
「自分の年収って、相対的に見て高いの?低いの?」
「日本人の年収のちょうど真ん中っていくらなの?」
このような疑問を持ったことはありませんか?
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均年収は約433万円、
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」、「毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果」、「毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果」によると、年収の中央値は約399万円でした。
数字のデータを見る時は、「平均値」が使われることが多いですよね。ですが、中央値で年収を見ると、平均値で見るよりもリアルな現状がわかるのです。
平均値が全体の中の真ん中となる数字から離れてしまうのは、計測するすべての人の年収を足し合わせたものを人数で割っているために、突出して年収の高い富裕層が平均年収を吊り上げてしまっているためです。このことにより、平均年収が「一般的な人」の年収よりも上がってしまうのです。
中央値だと、年収を低い順(または高い順)から並べた時のちょうど真ん中に来る年収になりますので、極端に年収の高い人、低い人に引っ張られることなく、より実際の数字に近いデータを出すことができます。
インターネット上には「年収の中央値」についてまとめた記事はあるものの、自分の立場に当てはめた年収のデータはなかなか見つからないと思います。そこで、男女別、年齢別、業種別、学歴別などさまざまな切り口から見た年収の中央値のデータを、各省庁の資料から集めて一つの記事にしてみました。
目次
1. 日本の年収の中央値は約399万円
結論から言うと、日本人の年収の中央値は約399万円です。
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均年収は約433万円、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」、「毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果」、「毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果」によると、年収の中央値は約399万円でした。
このことから、年収の中央値は平均年収の約92%であることがわかります。
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」 によると、日本人の月の賃金の中央値は約27万円で年間の賃金にすると約324万円でした。これに賞与の平均(夏季・年末計76万1,055円)を足したものを、年収の中央値として算出しました。
参考:
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」P15
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」 P19 付表3
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果」
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果」
2章以降では、国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」、国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」などから年間給与の平均値のデータを参照し、年収の数値の92%を中央値として算出します。
2.男女別の年収の中央値
第2章からは、「年収の中央値」を様々な切り口から見ていきます。
先ほど、年収の中央値は平均値の約92%であるとお伝えしましたが、ここからの中央値は平均値に0.92を掛けたものと推定しています。
まずは男女別の中央値ですが、男性の中央値が489万円、女性の中央値が269万円でした。
男性 | 489万円 | ||
女性 | 269万円 |
参照:「令和2年分 民間給与実態統計調査」P17
3.年齢層別の年収の中央値
次に、年齢層別の中央値を見ていきます。19歳以下から70歳以上を、5歳ごとに区切って数値を出しています。
男性は55~59歳の間に最も高い中央値(615万円)が表れていますが、女性の場合は45~49歳の間に最も高い中央値(295万円)が表れています。
19歳以下(全体) | 119万円 | |
男性 | 134万円 | |
女性 | 106万円 | |
20~24歳(全体) | 239万円 | |
男性 | 255万円 | |
女性 | 223万円 | |
25~29歳(全体) | 333万円 | |
男性 | 362万円 | |
女性 | 293万円 | |
30~34歳(全体) | 368万円 | |
男性 | 421万円 | |
女性 | 284万円 | |
35~39歳(全体) | 402万円 | |
男性 | 477万円 | |
女性 | 286万円 | |
40~44歳(全体) | 432万円 | |
男性 | 525万円 | |
女性 | 292万円 | |
45~49歳(全体) | 458万円 | |
