
アーリーリタイアとは、定年を待たずに仕事を辞めて引退することを意味します。仕事のストレスから解放され、毎日を悠々自適に過ごせるアーリーリタイアに憧れる方は多いのではないでしょうか。
そこで気になるのは「一体いくらあれば実現できるの?」ということです。結論から言うと、35歳でアーリーリタイア(完全リタイア)するには、なんと1億3,800万円もの貯金が必要です。45歳なら9,700万円、55歳でも5,600円が必要となるため、やはりある程度の資金力が無ければ難しそうに感じる数字ですよね。
しかし、完全にリタイアするのではなく、不動産投資や株式投資、アフィリエイト、アルバイト収入などある程度の収入を確保しつつリタイアする「セミリタイア」ならば、そこまでの貯金額が無くてもアーリーリタイアは可能です。例えば、65歳まで副業などの収入を月30万円確保できるならば、35歳時点で3,000万円あればアーリーリタイアは可能なのです。
この記事では、アーリーリタイアしたい全ての人に向けた有益な情報をお伝えします。
この記事を読むと分かること
◎アーリーリタイアには、完全リタイアとセミリタイアがある
◎アーリーリタイアするために必要な貯金額
完全リタイアの場合、35歳:1億3,800万円、45歳:9,700万円、55歳:5,600万円
セミリタイアの場合、35歳: 3,000万円、45歳: 2,500万円、55歳: 2,000万円
◎アーリーリタイアするメリットとデメリット
◎実際にアーリーリタイアした成功事例から分かった、向いている人の特徴
◎アーリーリタイアするための4つのステップ
後半では、アーリーリタイアを実現するために何をすれば良いか、4つのステップを具体的に解説しています。「絶対アーリーリタイアしてやるんだ!」と思っている方は、ぜひ最後までお読みいただき、その夢を実現させてください。
目次
1. アーリーリタイアとは?
アーリーリタイアとは、定年を待たずに、「早め(アーリー)」に「退職・引退(リタイア)」することを意味します。早期リタイアなどとも呼ばれます。
通常アーリーリタイアというと40〜50代でのリタイアをイメージしがちですが、欧米ではさらに若い世代の間で「FIRE(ファイア)」と呼ばれる早期リタイアムーブメントが起こり、20代や30代から自由な生活を目指そうという動きが広がっています。
「FIRE」とは「Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)」の頭文字で、お金のために頑張って働く生活から脱却し、夢や願望を追求するライフプランや概念を指します。最近では欧米だけでなく、日本の若者の間でも話題となっている考え方です。
1-1. アーリーとは定年退職前のこと
早め(アーリー)とはどのくらい早めなのかというと、定年退職を迎える前を意味します。
現在、正規雇用の定年は一般的に60歳または65歳です。それよりも前に自らの意思で退職したならば、アーリーリタイアと言って良いでしょう。実現性が高いのは50代、早ければ30代や40代で退職を選ぶ強者もいるかもしれません。
2020年に高齢者雇用安定法が改正されて、2021年4月からは70歳までの雇用が努力義務として課せられるようになりました。そのため、今後は60代であってもアーリーリタイアと呼ばれる時代が来るかもしれません。
1-2. リタイアとは仕事から離れること
リタイアとは、仕事を辞めて自分の時間を全てプライベートに割く生活をいいます。
アーリーリタイアに似た言葉に「早期退職」がありますが、早期退職後に別の会社に転職するならばそれはアーリーリタイアとはいいません。
1-3. アーリーリタイアとセミリタイアの違い
アーリーリタイアの中には、完全に仕事を辞めるのではなくアルバイトや投資などで最低限の収入を得つつ、自由な時間を過ごす「セミリタイア」というスタイルもあります。
完全リタイア型 | セミリタイア型 | |
概要 | 完全にリタイアし、貯蓄のみで生活すること | アルバイトや投資などをして最低限の収入を確保しつつ、自由な時間を過ごす |
リタイア後の 収入源 | なし | ・アルバイトなどの給与収入 ・投資や個人事業で得られる収入 ・不労所得で得られる収入 |
メリット | 全ての時間が完全に自分のプライベート時間になる | 社会との接点を無くさず、最低限の収入源も確保できる安心感がある |
デメリット | 収入が完全にゼロになる | 完全リタイアよりは自由時間が少ない |
必要貯金額 | 約1.5億円程度 | 3,000万円程度 |
それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを選ぶかはリタイア後にどんな生活を送りたいかによります。
2. アーリーリタイアするために必要な貯金額
