代表的な土地活用の方法12選|成功させるために注意すべきポイントとは

土地活用
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ずっと放置していた土地の活用方法に悩まされ、立ち止まっていませんか?

土地活用の方法は1020種類にも渡るため、どれだけ調べても「自分にとって最適な土地活用法はどれだろう?」と頭を抱えることがあるでしょう。

土地を持っているにも関わらず、うまく活用できていない人、もしくは税金ばかりかかってしまい

「土地なんていらない」

と思ってしまう人も多くいますが、我々不動産のプロからするとそれは非常にもったいない事です。誰もが土地を持っているわけではありませんから、土地を持っているだけで、資産活用という意味ではあなたはとても有利な立場にあります。

また、どんな土地にもいい所があり、有効な使い道があります。活用の仕方次第ではあなたの人生を好転させることになりますし、あるいは使い方を間違えれば、大きな失敗にもつながりかねません

この記事では、これまで500人以上の方の土地活用をしてきた我々が、

  • 「土地を相続したけど、固定資産税を払っているだけで何もできていない」
  • 「とりあえず駐車場経営をしているけど、これが最適か分からない」
  • 「遊休地を活用したいけど、何をすればいいかわからない」

このようなお悩みを解決すべく、

  • 土地活用12種の全体像とそれぞれのメリット、デメリット
  • 土地活用の進め方
  • 土地活用を成功させるための注意点
  • 土地活用に関するよくあるQ&A

これらについて解説します。

具体的には、土地活用の代表的な方法として次の12種類をご紹介します。表にもある通り、土地活用は方法によって必要になる自己資金が異なりますので、本記事では自己資金別・目的別におすすめの土地活用法を紹介し、その具体的な進め方をお伝えします。

自己資金 相続税・固定資産税等の軽減 副収入を得る 遊休地の活用
ほぼゼロ 等価交換 トランクルーム 土地の貸与
少し(0~500万円程度) 戸建て賃貸経営 シェアハウス 駐車場
中(500~1000万円程度) アパート経営 コンビニ経営 太陽光発電
多い(1000万円以上) オフィスビル 商業ビル コインランドリー経営

(参考)一括相談サービスの利用を検討している方へ

この記事にたどり着いた方の中には土地活用の一括相談サービスの利用を検討している方もいるかもしれません。一括相談サービスを利用して決めるのも良いですが、営業マンからの提案を鵜呑みにするのも避けた方が良いです。なぜなら、あらゆる選択肢の中からあなたに最適な方法を選択するためには、客観的かつ公平なジャッジが必要だからです。

土地活用を進めているお客様のお話を聞いていると「もっと良い方法があったのに・・・」と感じることが多々あります。ですから、営業マンからの提案を受ける前に正しい情報を仕入れ、あなたの頭の中で適切な判断基準を持っておくことが大切です。

その意味でも、放置したままの土地を上手に・最適な方法で活用し、利益を生み出すためにもぜひ最後までご覧ください。


目次

1.自己資金・目的別のおすすめ土地活用方法

まず初めに、自己資金別、目的別でどのような土地活用の方法がオススメか下記にまとめます。

自身が土地活用に関してどのくらいお金を投入できるのか、また何のために土地活用をしたいのかによって最適な方法は異なります。もっとも、最適なものを記載していますが、必ずしもその方法で進めなければならないということもありません

自己資金 相続税・固定資産税等の軽減 副収入を得る 遊休地の活用
ほぼゼロ 等価交換 トランクルーム 土地の貸与
少し(0~500万円程度) 戸建て賃貸経営 シェアハウス 駐車場
中(500~1000万円程度) アパート経営 コンビニ経営 太陽光発電
多い(1000万円以上) オフィスビル 商業ビル コインランドリー経営

以降の章からは、各手法の具体的なメリット・デメリット、向いている土地についてお伝えします。


2.自己資金がほぼ必要ない土地活用 

まず初めに、自己資金をほとんど必要としない土地活用についてお伝えします。

2.1.相続税・固定資産税等の軽減目的:等価交換

等価交換

等価交換とは、デベロッパーに土地を譲渡し、デベロッパーがそこにマンションを建設、完成後に土地・建物を分け合う手法です。

等価交換のイメージ

等価交換の詳細

【メリット】
マンションを建設するための資金はデベロッパーが支払うため、自己資金がなくても進められ、区分マンションを得られるのがメリットです。

また、そのマンションを貸し出して賃貸収入を得ることも、売却してお金に変えることもできます。さらに、土地という1つのまとまった資産が複数室のマンションに変わるため遺産分割がしやすくなるのもメリットといえます。

