還元利回り(キャップレート)とは?初心者にも分かりやすく解説

還元利回り(キャップレート)とは、不動産の収益性を表した利率のことで、不動産価格を算出する時に用いられます

不動産価格 = 1年間の利益(家賃収入-経費) ÷ 還元利回り(%)

この計算式で使われる利率が、還元利回りです。ちなみに、還元利回りの目安は、立地や築年にもよりますが賃貸用住宅なら5~8%程度、事業用なら7~10%程度です。

例えば還元利回り6%を見込めるマンションがあった場合、年間の予想利益が1,200万円なら、適正価格は1,200万円÷6%=2億円となります。

この記事では、「還元利回りの意味を調べたけどいまいち理解できなかった」という方にもしっかり理解してもらえるよう、以下の内容を解説していきます。

▼この記事を読んでわかること

  • 還元利回りとは、不動産価格を算出する時に用いられる数値のこと
    還元利回りの平均は、立地や築年にもよるが賃貸用住宅なら5~8%程度、事業用なら7~10%程度

  • 還元利回り・表面利回り・実質利回りの違い

  • 不動産の適正価格を知るためには還元利回りがとても重要
    還元利回りが1%違うだけで、物件価格に大きな差が出てくる
    つまり、還元利回りをいくらに設定するかがとても重要
  • 個々の物件の還元利回りを予想するには、2つの方法がある
    ①類似物件の利回りから予想する方法
    ②キャップレートマップで還元利回りを調べる

本来「還元利回り」とは、不動産鑑定士が不動産の価値を鑑定するために用いられるものです。しかし、不動産投資家が賃貸用物件を購入しても良いか判断する際の指標にもなる数値です。還元利回りを使って不動産の適正な価格を算出できるようになれば、投資判断をしやすくなるでしょう。

ぜひ最後まで読んで、還元利回りや収益還元法についての知識を身につけてください。


1. 還元利回りとは?

まずは「還元利回り」とは何か、概要から説明していきます。

1-1. 物件価格を評価するために用いられる利回りのこと

冒頭でも述べた通り、還元利回り(キャップレート)とは不動産の収益性を表した利率のことで、不動産価格を算出する時に用いられます

投資対象として検討している不動産価格を知りたい場合、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼しますよね。その時、不動産鑑定士が不動産価格を求めるために使うのが、この「還元利回り」の利率です。

▼収益還元法(直接還元法)で不動産価格を求める計算式

不動産価格 = 1年間の利益(家賃収入-経費) ÷ 還元利回り(%)

不動産価格を求めるために使われる不動産鑑定方法には「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つがありますが、還元利回りは「収益還元法(直接還元法)」を用いられる場合の計算式で使われる利率です。

還元利回りの利率は、立地や築年にもよりますが賃貸用住宅なら5~8%程度、事業用なら7~10%程度が目安です。計算式に使う還元利回りを何パーセントに設定するかについては、「5. 個々の物件の還元利回りを予想する方法」で詳しく解説します。

1-2. 還元利回りを使った不動産価格の求め方

還元利回りとは何かさらに深く理解するために、具体例を使った収益還元法での不動産価格の求め方を解説します。

▼収益還元法(直接還元法)で不動産価格を求める計算式

不動産価格 = 1年間の利益(家賃収入-経費) ÷ 還元利回り(%)

1年間の利益とは?