アーリーリタイアしたい人にとって最も知りたいことと言えば、「いくら貯金があればアーリーリタイアを実現できるか」ということではないでしょうか。
完全リタイアする場合(リタイア後の収入ゼロ)と、セミリタイアで65歳まで毎月30万円収入がある場合に分けて、必要な貯金額をまとめた表が以下です。
リタイア年齢 | 完全リタイア型 | セミリタイア型 |
35歳 | 1億3,800万円 | 3,000万円 |
45歳 | 9,700万円 | 2,500万円 |
55歳 | 5,600万円 | 2,000万円 |
※試算条件については後述します。
完全リタイアとセミリタイアではかなり必要な貯金額が変わることがお分かりいただけるのではないでしょうか。この後、さらに詳細に貯金額シミュレーションの内容を解説していきます。
2-1. 完全リタイアに必要な貯金額
完全リタイアするには、以下の貯金額が必要です。リタイア後の収入はゼロとなるので、リタイア後の生活費を全て現役時代に稼いでおかなければならないことになります。
リタイア年齢 | リタイア後の生活費 | 必要資金 |
35歳 | 【65歳まで】360万円×30年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入180万円)×25年間 | 1億3,800万円 |
45歳 | 【65歳まで】360万円×20年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入200万円)×25年間 | 9,700万円 |
55歳 | 【65歳まで】360万円×10年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入220万円)×25年間 | 5,600万円 |
【共通の前提条件】 ・生活費の計算は、90歳までとする ・生活費は、65歳までは年間360万円、65歳~90歳までを年間300万円として計算 ※「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)」の結果を参考に算出 |
【年金収入について】 ・35歳に退職した場合、年金額は基礎年金80万円×2、厚生年金20万円(平均標準報酬額30万円10年間勤務)として計算 ・45歳に退職した場合、年金額は基礎年金80万円×2、厚生年金40万円(平均標準報酬額30万円20年間勤務)として計算 ・45歳に退職した場合、年金額は基礎年金80万円×2、厚生年金60万円(平均標準報酬額30万円30年間勤務)として計算 |
①35歳でアーリーリタイア(完全リタイア)する場合
35歳で完全リタイアするには、35歳の時点で1億3,800万円の資金が必要となります。35歳でそれだけの貯蓄がある人はかなり特殊なケースでしょう。仮に大学卒業後の23歳から働いたとして12年間の間に、毎年1,150万円のペースで貯金し続けなければ到達できない数字です。
給与収入以外に不動産投資などで大きく資産を増やした人や、個人事業などで多額の年収を稼いだ人など、一握りの人でなければ30代でのアーリーリタイアは難しいかもしれません。
②45歳でアーリーリタイア(完全リタイア)する場合
45歳の場合は9,700万円と、35歳のケースよりは少し現実的な数字となっています。しかし、やはり40代で1億円弱の貯蓄を持てる人もそれほど多くはいないでしょう。
会社員の給与収入だけではなく、投資などで着実に資産を運用すれば実現の可能性は高まります。
②55歳でアーリーリタイア(完全リタイア)する場合
55歳の場合は5,600万円と、ようやく実現可能性が見えてくる数字ではないでしょうか。23歳からの32年間で年間175万円、毎月14.6万円貯金を続けられれば貯められる金額です。
早いうちから先取り貯金などで確実に貯金したり、積立投資や不動産投資で資産を増やしたりしていれば、実現できる金額です。
2-2. セミリタイアに必要な貯金額
セミリタイアでは、ある程度の収入が毎月あるため、完全リタイアと比べるとリタイア時に必要な貯金額は少なくて済みます。
ここでは、リタイアしてから65歳までの間、アルバイトや個人事業、不動産収入などで得られる収入が毎月10万円・20万円・30万円の場合で、セミリタイアに必要な金額を算出してみました。
各条件は完全リタイアで解説した値と同じです。
①65歳まで、毎月の収入が10万円確保できる場合
リタイア年齢 | リタイア後の生活費・収入 | 必要資金 |
35歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×30年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入180万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】120万円×30年間 | 1億200万円 |
45歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×20年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入200万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】120万円×20年間 | 7,300万円 |
55歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×10年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入220万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】120万円×10年間 | 4,200万円 |
②65歳まで、毎月の収入が20万円確保できる場合
リタイア年齢 | リタイア後の生活費 | 必要資金 |
35歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×30年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入180万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】240万円×30年間 | 6,600万円 |
45歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×20年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入200万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】240万円×20年間 | 4,900万円 |
55歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×10年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入220万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】240万円×10年間 | 3,200万円 |
③65歳まで、毎月の収入が30万円確保できる場合
リタイア年齢 | リタイア後の生活費・収入 | 必要資金 |
35歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×30年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入180万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】360万円×30年間 | 3,000万円 |
45歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×20年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入200万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】360万円×20年間 | 2,500万円 |
55歳 | ◆支出 【65歳まで】360万円×10年間 【65歳以降】 (300万円-年金収入220万円)×25年間 ◆収入 【65歳まで】360万円×10年間 | 2,000万円 |
65歳まで別の収入源が毎月30万円あれば、会社員を退職してアーリーリタイアしたとしても、それほど多額の蓄えがなくても生活していけることが分かります。
ただし、収入が途絶えてしまえば資金不足に陥る可能性が高いため、できるだけ安定的に収入源を確保する努力が必要となります。
3. アーリーリタイアするメリット
定年前に引退して自由な時間を過ごせるアーリーリタイアに多くの人が憧れを抱いています。ここでは、具体的にアーリーリタイアすることでどのようなメリットがあるのか、まとめました。
3-1. 仕事をするストレスがない
「仕事が大好きで、何のストレスも無い!」という方はそれほど多くは存在しないでしょう。対価を頂いて働く以上、業務内容や人間関係についてなど、さまざまな仕事上のストレスはつきものです。
アーリーリタイアすれば仕事をしなくて良くなるため、そうしたストレスから解放され、毎日を穏やかに過ごせるようになるでしょう。
3-2. 自由なプライベート時間が増える