等価交換によって更地がマンションになることで、相続税の評価額を抑えて相続税を減らすことができます。さらに、土地の固定資産税についても住宅用地の軽減措置を受けて税額を減らすことができます。

【デメリット】
先祖代々受け継いできた土地を手放すことになる。また、土地オーナー自身の意向とデベロッパーの意向に食い違いが生まれると、事業が難航する可能性も。

【向いている土地】
100坪~。駅徒歩圏内のエリア。首都圏の場合は中心地へのアクセスのしやすい駅周辺。

【収支例】
100坪の土地。総戸数20戸中8戸を取得し、月10万円で貸し出して賃貸経営を行う場合(土地の持ち分は土地オーナー:デベロッパー=3:2とします。)

年間収入:960万円(満室想定)
年間支出:300万円(諸経費)
年間収支:660万円
節税効果:60坪分(100坪の3/5)の土地の固定資産税評価額が1/6になります。
固定資産税評価額が16500万円→1650万円になり、約45万円の節税になります。

また、もともと更地であった土地は、マンションを建設することでその相続税評価額は8割程度になります(地域や空室数によって変動します)。土地100坪がもともと1億円の相続税評価額であれば60坪分の土地に対して5200万円程度評価額を抑えることができます。

【等価交換で進めたい場合は?】
マンションを開発するデベロッパーはあまり多くありません。「マンション デベロッパー」と検索をかけることでいくつか候補企業を見つけることができます。

2.2.副収入目的:トランクルーム

トランクルーム

【概要】
トランクルーム投資は、保有している土地にトランクルームを設置し、契約した方の荷物を収納しその賃貸料を得る事業です。

トランクルームのイメージ トランクルームの詳細

所有する土地にトランクルームを設置して収納スペースを提供し、賃料収入を得る手法です。トランクルームを置くだけで始められるため、投資額が少なく、とっつきやすい点がメリットです。狭小地や変形地でも活用しやすいのも利点です。一方で、アパート経営などと比べると収益は低く、節税効果も少ない点はデメリットと言えるでしょう。

【メリット】
トランクルーム投資では土地を事業者に貸し出してそこに事業者がトランクルームを設置する形式と、自身でトランクルームを設置してその管理を事業者に依頼するケースがあります。前者の場合、初期費用を抑えて運営をすることが可能です。

トランクルーム投資は比較的場所を選ばずに行うことができるため、変形した土地や、狭い土地であっても有効活用することができます。さらに、アパート経営に比べると人が住む場所ではないため管理や修繕の手間が小さいです。

【デメリット】
トランクルーム経営はアパートに比べると収益性は低く、節税効果も少ないという点がデメリットになります。

【トランクルームに向いている土地】
狭小地や変形地など、他の土地活用がしづらい場所であってもトランクルーム経営は可能です。どんな土地でも活用に向いていますが、住宅街やオフィスの近くなど、収納需要のある場所がより効果的です。

【収支例】
※事業用定期借地契約形式の場合
50坪の土地の場合

年間収入:約24万円
年間支出:約8万円(固定資産税・都市計画税分)
年間収支:約16万円

【トランクルームで進めたい場合は?】
トランクルームについても、その事業者がいくつか存在しますので事業者を選んで問合せをすることになります。

「トランクルーム」と検索すると、トランクルームを借りたい人向けの情報を見ることができます。その運営事業者を調べ、問合せをするとよいでしょう。

2.3.遊休地の活用目的:土地の貸与

土地の貸与

1つ目の活用方法は、土地の貸与です。借りる側の視点から「借地事業」とも言います。

【概要】
ロードサイドの土地であれば事業者に貸すことでガソリンスタンドやレストランとして、他の土地であれば借りた土地の上にアパートを建てて活用してもらうなどの方法があります。