1年間の利益とは、年間家賃収入-年間経費のことです。
経費には、維持管理費や水道光熱費、修繕費、保険料などが含まれます。正確な経費を把握するのが難しい場合は、家賃収入の20~30%が経費の目安となります。

還元利回りを使った計算例

1年間の利益(家賃収入-経費)が1,200万円で、還元利回りが6%を見込めそうなマンションなら、その不動産価格の適正額は、1,200万円÷6%=2億円となります。

このように、還元利回りと1年間の利益さえ分かれば、不動産価格の適正金額を求めることができるのです。

なお、収益還元法の考え方を詳しく知りたい方は、「3分で分かる!収益還元法の考え方と積算法・取引事例比較法との違い」もぜひお読みください。

1-3. 不動産価格と年間利益が分かれば還元利回りを求められる

一般的には、不動産価格を求めるための要素として用いられる「還元利回り」ですが、逆に、不動産価格と1年間の利益が分かれば、還元利回りを求めることもできます。

還元利回り(%) = 1年間の利益(家賃収入-経費) ÷ 不動産価格(円)× 100

この場合、還元利回りは、投資額に対する年間の利益の割合、つまり不動産の収益性を表した利率といえます。例えば不動産価格が2億円で、想定される1年間の利益(家賃収入-経費)が1,200万円の場合、還元利回りは6%となり、投資した2億円のうち年間6%の利益を得られることが分かります。

また、還元利回りは、投資した金額の回収に何年必要かという指標にもなります。例えば還元利回りが6%なら16年で投資金額を回収できますが、5%なら20年、4%なら25年かかることが分かります。

還元利回りが高いほど収益性が高いと評価できるため、例えば還元利回り4%の物件Aと6%の物件Bでは、物件Bの方が収益性が高いと判断できます。

想定される1年間の利益が1,200万円の場合、

価格が2億円の物件Aの還元利回り=1,200万円÷2億円×100=6%
価格が3億円の物件Bの還元利回り=1,200万円÷3億円×100=4%

このように、不動産価格が決まっている場合は、還元利回りを計算して比較することで投資物件の判断ができるでしょう。


2. 還元利回りと別の言葉との違いを理解しよう

還元利回りについて解説したところで、別の「利回り」系の言葉と意味を比較していきましょう。

「利回り」と名が付くものは数多くの種類がありますが、ここでは、特に良く耳にする「表面利回り」「実質利回り」との違いを解説します。

 

言葉の意味

還元利回り

不動産価格を算出する時に用いられる、不動産の収益性を表した利率のこと

=1年間の利益(家賃収入-経費) ÷ 不動産価格(円)× 100

表面(グロス)利回り

不動産価格に対して現時点で家賃収入をどの程度得られているかを表した数値

=1年間の家賃収入 ÷ 不動産価格(円) × 100

実質(ネット)利回り

(NOI利回り)

運営時や購入時のコストも考慮に入れた上で、収益性がどの程度出るかを表した数値

=(年間家賃収入-年間コスト)÷(不動産価格+購入時コスト)× 100

2-1. 表面(グロス)利回りとは

表面(グロス)利回りとは、不動産価格に対して現時点で家賃収入をどの程度得られているか、その収益性を表した数値です。

表面利回り(%) = 1年間の家賃収入 ÷ 不動産価格(円) × 100

例えば、毎月得ている家賃収入が100万円、不動産物件価格が2億円だった場合、表面利回り=100万円×12カ月÷2億円×100=6%となります。

個人投資家などの間で単に「利回り」とのみ表現される場合は、この表面利回りを指すことが一般的です。

ただし、表面利回りでは経費を考慮していないため、実際どの程度コストがかかっているかを考慮に入れた実質利回りも計算することをおすすめします。

2-2. 実質(ネット)利回り(NOI利回り)とは

実質(ネット)利回りとは、運営時や購入時のコストも考慮に入れた上で、収益性がどの程度出るかを表した数値です。NOI利回りともいいます。

実質利回り(%) =
(年間家賃収入-年間コスト)÷(不動産価格+購入時コスト)× 100

例えば、年間家賃収入が1,200万円、経費は収入の20%、不動産物件価格が2億円、購入時コストが1,000万円の場合、実質利回り=(1,200万円-1,200万円×20%)÷(2億円+1,000万円)×100=4.57%となります。

先ほど表面利回りを求めた例と同じ数字を使っていますが、表面利回りは6%でも、実質利回りは4.57%となることが分かりますね。このように、実際のコストも考慮に入れた利回りが実質利回りです。