フルタイム雇用の会社員の場合、1日8時間×週5日で働くことが一般的です。1日24時間のうち、3分の1は仕事に費やしていることになります。
しかしアーリーリタイアすれば、24時間365日が全て自由なプライベート時間となります。
3-3. 趣味や家族のために時間を割ける
アーリーリタイアすると、全ての時間が自由時間なので、自分の使いたいことに時間を割けるようになります。趣味に没頭するのも良いでしょうし、家族のために時間を使うのも良いですし、フルタイムで働いている時にはできなかった時間の使い方ができます。
何をしたいか自分で決めることができ、逆に言うと、したくないことは一切しない生活を送ることができます。仕事ではやりたくないこともやる必要がありましたが、アーリーリタイアすればそうしたことが無くなります。
3-4. 新しいことにチャレンジできる
自由時間が増えるため、その分、新しいことにチャレンジしやすくなります。働きながらだと余暇の時間が少ないため、なかなか新しい領域に挑戦することは難しいですよね。しかし、たっぷり時間があれば、習得する時間を存分に使えるため、未開拓の分野に足を踏み入れることができるでのです。
趣味についてもそうですし、今までの仕事と関係のない分野を勉強して、新しいスキルを身に着けるのもおすすめです。
3-5. 毎日を穏やかに豊かに過ごせる
自分のやりたいことだけを好きな時にできる生活を手に入れることで、ストレスフリーになり、結果的に毎日を穏やかに豊かに過ごせるようになります。
会いたい人に会いに行ったり、行ったことの無い場所に行ったり、ボランティア活動などに参加して地域に貢献したりするのも良いでしょう。余裕を持った心で、豊かな生活を送ることができます。
4. アーリーリタイアするデメリット
夢のような生活を送ることができるアーリーリタイアですが、もちろんデメリットもいくつか存在します。事前にデメリットも知っておくことで対策を立てておけるため、デメリットも知っておくと良いでしょう。
4-1. まとまった収入源が無くなる
アーリーリタイアの最大のデメリットは、まとまった収入源が無くなることです。仕事を辞めるということは、すなわち仕事によって得られていた対価も無くなるということです。
特に、完全リタイアの場合は毎月の収入はゼロになるため、あとは貯蓄が減っていくだけとなります。潤沢な資産があれば問題ありませんが、収入が無いことへの不安を感じる人もいるでしょう。
4-2. 毎年資産が減っていく
まとまった年収を得ていた仕事を辞めるわけですから、当然、毎年資産が減っていくことになります。先ほどのシミュレーションでも例として用いましたが、65歳までは年間360万円(毎月30万円)程度、65歳以降も年間300万円(毎月25万円)程度の生活費がかかります。
※この生活費は、総務省統計局が発表した「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)」の結果を参考にしています。
①二人以上の世帯での毎月の消費支出:約29.3万円
②世帯主が65歳以上の無職世帯の毎月の消費支出:約25.2円
ただし、アーリーリタイア後に「世界旅行をしたい」「趣味に没頭したい」と散財してしまえば、年間360万円の出費では済まないでしょう。リタイア後はかなり早いペースで資産が減っていくデメリットがあります。
4-3. 早くリタイアすればするほど受け取れる年金額が減る
将来受け取ることができる年金の支給額は、納めた期間の長さで決まります。会社員を早く辞めてしまうと厚生年金を納めない期間が長くなるため、その分、受け取れる年金額は減ってしまいます。
アーリーリタイアする場合は、その場合に将来受け取れる年金額がいくらになるのか事前にシミュレーションしておくことが大切です。
4-4. 周囲から承認・評価されることがなくなる
アーリーリタイアのデメリットは金銭面だけではありません。
仕事をしていれば周りから承認・評価されることや、ありがとうと感謝される場面があるでしょう。しかし、アーリーリタイア後は自分がやりたいことをやれる一方、人から感謝されたり評価されたりすることが少なくなる傾向があります。
人によっては社会とのつながりを失くして孤独感を味わうことになるでしょう。
4-5. 社会的な信用スコアが下がる
アーリーリタイアして仕事を辞めてしまうと、「クレジットカードを新しく作れない」「ローンが借りにくくなる」など、社会的な信用スコアが下がることがあります。なぜならば、企業に属している会社員から無職という扱いになってしまうからです。
一般的に、社会的な信用スコアは、努めている企業の大きさや勤続年数、年収などによって変動します。収入が途絶えた無職の方よりも、今後も定期的な収入が継続しそうな人の方が、貸し倒れリスクが低いと判断されるからです。