土地の貸与のイメージ 土地の貸与の詳細

【メリット】
他人に土地を貸すだけですので、費用が掛からないのがメリットです。実際に土地活用を行う際の費用は土地を借りた人が負担してくれます。

また、土地を貸すことによる賃貸収入を安定して得られるのも利点になります。アパートとして活用する場合とは異なり、空室のリスクが存在しないことがポイントです。

【デメリット】
土地を貸す場合は手間やリスクが小さい分、収益も小さくなってしまいます。また、アパート経営に比べて固定資産税など各種税金の節税効果は小さいことが多いです。

土地を貸した相手がアパートや住宅を建築する場合、借り手は借地借家法という強力な法律によって守られることになります。定期借地権を設定するなどの対策をとらなければ一度土地を貸してしまうと中々返還されにくい点には注意が必要です。

【借地に向いている土地】
特にこの土地ならば借地に向いている、という土地があるわけではありません。むしろ、所有している土地をだれに貸せるかを考える方が重要です。駅からそう遠くない場所ならアパートを建てたい人に、幹線道路沿いならファミリーレストランを始めたい事業者に、といった具合です。

【収支例】
200坪の土地を月額8万円で貸し出す場合

年間収入:96万円
年間支出:30万円(固定資産税・都市計画税分)
年間収支:66万円

【借地で進めたい場合最初にどうすればいいか】
ある程度需要のある土地であれば、所有している土地に募集看板を付けるだけでも土地を借りたい業者から連絡が入ります。

自分から探す場合であれば、どんな店なら土地を借りたがるか(コンビニ、スーパー、飲食店等)を想定してその目的にあう企業のHPから問合せをするといいでしょう。


3.自己資金が少し(0~500万円程度)ですむ土地活用

3.1.相続税・固定資産税等の軽減目的:戸建て賃貸経営

戸建て

【概要】
アパートではなく戸建住宅を建設し、そこに住む入居者から家賃収入を得る方法です。アパート経営よりも少ない投資額で始めることができます。

戸建てのイメージ

戸建ての詳細

【メリット】
市場に存在する数が少なく希少性が高いのがメリットです。さらに、ファミリーで住む方が多いため入居期間が長くなる点もメリットです。

後述のアパート経営同様、相続税評価額を抑えることで相続税の節税をはかることができます。固定資産税評価額も軽減されるため、固定資産税・都市計画税の節税にもなります。

【デメリット】
アパートと違い1世帯しか住まわないため、退去が発生すると収入がゼロになってしまいます。またアパートと違い1世帯になるため、経営規模としては小さくなります。

【戸建て経営に向いている土地】
30坪程度の広さがあれば、戸建て経営を検討することが可能です。また、変形した土地においても検討することが可能です。

近隣の市場調査は必要ですが、駅から離れた立地でもファミリー層の需要がある場合もあります。

【収支例】
35坪の土地の場合

年間収支:約130万円
年間支出:約26万円
年間返済:約50万円
年間収支:約54万円

固定資産税の評価額圧縮(一例):1200万円→200万円
相続税の評価額圧縮(一例):1150万円→920万円

【戸建て経営で進めたい場合は?】
戸建ての土地活用を行っている不動産業者もそう多くありません。ネットで「戸建て 土地活用」と検索したり、土地活用向けの雑誌で会社を探したりするといいでしょう。

3.2.副収入を得る:シェアハウス

シェアハウス

【概要】
シェアハウス経営は、入居者の個室と共同スペースを併せ持った賃貸住宅を入居者に貸し付けて、賃料収入を得る方法です。

シェアハウスのイメージ シェアハウスの詳細

【メリット】
シェアハウスではキッチンやトイレなどの施設が共同利用となります。そのため、建築費用を抑えることができます。また、その分部屋数を多くすることができるので収益を増やすことも可能です。

【デメリット】
入居者同士のかかわりが通常の賃貸住宅に比べて増えるのがシェアハウスの特徴です。そのため、騒音等のトラブルが発生しやすくなります。また、シェアハウスの管理を管理会社に委託する場合、管理費が高くなる傾向にあります(賃料の10~20%)。そのため、管理費も考慮にいれつつ、収支が合うか計算する必要があります。

