工事費用がかかってしまうため、空室に入居者が入っていても、入居者がいつ退去するか分からず、不安に感じる方もいらっしゃいます。サブリースであれば、こういった工事費用は管理会社が負担するので、不安を解消することができるでしょう。

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4-4.所有物件は、リフォームをしたものの、空室に入居者が入るか不安か?

サブリース契約リフォーム効果

空室に入居者を入れるためには、ある程度のリフォームが必要になる場合があります。せっかくお金をかけてリフォームしたにも関わらず、空室に入居者が入らないと、ローンの返済やリフォーム費用の出費ばかりかかってしまいます。

リフォームをしたが、空室に入居者が入るか心配な場合は、サブリースにすることで不安を解消できるでしょう。


5.まとめ

  • 新築アパートを購入しようとしている人
  • 中古アパートを購入しようとしている人
  • 既に物件を持っている人

3つの状況に分けて一括借り上げを選んだ方がよい状況を解説してきました。

一括借り上げのサブリース契約を選ぶべきかどうかは、状況によってそれぞれ異なります。

サブリース契約の落とし穴を理解した上で、本記事のフローチャートを活用し、各項目だけでなく他の項目も考慮して、一括借り上げのサブリース契約を選ぶべきかどうかご判断いただければと思います。

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