活用できていない空き家を何とかしたい、とお悩みではありませんか?
相続などで思いがけず手に入れてしまった空き家は、そのままにしておくとお金ばかりがかかり資産を減らしてしまう原因になってしまいます。
しかし、「空き家の維持費や固定資産税がもったいない」と安易に空き家を解体して更地にしてしまうと、土地の固定資産税が余計にかかり逆に経済的負担が増えてしまう可能性があります。
はじめにお伝えしておくと、土地の固定資産税は更地にすることで高くなります。
支払い続ける固定資産税を無駄にしないためにも、もしあなたが使わない空き家を持っているなら放置せずに今すぐ活用することをおすすめします。
この記事では、
- 空き家を更地にすると固定資産税が高くなる仕組み
- 空き家を放置して今よりも固定資産税が高くなってしまうケース
- 空き家を活用する具体的な方法
について解説しています。
せっかく手に入れた資産を無駄にしないためにも、是非この記事を最後までお読みいただき資産形成のお役に立てていただければと思います。
目次
1.空き家を更地にすると土地にかかる固定資産税が高くなる
更地にすることで、建物にかかる固定資産税はなくなるため固定資産税は安くなると思ってしまいますが、空き家を更地にすると土地にかかる固定資産税は最大6倍、都市計画税は3倍高くなってしまいトータルとして支払う税金が高くなってしまいます。
1.1.固定資産税が高くなるのは減税特例が適用されなくなるから
固定資産税が高くなるのは、「住宅用地特例」という減税制度の特例が適用されなくなってしまうからです。
そもそも、建物が建っている土地は「住宅用地特例」により固定資産税は1/6,都市計画税は1/3減税されています。更地にすることで、この減税制度が適用されなくなるのです。
土地にかかる固定資産税と都市計画税の税額は、以下の計算方法で求めます。
※計算の基準となる固定資産税評価額は、3年に1度のペースで見直しが行われ、高くなることも、安くなることもあります。
※都市計画税は土地・建物を所有している全ての人が支払うわけではなく、自治体が定める区域に不動産を持つ場合のみ支払いが必要になります
仮に課税評価額3,000万円(土地)、1,000万円(建物)で、敷地面積100㎡の空き家がある場合、固定資産税がどう変化するか見てみましょう。
建物:1,000万円×0.3992×1.4%=5万5,888円(築25年の経年減価補正率の場合)
土地:3,000万円×1/6×1.4%=7万円
固定資産税額:12万5,888円
土地:3,000万円×1.4%=42万円
このように、1/6に減税される措置がなくなってしまうため、建物分の固定資産税がなくなっても、更地にすると固定資産税額が跳ね上がってしまいます。
固定資産税は、建物と土地の両方に対して課されるので更地にすれば建物に対してかかる固定資産税はなくなると考えてしまいますが、実際には更地にすると建物が残っている場合に比べて3倍以上の固定資産税を支払うことになってしまいます。
【補足】固定資産税は誰が払う?
固定資産税は、その年の1月1日時点で土地や建物を保有している人に課せられる税金です。人が住んでいても空き家でも、支払いの義務が発生します。さらに、その土地や建物の立地する場所が市街化区域に指定されている場合には、固定資産税のほかに都市計画税の支払いも必要です。
2.空き家を放置しても土地の固定資産税が高くなる
空き家を放置した場合にも、土地の固定資産税が高くなる場合があるので注意が必要です。
空き家が「特定空き家」に指定された場合には減税措置は適用されず、建物の固定資産税に加えて、土地の固定資産税が6倍になってしまいます。
2.1.空き家を放置すると、特定空き家に指定される
空き家のまま放置されていると、災害や老朽化が原因で倒壊を招くなどの危険性があるため、一定の条件に当てはまる空き家は、「特定空き家」として区分されます。
これは「空き家対策特別措置法」によって定められており、空き家の放置物件を減らすために、あえて厳しい税額を課すという政策です。
特定空き家に指定された場合には、1章でお伝えした減税措置は適用されず、土地の固定資産税は6倍になってしまいます。加えて、建物にも固定資産税がかかります。
2.2.特定空き家に指定される条件
下記の条件を満たして「特定空き家」に指定された場合は、特例の対象外になってしまいます。
こういった空き家は特定空き家に指定され、固定資産税の減税措置は適用されません。固定資産税を抑えるためにも、最低限空き家を維持管理する必要はあるといえます。
2.3.特定空き家に指定されるまでの流れ
特定空き家に指定されるまでの流れは主に以下の5つです。
- 調査
- 助言、指導
- 勧告(固定資産税の減免措置が除外される)
- 命令(命令に応じない場合、50万円以下の罰金)
- 行政代執行
市が調査を行い、助言をしたにも関わらず応じない場合には固定資産税の減免措置が除外されます。その他、罰金をとられる場合もあります。
固定資産税を無駄に払わないためにも、特定空き家に指定されないように空き家は放置せずにすぐに活用することをおすすめします。
3.固定資産税を滞納した場合
固定資産税を滞納した場合、延滞金が発生し最終的には差し押さえをされてしまいます。余計なお金を払わないために固定資産税は滞納すべきではありません。滞納しないためにも今すぐに空き家や更地の活用をすべきです。
【滞納した場合の流れ】
①延滞金が発生する
固定資産税を支払わずに滞納していると、各自治体が定めた延滞金がかかります。利率は決して大きいとはいえませんが、固定資産税額が大きいほど延滞金も高くなり、年間で数万~数十万円に達することもあります。
②督促・催告書が届く
納付期限日から20日が経過しても固定資産税を支払わなかった場合には、土地と建物を管轄する役所から督促状が届きます。督促状を無視すると、催告書が内容証明郵便で送付されることになり、この書類には最終的な納付期限が記され、それを超過すると差し押さえの手続きに入ると宣告されます。