【シェアハウスに向いている土地】
シェアハウスには単身層が住むことがほとんどです。そのため、都心部にある土地がベターです。郊外の場合、大学が周辺にあるなどの条件がなければ厳しいでしょう。

【収支例】
50坪の土地で6部屋運営の場合

年間収入:252万円
年間支出:50万円
年間収支:202万円

【シェアハウスで進めたい場合は?】
「シェアハウス 建築業者」などで検索をすることで、対応している業者を探すことができます。

3.3.遊休地の活用:駐車場

 

駐車場

駐車場を整備して、そこに車を停めさせることで収入を得る方法です。一口に駐車場経営と言っても、平置きのものや立体駐車場のものがありますが、平置きのものであれば自己資金が少なく済みます。また、月ぎめで1か月分の使用料を受け取る方法のほか、駐車時間に応じて支払う時間貸しの方法があります。

駐車場のイメージ

駐車場の詳細

【メリット】
初期費用が少ない点がメリットです。オーナーが負担するのは土地の舗装費用ぐらいで、コインパーキングの機械設置費用や管理費用は駐車場の運営会社が支払ってくれます。

また、整備をするだけで使用可能になり、設備の撤去も簡単なため、つなぎの土地活用としても駐車場経営を行えるのがメリットです。

【デメリット】
最近ではコインパーキングが特に都心などで増えており、競争が激しくなっています。そのため、周辺の需要の調査や差別化をしっかり行わなければ、収益を得られないことになりかねません。

近年では車を持たない人が増えていることも、将来的には不安な点です。

【向いている土地】
土地自体があまり大きくなくてもOK。変形地でも活用は可能。
売却が今の市況だとできない土地。
将来的に他の手法で活用しようとしている土地。

【収支例】
40坪の土地に8台の月極駐車場を運営する場合

年間収入:約108万円
年間支出:約11万円
年間収支:約97万円

【駐車場で進めたい場合は?】
多くの事業者が土地活用としての駐車場経営を提案しています。街で見かけるコインパーキングの運営事業者を調べて、そこに問い合わせをする等の方法があります。


4.自己資金を中程度(500~1000万円程度)必要とする土地活用

4.1.相続税・固定資産税の軽減目的:アパート経営

 

アパート

土地活用の王道ともいえる手段がアパート経営です。アパートを建設し、そこにすむ入居者から家賃収入を得る方法です。借地や駐車場経営と比べると自己資金は多く必要になりますが、賃貸需要を見極めて始めることで安定した収益を得ることができます。

最近ではペット共生型、デザイナーズ、ミュージシャン・音大生向けなどのコンセプト型アパートも建設されています。

アパートのイメージ アパートの詳細

【メリット】
ニーズを踏まえたアパートを建設すれば、安定的に大きな収益を得ることが可能です。もっとも、賃貸需要のないエリアに建設したり、ターゲットを見誤ったりすると成功は見込めません。

また、固定資産税や相続税等の税金を節税することもできます。固定資産税や相続税は物件の価値(評価額)により税額が決められますが、アパートを建設した土地はこの評価額を抑えることができるのです。

【デメリット】
駐車場の活用方法と違い、アパート経営は自己資金が多く必要となります。また、総投資額も大きくなるためニーズを押さえたアパートを建設しなければ空室や赤字に悩まされることになってしまいます

【向いている土地】
30程度は最低でも必要。
基本的には駅徒歩圏内の土地。ただし、駅から遠くても駐車場を整備できるだけの広さがある場合や駅なしで生活が成り立っているエリアであれば検討可能。

【収支例】
110坪の土地、間取り1LDK12戸のアパート

建築費:1億円(自己資金350万円)
家賃収入:1230万円
年間の経費:180万円
借入の返済:480万円
年間の収支:570万円
表面利回り:12.3
実質利回り:5.7%

固定資産税の節税効果(一例):14500万円  2400万円
相続税の節税効果(一例):3600万円  2900万円

4.2.副収入目的:コンビニ経営・ロードサイド店舗

コンビニ

【概要】
コンビニ経営は自分の土地にコンビニを建設し、それをコンビニ事業者に貸し出すことで賃料を得る手法です。

コンビニのイメージ コンビニの詳細

【メリット】
アパート等の住居系に比べて収益性が高い点がメリットになります。また、コンビニの契約期間が10~30年と長期にわたるため、コンビニ自体が撤退するなどしない限り、長期にわたって収益を得ることができます