多額の金融資産や担保となる不動産を持っていない無職の方は、お金を借りる際に条件が不利になったり、賃貸物件に入居しにくくなったりというデメリットが生じる場合もあります。
4-6. 資産が不足した場合に再就職しづらいケースがある
最後に紹介するデメリットは、アーリーリタイアしたものの資金が不足してしまい再び働こうと思った場合に、再就職が難しい可能性があることです。特に、ブランクが長くなった場合、年齢が高くなっていた場合には、簡単に再就職先が見つからないかも知れません。
なぜならば中途社員を募集している企業は即戦力を求めている場合が多いため、ブランクが長くて過去の経験が生かせない人材や、企業カラーに染まりにくいシニア層は敬遠されてしまいがちだからです。ブランクや高年齢であっても採用されるには、「専門性の高いスキルを持っている」「豊富なマネジメント経験がある」など秀でた経験が必要となります。
再就職しづらくなるデメリットを避けるためには、完全リタイアではなくセミリタイアにして、持っているスキルを陳腐化させない努力も必要となります。
このようにアーリーリタイアには良い面だけではなくデメリットも多く存在していることを理解したうえで、それらに対しての対策を考えておくことが大切です。
5. 成功事例から分かるアーリーリタイアに向いている人の特徴
実際にアーリーリタイアを実現できる人は、ほんの一握りの人に限られるでしょう。しかしながら、現実にアーリーリタイアで理想的な生活を手に入れて人生を謳歌している人がいるのも事実です。そうした成功者になるにはどうしたら良いでしょうか。ここでは、アーリーリタイアに向いている人はどんな人か考えていきます。
5-1. 投資やM&Aなどで数億円の資産を貯めた人
アーリーリタイアにまず必要なのは、働かなくても生涯暮らしていける資産があることです。実際に40代や50代でアーリーリタイアを実現させた人のほとんどは、投資やM&Aなどで数億円の資産を貯めて引退を決意しています。
例えば40代でアーリーリタイアを実現した「ろくすけ」さんは、日本株への株式投資などで生涯賃金並みの資産ができたことをきっかけに40代で引退したそうです。現在は会社勤めは辞め、月に数回旅行をしたり株主投資の講演を引き受けたりしながら、家族と穏やかに暮らしているそうです。
参考:Liiga「「“もう一つの人生”を送れる」。アーリーリタイアした40代が眺める、会社員時代には見えなかった景色」
また、個人投資家のはっしゃんさんも、成長株への長期投資で3億円の資産に到達したのをきっかけに、51歳でアーリーリタイアを実現しています。毎年1,000万円を使っても平均寿命まで生きられる資産があり、経済的な不安はない生活を送っています。
参考:日本経済新聞「成長株への長期投資で3億円 51歳で会社員卒業」
5-2. 不動産収入などの不労所得を得ている人
貯金を取り崩しながらも、さらに安定的に不労所得があれば、より安心してアーリーリタイア生活を送ることができます。例えば、不動産収入で毎月安定した収入があれば、余裕を持って早期リタイアを目指せるでしょう。
例えば神奈川県でさまざまな事業を手掛ける河合さんは、不動産投資で月120万円の収入を確保して、41歳で会社員を卒業し、アーリーリタイアを実現させました。実際には完全リタイアしたわけではなく、ハウスクリーニング業や訪問マッサージ業、太陽光発電設備も保有するなど、起業家として生活しています。
参考:日本経済新聞「月120万円の家賃収入を確保 41歳で会社員卒業」
埼玉の投資家・鈴さんは、32歳の時、貯金2,500万円でセミリタイアしました。IT企業に就職したものの会社に行くのが辛く、「早く退職したい」「毎月20万円の収入があれば生活できる」と思っていたそうです。FXやソーシャルレンディングなど複数の投資商品への投資やブログ収入でセミリタイアを実現し、その後は節税のために会社を設立して資産運用やブログ運営を続けています。
5-3. 早くからアーリーリタイアに向けて準備や計画を立てられる人
アーリーリタイアに向けて資産がいくら必要なのかをしっかりと見据えて、その目標に向けて早くから準備や計画を立てられる人は、アーリーリタイアに向いています。
先ほどの例で登場したはっしゃんさんがアーリーリタイアを意識したのは20代の頃だといいます。自分で事業を立ち上げて独立するために早期退職しようと思ったのがきっかけということですが、副業で始めたアプリ販売で多くの収入を得ていたそうです。
安心してアーリーリタイアするためには多くの資産や副収入を得る必要があるため、できるだけ早くから投資や副業など本業以外の柱を持って、計画的に資産を増やしていくことが大切です。
6. アーリーリタイアするために必要な準備ステップ
ここまで読んだ方には、アーリーリタイアを実現させるにはかなりの資産が必要なこと、そしてデメリットもあることを理解いただけたと思います。しかし、だからこそ、他の人にはできない自由な生き方に憧れる人も多いのではないでしょうか。