男性 | 571万円 | |
女性 | 295万円 | |
50~54歳(全体) | 473万円 | |
男性 | 604万円 | |
女性 | 293万円 | |
55~59歳(全体) | 477万円 | |
男性 | 615万円 | |
女性 | 286万円 | |
60~64歳(全体) | 382万円 | |
男性 | 479万円 | |
女性 | 236万円 | |
65~69歳(全体) | 305万円 | |
男性 | 387万円 | |
女性 | 191万円 | |
70歳以上(全体) | 262万円 | |
男性 | 328万円 | |
女性 | 176万円 |
参照:「令和2年分 民間給与実態統計調査」P21
4.雇用形態別の年収の中央値
次に、雇用形態別の年収の中央値を見ていきます。正規雇用で456万円、非正規雇用で162万円となり、両者の間には約300万円の差があります。また正規雇用は、日本全体の年収の中央値より約60万円近く上回る数字となっています。
正規雇用 | 456万円 | |
非正規雇用 | 162万円 |
参照:「令和2年分 民間給与実態統計調査」P15
6.勤続年数別の中央値
次に、勤続年数別の年収の中央値を見ていきます。最も中央値が高くなるのは勤続年数30~34年という結果になりました。働き始めるのが20代前半と仮定すると、50歳から60歳の期間が、最も年収が高い時期になります。
1~4年 | 290万円 | |
5~9年 | 341万円 | |
10~14年 | 410万円 | |
15~19年 | 467万円 | |
20~24年 | 529万円 | |
25~29年 | 594万円 | |
30~34年 | 609万円 | |
35年以上 | 527万円 |
参照:「令和2年分 民間給与実態統計調査」P22
7.業種別の年収の中央値
次に、業種別の中央値を業種別に見ていきます。最も中央値の高い「電気・ガス・熱供給・水道業」が658万円と、全体の中央値399万円よりも250万円以上の差があることがわかります。逆に最も中央値が低かった業種は宿泊業・飲食サービス業でした。
建設業 | 468万円 | |
製造業 | 461万円 | |
卸売業・小売業 | 342万円 | |
宿泊業・飲食サービス業 | 231万円 | |
金融業・保険業 | 580万円 | |
不動産業・物品賃貸業 | 389万円 | |
運輸業・郵便業 | 408万円 | |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 658万円 | |
情報通信業 | 562万円 | |
学術研究・専門・技術サービス業 教育・学習支援業 | 463万円 | |
医療・福祉 | 365万円 | |
複合サービス事業 | 416万円 | |
サービス業 | 325万円 | |
農林水産・鉱業 | 276万円 |
参照:「令和2年分 民間給与実態統計調査」P20
8.事業所規模別の年収の中央値
次に、事業所規模別の年収の中央値を見ていきます。10人未満、10~29人、30人以上の順で年収の中央値が上がっています。10人未満と30人以上では、約100万円の差額があることがわかります。
10人未満 | 320万円 | |
10~29人 | 375万円 | |
30人以上 | 420万円 |
参照:「令和2年分 民間給与実態統計調査」P18
9.都道府県別の年収の中央値
次に都道府県別の年収の中央値を見ていきます。都道府県別の中央値を算出し、最も中央値が高い都道府県は東京都、最も低いのは青森県でした。
北海道 | 373万円 | 三重県 | 399万円 |
青森県 | 340万円 | 滋賀県 | 391万円 |
岩手県 | 346万円 | 京都府 | 415万円 |
宮城県 | 377万円 | 大阪府 | 431万円 |
秋田県 | 343万円 | 兵庫県 | 410万円 |
山形県 | 357万円 | 奈良県 | 390万円 |
福島県 | 368万円 | 和歌山県 | 387万円 |
茨城県 | 396万円 | 鳥取県 | 348万円 |
栃木県 | 390万円 | 島根県 | 356万円 |
群馬県 | 382万円 | 岡山県 | 376万円 |
埼玉県 | 405万円 | 広島県 | 391万円 |
千葉県 | 402万円 | 山口県 |
382万円 |
東京都 | 472万円 | 徳島県 |
368万円 |
神奈川県 | 441万円 | 香川県 | 383万円 |
新潟県 | 370万円 | 愛媛県 | 366万円 |
富山県 | 376万円 | 高知県 | 366万円 |
石川県 | 389万円 | 福岡県 | 388万円 |
福井県 | 377万円 | 佐賀県 | 352万円 |
山梨県 | 381万円 | 長崎県 | 361万円 |
長野県 | 384万円 | 熊本県 | 360万円 |
岐阜県 | 388万円 | 大分県 | 358万円 |
静岡県 | 385万円 | 宮崎県 | 340万円 |
愛知県 | 420万円 | 鹿児島県 | 358万円 |
沖縄県 | 347万円 |
参照:「令和3年賃金構造基本統計調査(10)都道府県別にみた賃金」
※平均年収=月の賃金×12か月+賞与76万1,055円
10.学歴別に見る年収の中央値
次に、学歴別の年収の中央値を見ていきます。男性は高卒、専門学校卒、高専・短大卒、大卒、大学院卒の順に年収の中央値が上がっています。女性もおおむね、順に中央値は上がっています。最終学歴が高校から大学院の間の中央値の開きは、男性が188万円に対して女性は199万円となっています。