【デメリット】
コンビニ経営は収益性が高い一方、リスクも大きくなります。人や車通りが多い幹線道路沿いや集客の期待できる土地でないと収支が回らなくなってしまう危険性があります。

また、コンビニ経営はアパート等住居系の土地活用に比べて固定資産税・都市計画税等の税金について軽減措置が少なく節税効果は小さくなります。

【コンビニ経営に向いている土地】
都心部でコンビニ経営を行う場合であれば50坪、郊外の幹線道路沿いであれば100坪程度の広さが必要となります。車社会で駐車場も設ける場合は、さらに土地を大きくする必要があります。

【収支例】
200坪の土地を事業用定期借地権方式で貸し出す場合

年間収入:24~30万円

【コンビニ経営で進めたい場合は?】
どのコンビニ業者で進めるかを検討します。業者が業界の中でどの程度の競争力を有するか、契約条件に(中途解約のペナルティなど)不利な条件がないかなどを確認します。

4.3.遊休地の活用目的:太陽光発電

太陽光発電

【概要】
太陽光発電投資は土地に太陽光発電の設備を設置し、売電収入を得るものです。

太陽光発電のイメージ 太陽光発電の詳細

【メリット】
太陽光発電の売電価格は開始から20年間固定されます(固定価格買取制度)。長期の間得られる収入が安定するので、長期投資におすすめです。

【デメリット】
太陽光発電の場合、台風や落雷等の災害によってパネルが損壊するリスクが存在します。また、電気の買取価格は年々低下傾向にあります。初期投資額と買取価格をもとに収支が合うか計算しながら取り組む必要があります。

【太陽光発電に向いている土地】
日差しを遮るものがない、広い(500㎡程度)土地が向いています。また、住宅街近辺にある土地は向かないため、都会にあるというよりは田舎にある土地の方が適しています。

【収支例】
500㎡の土地に太陽光装置を設置して発電する場合

年間収入:約95万円
年間支出:約20万円
年間収支:約75万円

【太陽光発電で進めたい場合は?】
太陽光発電に関する雑誌を読んだり、展示会に参加したりして候補企業を検討することから始めましょう。


5.自己資金を多く(1000万円以上)必要とする土地活用

5.1.相続税・固定資産税の軽減目的:オフィスビル

オフィスビル

アパート経営と似た土地活用として、オフィスビルや商業ビルの建設といった活用方法も存在します。とはいっても、アパート経営より投資額が大きく、その分自己資金も多く必要になります。また、アパート経営より専門的な分析が必要になり難易度は高いです。

テナントづけも住居系のものより難しく、専門のパートナーを見つけることが重要です。

オフィスビルのイメージ オフィスビルの詳細

【メリット】
オフィス需要を見極めたうえで好立地な場所に建設することで、アパート経営よりも大きな収益を上げることができます。アパートやマンション同様、ビル保有により相続税評価額を抑えて相続税の節税をはかることができます。

【デメリット】
自己資金も、総事業費も共にアパート経営より大きくなるため、とっつきにくい土地活用方法にはなります。また賃貸需要や稼働率の予測を立てづらく、金融機関からの融資についても審査が厳しくなります。

計画段階からある程度テナント誘致を進め、入居の見込みを建てておくことで融資を引きやすくする努力が必要となります。

【向いている土地】
駅前など好立地といえる土地。
容積率400%以上の土地

【収支例】
20坪、都内の駅から徒歩圏内の土地

年間収入:1900万円
年間支出:665万円
年間収支:1235万円

相続税路線価:2700万円  2160万円

【オフィスビル経営で進める場合は?】
まずは、ビル建築を進める上で専門家と共に方向性を決める必要があります。様々な不動産業者がいますので、雑誌やウェブで専門家を探すことから始めます。