③財産調査が行われる
督促や催告の結果、固定資産税が支払われなかった場合には、土地や建物を所有している人物に対して財産調査が行われ、資産が確認されます。給与所得をはじめ、預金残高、株式、保険、不動産、家財、貴金属なども調査対象になり、差し押さえの際にスムーズに回収できるよう準備が行われます。
④差し押さえを受ける
財産調査が終了した段階で支払いが認められなかった場合は、いよいよ差し押さえとなり、換金できる財産はすべて没収されます。ここで換金した金額が固定資産税に届かなかったときは、建物そのものが差し押さえの対象となり、競売にかけられ、相場を大幅に下回る金額で売却されることになります。
4.空き家は放置せず今すぐ活用すべき
空き家を放置することは固定資産税がかかるだけで非常にもったいない状態です。有効な使い方をすれば、煩わしかった空き家があなたの資産になります。
空き家のおすすめの活用方法は大きく分けて次の2つです。
①リノベーションして貸し出す
②壊して土地活用する
次で解説していきます。
4.1.リノベーションして貸す
1つ目は、空き家をリノベーションして、民泊・戸建て賃貸として活用する方法です。
一戸建てフルリフォームの坪単価は、平均17~60万円位になるパターンが多いですが、個別性があるため
リフォーム会社から見積もりを取得して確認することをおすすめします。
ただし、リフォーム会社は見積もりを出すことは可能ですが、周辺に賃貸需要があるかはわかりませんのでそもそも戸建の賃貸需要があるかを以下の2点で確認しましょう。
- ホームズなどの不動産仲介サイトで同じくらい駅徒歩、広さの戸建ての戸建てが掲載されているか確認する
- 地元の仲介業者に周辺の需要を聞く
もし、リフォームの費用を抑えたい場合にはDIY賃貸として貸し出すという方法もあります。
4.2.壊して土地活用する
2つ目は、壊して土地活用する方法です。
特に、賃貸需要があるエリアであればアパートにして賃貸経営をするのが一番おすすめです。
ただし田舎ほど持ち家率が高くなるのでアパート需要は見込めない場合が多いです。アパートにする場合には、まず周辺の賃貸需要を調べることが大事です。
アパートマンションの賃貸管理を行っている会社に周辺の賃貸需要に関する調査を依頼することをお勧めします。
例えば、当社では、関東エリアで2万戸を管理し、賃貸仲介会社6000社と関係性を構築しているため、ご所有の土地のエリアでアパート需要がどのくらいあるのかを調べることが可能です。
その他より詳細な土地活用方法についてはこちらの記事をご覧ください。
5.売却するなら、解体せずに売るのがおすすめ
空き家はできれば活用すべきですが、
- 手間がかけられない
- お金がない
ときには売るべきです。
売るときには、解体して更地にしてから売るのではなく、空き家をそのまま売却するのがおすすめです。
その理由は以下の4つです。
①解体しない方が余計な固定資産税が抑えられるから
②更地にして売っても買取金額が上がるわけではないから
③古家に価値が見込める可能性があるから
④解体にお金がかかるから
5.1.解体しない方が余計な固定資産税が抑えられるから
壊れそうで放置するのが怖いときは更地にした方がいいと思うかもしれませんが、もし屋根が飛んでいったなどで損害が出ても保険に入っていればそれで対応できる可能性があります。
そのため、まずは保険に入っているかどうかを確認しましょう。保険に入っていなければ壊して更地にするというのも選択肢の1つではありますが、1章でお伝えしたように、更地にすると固定資産税は今よりも高くなるということを確認しておきましょう。
また、建物が壊れそうな場合には、高く売る事よりも早く売ることを重視し一般媒介契約で仲介業者に売却依頼をすることをおすすめします。ただし、売る物件によってどの媒介契約を結ぶべきかは個別性が強いため、こちらの記事であなたにあった媒介契約を見つけてみてください。
5.2.更地にして売っても買取金額が上がるわけではないから
売却するときには、空き家のまま売っても空き家を解体して更地にしてから売っても、買取金額にほとんど影響はありません。そのため、解体をせずに売却することをおすすめします。
実際、「中古戸建、土地どちらでもご検討できます!」という風に売り出されていることが多いです。
利用できなさそうな建物が建っている場合でも、解体費込みで査定金額が出されるため、更地の方が高いと思っても、解体費を考えるとほとんど差はありません。
5.3. 古家に価値が見込める可能性があるから
築年数の古い住宅であっても、価値が見込める場合があります。古民家としての利用価値があれば古家であっても需要が期待できます。特に近年では古民家ブームが起こっているため、赴きのある住宅は人気が高いです。
不動産の仲介サイトでも、「レトロ物件」というカテゴリが存在し、趣があることに加えて部屋が広く家賃が安いことで人気となっています。
このように空き家がお金になるときがあるので解体せずにそのまま売ることをおすすめします。どういうときに価値が見込めるかというのは素人では判断が難しいので不動産業者に任せましょう。
5.4.解体にお金がかかるから
解体費は一般的に
木造:4~5万/坪
鉄骨:6~7万/坪
RC:10万/坪
かかります。
売る際に解体費をかけるのはもったいないので、特に解体が必要でなければそのまま売りに出すのが良いでしょう。
以下の記事ではアパートの解体について解説しています。
6.さいごに
いかがでしたでしょうか。空き家や土地の活用にお悩みの方へ、いくつかの解決方法をお話しさせていただきました。
現在のご自身の状況や今後の方向性を踏まえ、最適な選択を取るお手伝いができましたら幸いです。
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