ここからは、アーリーリタイアを実現させるために今から始めたい準備をステップを追って解説していきます。
6-1. アーリーリタイア後のライフプランを立てる
ライフプランとは、生涯設計を立ててそのために必要な金額をシミュレーションすることです。
アーリーリタイアを実現するためには、アーリーリタイア後に必要となる資産を事前に貯めておく必要があります。そして、いくら貯めなければならないかは、アーリーリタイア後にどんな生活を送りたいかを具体的にイメージする必要があります。
例えば毎月の生活費をいくらで設定するのか、旅行は何年に一回いくらかけるのか、子どもはいつから私立に行かせるのかなどによって、必要となるお金はかなり差が出てきます。
一方で、65歳以降に受け取る年金額はいくらになるのかも同時に把握しておく必要があります。アーリーリタイアするとその分の厚生年金が減るため、年金額が減額になる点にも注意しましょう。日本年金機構が運営する「ねんきんネット」を使えば、退職年齢などに応じて将来受け取る年金額を試算できるので、必ずシミュレーションしてみましょう。
6-2. 寿命年齢までの収入・支出を全て試算する
ライフプランができたら、現在の貯蓄額や収入で実際にアーリーリタイアが実現できるのか試算してみましょう。40歳でリタイアした場合、50歳でリタイアした場合など、退職年齢ごとのいくつかパターンを用意しておくとイメージしやすいでしょう。
試算に必要なキャッシュフロー表は、日本FP協会やOfficeテンプレートなどのサイトからダウンロードして使うことができます。
出典:Officeテンプレート「ライフ マネー プラン シート」
現在から1年後、2年後、そして寿命までの1年ごとの収入と支出を全てキャッシュフロー表にまとめます。
◎収入:現在働いている会社からの給与、退職金、60歳以降に受け取る年金試算額など
(アーリーリタイア後も収入がある場合は、その収入も。)
◎支出:毎月の生活費、旅行や子どもの受験などイベントにかかる金額など
全てを入力し終えて、寿命年齢まで赤字にならなければアーリーリタイアできることが分かります。
6-3. 収入源や資産を確保する
アーリーリタイアできる計画を立てることができたら、あとは、その計画を確実に遂行するための収入源や資産を確保するだけです。投資などで資産を増やす予定ならば、何歳までにいくら必要なのかを逆算し、そのための具体的な計画プランや戦略を立てましょう。
そして、キャッシュフロー表に沿った資産が貯まれば、アーリーリタイア実現可能となります。
6-4. アーリーリタイア後も定期的に収支を見直す
アーリーリタイア達成後も、定期的にキャッシュフロー表を見直すことが大切です。資産がショートしないためには、キャッシュフロー表通りに計画が進んでいるかチェックする必要があります。
例えばキャッシュフロー表での毎月の生活費は40万円なのに実際は50万円かかっていたとなると、将来的に資産がショートする可能性があります。また、親の介護が必要になったなど思いがけない出費が遭った場合も、その都度キャッシュフロー表の見直しをするようにしましょう。
アーリーリタイア後に最も避けたいのは、資金が足りなくなることです。それを避けるために、ライフプランやキャッシュフロー計画は厳しめ(支出を多めに見積もっておく)にすることをおすすめします。
7. アーリーリタイアするには本業以外の柱を作ることが重要
最後に、アーリーリタイアを実現させるための秘訣をお伝えします。それは、給与収入以外の収入源を作っておくことです。
アーリーリタイアを実現した事例を調べると、ほとんどのケースで、株式投資や不動産投資、投資信託などの運用で資産を増やし、アーリーリタイア後も投資は継続しています。実際、給与収入だけでアーリーリタイアに必要な資産を貯めることは難しいでしょう。
例えば、家賃収入だけで年収500万円の生活を維持できたら、アーリーリタイアへの道がぐっと近づきますよね。
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まとめ
この記事では、アーリーリタイア実現を夢見ている方に向けて、さまざまな情報をお届けしてきました。
安全にアーリーリタイアするためには、まず計画を立て、資産や収入源を確保することが大切です。本業以外に不労所得の柱を作っておけば、アーリーリタイア後も完全に収入がゼロにならないためおすすめです。
このサイトでは不労所得を得るための方法など他にも有益な情報を多数掲載しておりますので、ぜひ他の記事にも目を通していただければ幸いです。
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