最近ですと土地活用の手法別に対応している業者を一覧化してくれるサイトもありますので、そうしたところを参考にするといいでしょう。

5.2.副収入目的:商業ビル

商業ビル

【概要】
オフィスビルと似ている手法ですが、商業ビルでは飲食店やアパレルショップ等に入居してもらい、賃料を得ます。

商業ビルのイメージ 商業ビルの詳細

【メリット】
商業ビル経営では、一般的に住居系の土地活用よりも大きな賃料収入を得ることができます。賃料を得る方法はいくつかありますが、店舗の売上に応じて賃料を変動させる方法であれば、店舗が繁盛すればするほど大きな賃料を得られます。

【デメリット】
商業ビルは大きな賃料を得られる分、テナントが退去した際のダメージも大きくなります。また、テナントの入居付けも住居系のそれより難易度が高いです。

そのため、取り組む前に予定地の周辺でどういったテナントのニーズがあるのか、十分に検討する必要があります。

【商業ビル経営に向いている土地】
商業ビル経営には駅前にある大型の土地や幹線道路沿い(ロードサイド)にある大型の土地が適しています。駅前・幹線道路沿いなど、人が集まりやすい場所かどうかを検討する必要があります。

【収支例】
駅近くの150㎡の土地に商業ビルを建設した場合

年間収入:約2400万円
年間支出:約1500万円

【商業ビル経営で進めたい場合は?】
オフィスビル同様、書籍やウェブで専門家を探すことから始めます。

5.3.遊休地の活用目的:コインランドリー経営

コインランドリー

【概要】
コインランドリー経営は、土地にコインランドリーを建設し利用者から利用料金を得る手法です。

コインランドリーのイメージ コインランドリーの詳細

【メリット】
ランニングコストがあまりかからない点がコインランドリー経営のメリットです。人が常駐する必要がないため人件費等はかかりません。またアパートなどと違い修繕にかける手間や費用も少ないです。さらに、需要を見極めて進めればリピーターの顧客を獲得でき、安定的に収益を上げることも可能です。

また、土地を貸す方式によりコインランドリー経営を行えば、手軽に土地の賃貸料を得続けることができます。

【デメリット】
コインランドリー経営を行う場合には初期費用が高くついてしまうことがあります。洗濯機や乾燥機、防犯カメラ等の器機を最初に導入する必要があり、そうした設備の導入に費用がかかります。なお、設備のリースを活用することで、こうした費用を抑えることも可能です。

リピーターを獲得しやすい一方、利用者が少ないような立地で始めてしまうと収益アップが見込めないのもデメリットです。これは、コインランドリーの機械等、立地以外の条件で差別化を行うことが難しいためです。

コインランドリーのデメリットについてはこちらの記事でも詳しく述べていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

【コインランドリー経営に向いている土地】
コインランドリー経営には住宅地周辺の土地が適しています。駅近立地や大通り沿い等は人目にはつきやすいですが、洗濯物を持ち運ぶ手間が増えてしまうためあまり適していません。

【収支例】
30㎡の土地にコインランドリーを設置する場合

年間収入:約720万円
年間支出:約400万円
年間収支:約320万円

【コインランドリー経営で進めたい場合は?】
まずは初期費用を確保した上で、コインランドリー経営の事業者に問い合わせを行います。


6.土地活用の進め方

この章では、実際にどのように土地活用を進めるかを説明します。

土地活用の進め方

6.1.自分の土地や資産の状況を整理 相続登記など

まずは、自身で保有している土地の状況を整理する必要があります。具体的には、下記のようなポイントを確認します。

  1. 相続した土地の場合、相続登記が済んでいるか
  2. 土地の測量図などの資料が手元にあるか
  3. 預金、株その他の資産をどの程度保有しているか

①相続した土地の場合、相続登記が済んでいるか

相続した土地の場合、土地の相続登記が終わっていないこともあります。その場合は、必要な書類をそろえて登記を進めましょう。司法書士等の専門家に依頼することが一般的です。