表面利回りと実質利回りの違いについて詳細を知りたい方は、「表面利回りと実質利回りの違いとは?物件選定の目安となる計算方法」の記事もご覧ください。

2-3. 実質利回りと還元利回りの違い

実質利回りの説明を読んで、「還元利回り」と求め方がほとんど一緒だということに気付いた方もいるかもしれません。以下の通り、2つの利回りの計算式は似ていますね。

実質利回り(%) =
(年間家賃収入-年間コスト)÷(不動産価格+購入時コスト)× 100

還元利回り(%) = 1年間の利益(家賃収入-経費) ÷ 不動産価格(円)× 100

それでは実質利回りと還元利回りは何が違うかというと、実質利回りは実際に現在得ている収益を計算したときの利回りをいうのに対し、還元利回りはこれから買おうと思っている不動産の適正価格を知りたい時に使う利回りだということです。

求め方は似ていますが、使われるシーンが違うと理解すると良いでしょう。


3. 不動産の適正価格を知るためには還元利回りが重要

ここまでの解説で、還元利回りを使えば不動産の適正な価格が分かることが理解できたと思います。ここからは、還元利回りを何パーセントに設定するかで、その適正価格にかなり差が生まれることを説明していきます。

還元利回りが高いほど、少ない投資金額で多くの利益を得ることができます。つまり、還元利回りが高いエリア・業種・物件であれば、より安く物件を購入できるのです。

▼収益還元法(直接還元法)で不動産価格を求める計算式

不動産価格 = 1年間の利益(家賃収入-経費) ÷ 還元利回り(%)

1年間の利益が1,200万円の場合
①還元利回りが5%なら、不動産の適正価格は2.4億円
還元利回りが6%なら、不動産の適正価格は2.0億円
③還元利回りが7%なら、不動産の適正価格は1.7億円
④還元利回りが8%なら、不動産の適正価格は1.5億円
⑤還元利回りが9%なら、不動産の適正価格は1.3億円

周辺地域の還元利回りなどを参考にして、対象物件の還元利回りが5%程度見込めるならば、不動産の適正価格は2.4億円となります。しかし、還元利回りが特に高いエリアで7%程度見込めるならば、もっと不動産価格は安く住むはずで、適正価格は1.7億円となります。

このように、還元利回りを何パーセントに設定するかが、物件の適正価格を見極めるうえでとても重要なポイントとなります。

それでは、還元利回りはいったい何パーセントに設定すれば良いのでしょうか?


4. 還元利回りの平均は5~8%程度

個々の物件ごとに還元利回りは異なりますが、地域別の還元利回りを参考に設定することができます。

以下に、共同住宅(店舗・事務所との併用を含む)の地域別の還元利回りをまとめましたので、参考にしてみてください。

地域

還元利回り

全国

6.0%

都心5区

4.6%

都心周辺区

6.1%

東京その他

5.3%

大阪市

4.2%

名古屋市

5.4%

他中核市(人口30万程度)

6.0%

他人口10万都市

6.7%

その他地域

8.8%

参考:株式会社二十一鑑定「評価先例(平成31年4月から令和2年3月)の地域別・築年数別平均還元利回り」

ちなみに、還元利回りが高ければ高いほど単純に良いというわけではなく、空き室リスクや老朽化リスクなどが低い物件は還元利回りが低くなります。地方(その他地域)の還元利回りが高いのは、こうしたリスクプレミアムが上乗せされているからと考えられます。

表には集合住宅の還元利回りをまとめましたが、事業用不動産の場合は集合住宅よりも還元利回りの平均が高めとなります。レジャーホテルの場合は全国平均で9.5%、旅館は7.4%、事業用不動産は7.9%などとなっています。


5. 個々の物件の還元利回りを予想する2つの方法

不動産鑑定士が不動産の評価を行う際には「不動産鑑定評価基準」という統一的基準を用いて行います。これによると、還元利回りを求める方法として、以下の5つの方法が挙げられています。