男性 | 女性 | ||
高校 | 396万円 | 313万円 | |
専門学校 | 411万円 | 362万円 | |
高専・短大 | 452万 | 360万円 | |
大学 | 497万円 | 389万円 | |
大学院 | 584万円 |
512万円 |
参照:「令和3年賃金構造基本統計調査(3)学歴別にみた賃金」
※平均年収=月の賃金×12か月+賞与76万1,055円
11.居住形態別に見る中央値
次に、居住形態別の中央値を見ていきます。居住形態は、下記のように分類しています。
持ち家(注文住宅)
持ち家(分譲戸建て)
持ち家(分譲マンション)
賃貸住宅
今回は、個人の年収ではなく持ち家を購入した世帯の世帯年収、賃貸住宅に居住している世帯の世帯年収の中央値を見ていきます。4つの居住形態のうち、最も世帯年収の中央値が高かったのは分譲マンションを購入した世帯の809万円でした。最も世帯年収の中央値が低かったのは、賃貸住宅に居住する世帯の447万円でした。
このデータは、世帯年収の平均値をもとに算出しています。そのため戸建ておよびマンションを購入する人は、結婚している世帯が多くなるため、単身で住む人の多い賃貸マンション・アパートよりも年収の中央値が高くなっています。
持ち家(注文戸建て) | 679万円 | |
持ち家(分譲戸建て) | 663万円 | |
持ち家(分譲マンション) | 809万円 | |
賃貸 | 447万円 |
参照:「令和2年度住宅市場動向調査」P39
12.国別に見る年収の中央値
次に、国別の年収の中央値を見ていきます。今回見ていく国は、OECDに加盟する主要国です。世界で見た時の日本の年収は決して高くないという結果になりました。
アメリカ | 676万円 | |
アイスランド | 657万円 | |
ルクセンブルク | 641万円 | |
スイス | 631万円 | |
オランダ | 573万円 | |
デンマーク | 569万円 | |
ノルウェー | 543万円 | |
カナダ | 539万円 | |
オーストラリア | 537万円 | |
ベルギー | 529万円 | |
・ ・ |
||
イスラエル | 383万円 | |
日本 | 375万円 | |
スペイン | 369万円 | |
・ ・ |
参照:「OECD data」 Average wages
※1 参照データの年収の計算方法が本記事とは異なるため、中央値の数値に差が出ています。
※2 参照データが2020年のデータであるため、2020年の為替レート平均105.82円で日本円に換算しています。
13.中央値の推移
次は、過去30年の年収の中央値の推移を、10年ごとに見ていきます。平成2年から平成12年にかけては、バブル崩壊があった一方で年収の水準は上がっています。平成22年のデータに見られる数値の落ち込みは、平成21年に起きたリーマンショックによるものと考えられます。その後はアベノミクスの効果もあり、年収の水準を取り戻しています。
平成2年 | 391万円 | |
平成12年 | 424万円 | |
平成22年 | 379万円 | |
令和2年 | 398万円 |
参照:
国税庁「民間給与実態統計調査結果」1総括表 より
「1年勤続者」の平均給与をもとに作成
※令和2年の「398万円」については本記事とは計算方法が異なるため1万円の誤差が生じています。
さらに、直近10年の年収の中央値の推移を詳しく見ていきます。平成22年の379万円から、一時減少している年がありますが、平成30年までは概ね上昇傾向が見られました。令和元年からは多少の減少が見られています。
平成22年 | 379万円 | |
平成23年 | 376万円 | |
平成24年 | 375万円 | |
平成25年 | 380万円 | |
平成26年 | 382万円 | |
平成27年 | 387万円 | |
平成28年 | 388万円 | |
平成29年 | 398万円 | |
平成30年 | 405万円 | |
令和元年 | 401万円 | |
令和2年 | 399万円 |
参照:
国税庁「民間給与実態統計調査結果」1総括表 より
「1年勤続者」の平均給与をもとに作成
※令和2年の「398万円」については本記事とは計算方法が異なるため1万円の誤差が生じています。
14.年収をアップさせたいあなたにおすすめの記事
ここまで、年収の中央値を様々な角度から見てきました。職業や地域、家族構成などによって年収の中央値に変化がありましたね。実際に年収の中央値を見たところで、ご自身の年収が真ん中よりも高いのか、低いのかがお分かりいただけたのではないでしょうか。そこで、今の年収をアップさせたいと思っている方も多いことと思います。最後に、年収をアップさせたいあなたに是非読んでいただきたいウェルスハックの記事をご紹介します。
さいごに
いかがでしたでしょうか。今回は、「年収の中央値」を様々な角度から見ていきました。
職業、地域、年齢など、当てはまる枠の中で自分がどの位置にいるのかお分かりいただけたでしょうか。
年収をアップさせる方法もご紹介しましたので、今の年収よりもう少し上げたいと考えている方は、ぜひ自分に合った方法で年収アップを試みてはいかがでしょう。
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