相続登記が済んでおらず、先代の名義のままになっていると融資を受ける場合等の障害になります。この点は確認しておきましょう。

②土地の測量図などの資料が手元にあるか

土地に関する書類もあらかじめそろえておきます。例えば、土地の測量を行ったことがある場合にはその書類をあらかじめ集めておくと、後々の手続きがスムーズになります。

③預金、株その他の資産をどの程度保有しているか

自身の資産状況の確認もしておきましょう。資産の全体を把握することで、そこからどの程度土地活用事業に回せるのかを確認します。

株や債券、保険などの場合は引き出しに時間がかかる場合もあります。土地活用を進めるにあたっては設計費用、測量費用、登記費用等、融資を引く前にもいくらか資金が必要になってきます。直前になって慌てることのないよう、あらかじめ引き出しにかかる手続きや期間を確かめておきましょう。

また、融資を引く場合には下記のような資料が必要になります(一部)。あらかじめこちらも用意しておくとよいでしょう。なくしている場合再発行に時間がかかるときもあります。

  • 確定申告書(確定申告を行っている場合)
  • 源泉徴収票(3年分程度)
  • ローン返済表(自宅を購入している場合)

6.2.目的、自己資金を算定する

目的を明確にする

ひとくちに土地活用といっても、どういった目的で行うかによって手段や方法、必要な自己資金は変化します。

  • 相続税等の税金対策
  • 収入のもう1つの柱として
  • 遊休地をなんとかしたい

こうした目的を自身の中で洗い出しをしておくことで、その後の土地活用の方向性が明確になります。逆に、この点が明確にならないまま進めてしまうと、期待した効果を得られない結果になってしまうこともあります。

自己資金を算定する

これまでにお伝えしてきたように、土地活用の手法によって必要になる自己資金額は大きく変化します。また、土地活用以外にも人生における資金需要は少なくありません。

  • 子供の大学の学費
  • 事故やケガ、病気をしてしまった場合の医療費
  • 普段の生活費

自分の資産状況をもとに、どの程度土地活用に回す資金があるかをあらかじめ算定しておきましょう。

6.3.土地活用手法を選ぶ

目的や自己資金額が定まったら、そうした状況をもとにどの土地活用手法が良いか考えます。

  • 相続税対策をしたい →アパート経営
  • 狭い土地で使いづらいけど、なんとかして活用したい →駐車場・トランクルーム経営
  • 少額でもいいので安定して副収入を得たい →借地など

上記は一例ですが、目的や自己資金額に応じて土地活用手法を選択することになります。もっとも、ここで土地活用の手法を1つに絞る必要はありません。いくつか、自分にとってよさそうな、興味のあるメニューを選択しておきます。

6.4.各社に依頼する

活用の手法にある程度目途がついたら、その手法を提供している会社に問い合わせを行います。まずは資料請求だけをすることも可能ですし、最初から無料の相談会等に参加するのもよいでしょう。

この時、1つの会社に最初から絞るよりも2つ以上の会社に話を聞くとよいでしょう。相場感を知ることができますし、各社の強みや弱みを比較することができます。

6.5.相談の上見積をもらい、事業を進めるか判断する

資料請求や相談会へ参加すると、各企業は保有している土地で事業を進める場合に必要になる費用や収支シミュレーションの見積書を作成します。そうして手に入れた見積書を見ながら、その会社にお願いするのか、または別の会社に依頼するのか、はたまた土地活用事業自体を断念するのかを決めていきます。

依頼する会社を決定したら、その他の会社にはお断りの連絡をして具体的な検討を進めていくことになります。詳細な面談、見積、シミュレーションを詰めて問題がなければ、契約をして実際の活用に向けて動いていきます。


7.土地活用を成功させるための注意点

この章では、土地活用を実際に進める上で気を付けておきたい点について一部ですが解説します。

土地活用を成功させるための注意点

7.1.奥様(旦那様)を味方につけよう

土地活用を進めることやその目的は奥さん(旦那さん)に伝えておきましょう。土地活用は決して1人で進める事業ではありません。配偶者にあらかじめ土地活用を進めること、目的を伝えておくことで、協力者になってもらう必要があります

具体的には賃貸併用住宅を建設する場合はオーナールームの間取り設計に配偶者を参加させる、アパート経営を行う場合にはアパート名を配偶者に決めてもらう、などです。夫婦で一緒に土地活用を進めれば、例えばちょっとした書類を市役所にとりに行く際にも手伝ってもらいやすくなります。