①類似の不動産の取引事例との比較から求める方法

②借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法

③土地と建物に係る還元利回りから求める方法

④割引率との関係から求める方法

⑤借入金償還余裕率の活用による方法

ただし、これらの方法は少し難しいので、プロではなくても還元利回りを求められる方法を2つ紹介していきます。

基本的には、還元利回りはプロの不動産鑑定士が賃貸用不動産の価値を鑑定する時に使う数値です。ただし、自分でも収益還元法を使って不動産価格を求めてみることで、収益物件を取得するべきかの判断材料にできるでしょう。

5-1. 類似物件の利回りから予想する方法

不動産価値を算出したい物件に類似した物件の取引事例から利回りを求めて、取引事情の違いに応じた補正を行って還元利回りを算出する方法です。

①類似した物件の取引事例を見つける

国土交通省「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」から、類似した物件の取引価格を見つけましょう。

②類似物件の利回りを算出する

例えば、同じエリアで似たような物件があったとします。その物件の予想される1年間の利益と不動産価格(取引価格)が分かれば、類似物件の利回りを出せます。

類似物件の利回り(%)= 予想される1年間の利益(万円) ÷ 不動産価格(万円)

例えば、予想される1年間の利益が1,200万円で、取引価格が2億円だったとすると、利回りは6%となります。

もしくは、「楽待」や「健美家」で似たような条件の物件の利回りを参考にする方法もあります。ただし「楽待」や「健美家」に掲載されている利回りは表面利回りなので、載されている表面利回りから2割ほど割り引いた利回りを目安にすると良いでしょう。

③類似物件と条件を比較して還元利回りを補正する

次に、購入を検討している物件と、類似物件の条件(築年数や駅からの距離など)を比較します。築年数が浅かったり駅からの距離が近かったりする場合は利回りを高めに、逆の場合は利回りを低めに設定すると良いでしょう。

5-2. キャップレートマップで還元利回りを調べる方法


引用:キャップレートマップ(CaprateMap)

個々の物件の還元利回りを設定する方法として、もうひとつおすすめの方法が、「キャップレートマップ(CaprateMap)」というサイトを利用する方法です。ユーザー登録必須ですが、誰でも無料で利用できます。

キャップレートマップでは、GoogleMap上に地価公示の地点(標準地)やREIT物件の利回りなどが表示されています。調べたい住所や施設名を検索することもできるため、調べたいエリアの還元利回りを瞬時に見つけ出すことができます。

①キャップレートマップにログイン(新規登録)

https://www2.capratemap.com/loginからキャップレートマップにログインします。アカウント登録がまだの方は、「アカウントを登録」から新規登録してください。登録は無料です。

②調べたい地名やランドマーク名を検索する

検索窓に調べたい地名やランドマーク名キーワードを入力し、周辺の地図を表示させます。表示された地図の中から、条件の近い類似物件を探し出して、キャップレートを確認しましょう。

③類似物件と条件を比較して還元利回りを補正する

次に、購入を検討している物件と、類似物件の条件(築年数や駅からの距離など)を比較します。築年数が浅かったり駅からの距離が近かったりする場合は利回りを高めに、逆の場合は利回りを低めに設定すると良いでしょう。


まとめ

この記事では、「還元利回りとは何か」を丁寧に解説してきました。本来は不動産鑑定に使われる用語なので、少し難しく感じる方もいたかもしれません。

不動産投資を行う上で重要な「利回り」ですが、さまざまな種類の「利回り」が存在しているため、「結局どの利回りを使って計算したら良いのだろう?」と悩んでしまう方もいるかもしれません。

今回説明した、それぞれの利回りの違いをしっかり把握し、適材適所で必要な利率を使えるようになると良いでしょう。

また、自分なりの最低利回り利率を設定するなど、投資判断する上での方針を見つけていけるといいですね。

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