建物の法定耐用年数とは?構造別の年数一覧と減価償却費の計算ツール

法定耐用年数建物
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不動産投資などを行う際、建物の減価償却費を計算するために必要な要素の一つが、「その建物の法定耐用年数は何年か」という情報です。
建物の減価償却費は
・法定耐用年数
・築年数
・建物金額
をもとに決まるのですが、法定耐用年数は構造や用途によって変わるので、全てのパターンについて把握していないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、建物の法定耐用年数を一覧でお伝えすると同時に、計算ツールも用意しましたので、自分の持っている建物やこれから買おうとしている建物の減価償却費を簡単に求めることが可能です。

また、法定耐用年数の概念についても解説していますので、理解を深めていただけるようになっています。
ぜひ、新規の物件を検討する際などに利用していただければと思います。


1.建物構造別の法定耐用年数一覧

一口に建物の法定耐用年数と言っても、構造や用途によって細かく分かれています。法定耐用年数の説明自体は3章に記載します。
例えば住居だと、構造別にこのような形です。

  • 軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下の場合)…19年
  • 木造…22年
  • 重量鉄骨造…34年
  • 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造…47年

法定耐用年数の言葉の意味、説明は3章に記載しますが、年数の一覧はこちらに詳しく記載があります。
参考:建造物の法定耐用年数一覧 東京都主税局


2.建物の減価償却費のシミュレーションツール

不動産投資家の方には、経費を算出したり節税を検討したりするために、賃貸住宅の減価償却費を計算したい、というニーズがあると思います。

減価償却費の計算方法の詳細は4章に記載しますが、手っ取り早く減価償却費の額を知りたいという方向けに、計算ツールを用意しています(簡便法で耐用年数を計算しています)。

選択できる構造の種類は限られており、用途も賃貸用の住居に限定していますが、簡単に計算できますので、ぜひ利用してみてください。

<減価償却費の算出のために必要な情報>

  • 構造
  • 築年
  • 建物金額

<計算ツール>(※令和3年9月現在の制度に基づいています)


3.法定耐用年数とは

ここでは、建物の法定耐用年数の定義や意味について知りたいという方のために解説します。

簡単に言うと、法定耐用年数とは、「普通に直しながら使っていたらこの種類の資産は新品のときからこれだけの年数使えるはず」という年数を法で定めていて、その年数であると言えます。
建物の場合は、構造(なんの材料で主にできているか)と使用用途によって法定耐用年数が異なります。詳細は1章に記載した通りです。

法定耐用年数の使用用途は減価償却費の計算にあるため、法定耐用年数を超えた資産を使用することができないわけではありません。例えば木造住居の法定耐用年数は22年ですが、築30年など、22年を超えた物件にも通常通り住むことができるのは容易にイメージできると思います。

ちなみに厳密な定義は以下の通りですので、興味のある方は確認しておきましょう。

10万円以上の固定資産、例えば建物など、長期間にわたって使用、収益することが前提の事業用資産(=減価償却資産)について、財務省は資産ごとの耐用年数を定めており、これを法定耐用年数と呼びます。
ちなみに、建物には法定耐用年数がありますが、土地には法定耐用年数がありません。
耐用年数とは、「通常の維持補修を加える場合にその減価償却資産の本来の用途用法により通常予定される効果をあげることができる年数」と定義づけられています。

法定耐用年数を経過した物件でも、住むことは可能であるとお伝えしました。
しかし不動産投資でアパートを買うような場合においては、ほとんどの場合融資を金融機関から引いて購入するため、法定耐用年数の内相当程度を経過した、もしくは超えた建物は流動性が低くなることがあります。多くの金融機関が融資期間を法定耐用年数-築年数で決定しているため、築年の古い建物は融資期間が短くなることが原因です。

流動性

例えば木造住居の法定耐用年数は先ほど申し上げた通り22年ですが、金融機関が融資期間を上記の式で決定していた場合、築4年の物件は18年の融資期間になるのに対し、築13年の物件だと融資期間が9年と、半分になってしまいます。

同じ金額の物件で融資期間(=返済期間)が短くなると1年で返さなくてはいけない金額が多くなりますので、返済が難しいという方の割合が多くなります。その結果購入できる投資家が少なくなることが、流動性が低くなることにつながっています。


4.建物の減価償却費の計算方法

2章で、主に不動産投資家の方のために建物の減価償却費の計算ツールを紹介しましたが、ここでは計算方法を知りたいという方向けに計算式の解説をします。

減価償却費は、建物金額÷減価償却期間(耐用年数)で計算します。例えば4000万円の建物で減価償却期間が4年なら、1年で計上する減価償却費は1000万円です。

減価償却費

減価償却期間(耐用年数)の計算方法ですが、大多数のケースで簡便法が用いられます。このような形です。

耐用年数

※小数点以下は切り捨てです。
※既に保有している物件については、築年数は現在の築年数ではなく、取得時の築年数の事を指します。

順番的には

  1. 構造から法定耐用年数を把握する
  2. 法定耐用年数と取得時の築年数から、減価償却期間を出す
  3. 建物金額と減価償却期間から、減価償却費を出す。

という流れになります。
2章に掲載した減価償却費の計算ツールは、上記の計算式を組み込んでいます。


5.不動産投資において、節税に有利な物件とは?

「不動産投資で節税ができる」という勧誘を受けたことがある方も、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
減価償却費を活用して不動産所得に赤字を出し、給与所得等のプラスと損益通算することによって、所得税、住民税の節税を行なう事ができます。

例えば、給与所得が3000万円、不動産所得が1000万円の赤字の場合は下図のようなイメージとなります。

損益通算
効率的に、一定程度の節税が狙える条件は以下のようなものです。

①年収が1200万円以上であること
②RC造のマンションではなく、木造や鉄骨造のアパートを購入すること
③新築ではなく、中古物件を購入すること

①は、所得税が超過累進税率であるため、税率が高くなるにつれて節税効果が大きくなるからです。1200万円程度から、節税効果を感じやすくなります。

②、③については、1年あたりの減価償却費をなるべく大きくした方が節税の効率も上がるため、減価償却費が大きく取れるような物件の条件を挙げています。減価償却費の計算は4章で解説した通りですが、実際に計算をしてみると法定耐用年数が短い構造の方が、また築年数が古い建物の方が効率よく減価償却費を計上できることが分かります。

節税できる条件

損益通算を含む、実際の節税メカニズムと、そのメカニズムを活用した不動産投資法については、こちらの記事で紹介しています。


6.まとめ

不動産投資を行う際、法定耐用年数や減価償却費に関する知識を身に着けておけば、効率的な節税が可能になります。目的に合った構造や築年数の建物を選択できるように、理解を深めておきましょう。

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