逆に、こうした協力を得られないと土地活用が円滑に進められないばかりか、夫婦仲の悪化にもつながりかねません。必ず、夫婦で足並みをそろえて進めましょう。

7.2.建て替えの場合は複雑になる

老朽化したアパートを解体・建て替えして土地活用を進めようとする場合、複雑な問題が絡んできます。入居者の方に退去をお願いすることになるのですが、この手続きに時間・お金・労力がかかります。借地借家法という法律によって、入居者の権利が強く守られているためです。

  • 入居者との退去交渉に1年かかった
  • 立ち退き料として100万円を用意する必要があった

上記のような課題を一つ一つ解決しなければ、土地活用を始めることができません。すでにアパートが建っている場合には、時間、お金をより確保して事業を進める覚悟をしましょう。実際に立ち退き交渉をする場合は土地活用事業者と共に進めることになります。

7.3.一括見積サイトは便利だが、注意すべき点も

土地活用を始める場合によく耳にするのが、一括見積サイトです。こうしたサイトでは自身の土地の状況や希望を入力するだけで、それに合った企業をピックアップして資料請求をすることができます。自分で会社を探さなくていい上に複数社に一気に見積をとれるので便利です。

しかし、注意点もあります。一気に請求をする分、多くの企業から一斉に電話やメールでの連絡が入ってしまいます。あまりにたくさん来るので、めいってしまう場合もあります。そうした営業が苦手な方は、一括見積サイトでは資料請求しない方がいいでしょう。

なお、資料請求をしなくても登録している企業を一括見積サイト内で見ることが可能です。こうしたページから企業を探し、その企業に直接連絡するのもいいでしょう、


8.土地活用でよくあるQ&A

8.1.今営業を受けているけど、それを受けていいかどう判断したらいい?

営業を受けていいかどう判断したらいい?

もしあなたがすでにどこかの会社の提案を受けていて、その判断をしかねている場合、第三者の意見を聞くとよいでしょう。

税理士や金融機関、あるいは別の土地活用事業者などの話を聞いて様々な選択肢を比較検討することで、その提案に当初は気づいていなかったメリット、リスクがあることに気づくかもしれません。

8.2.一括サイトって便利なの?

一括サイトは便利?

一括サイトは簡単に多くの会社の提案を受けられるため、複数の見積を得て土地活用を進めたい場合には便利です。

ただし、一括サイトで査定依頼を行うと多くの会社からメールや電話が矢継ぎ早に飛んできます。もしそうした営業を面倒と感じるのであれば、一括サイトはあまりお勧めできません。

その場合は、自身で土地活用の事業者を探すことになります。一括サイトにはたいていの場合、協賛企業が一覧化されていますので、その中から自分の気になる会社に直接問い合わせるといいでしょう

8.3.アパートを建てる場合、どんなアパートを建てたらいいの?

どんなアパートを建てればいい?

アパートを建築する上では、どのような間取り、広さ、家賃にするか等決定事項が多く存在します。基本的には、土地の立地や周辺環境からどのような人をターゲットにするかをまず決定して、それをもとに諸条件を決定します。

ただし、一般の方がこうしたターゲット決定を正確に行うのは難易度が高いです。土地活用事業者と、その点を詰めるといいでしょう。理想としては、アパート建築だけではなく賃貸管理や賃貸仲介も行っている会社に依頼するとよいでしょう。こうした会社であれば、どのエリアにどういった人のニーズが多いか、詳しいことが多いからです。

8.4.パートナーになる企業を選ぶ上でのポイントは?

企業を選ぶポイントは?

土地活用事業は長い期間にわたって行うことになります。特にアパート経営に限って言えば、下記のような点を確認するといいでしょう。

  • 建築だけでなく賃貸管理も行ってくれるか(建てて終わりではないか)
  • 財務状況は良好か(事業を進めている間に倒産等しないか)
  • サイトに建築実績やお客様の声が掲載されているか

9.さいごに

ここまで、土地活用の方法や具体的な進め方についてお伝えしました。土地活用は長期にわたる事業です。どの手段をとるか、だれと共に進めるかが大変重要になります。

この記事でお伝えしたポイントを踏まえて、土地活用の成功を収めてくださいね。

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