不動産投資の初期費用は物件価格の約15%|種類別費用と抑え方を解説

不動産投資 初期費用
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不動産投資を始めるにあたっては、物件価格の15%程度の初期費用が必要になります。物件価格が7000万円であれば1050万円ほどです。

ただし、初期費用の具体的な金額はその人の状況により大きく変わります。物件購入にあたり必要な頭金(物件価格のうち銀行からの融資でまかなわない部分)がどの程度になるのかがその人の属性、物件の属性によって変化するためです。

この記事では不動産投資の初期費用に関して

  • おおよその初期費用の目安
  • 初期費用の内訳
  • 初期費用の抑え方

これらについて解説します。初期に必要な費用を把握して、自分が不動産投資を始められるかどうか確認してみてください。


1.不動産投資の初期費用は物件価格の15%

物件価格の15%

不動産投資を始める際にかかる初期費用は、おおむね物件価格の15%になります。

例えば3000万円の物件を購入するのであれば450万円、7000万円の物件を購入する際は1050万円、15000万円の物件であれば2250万円といった具合です。

物件の価格別に必要な初期費用の内訳とおおよその金額は下記の表の通りになります。

融資頭金 融資事務手数料 融資保証料 印紙代  …
3,000万円 300万円 合計42万円 4万円  …
7,000万円 700万円 合計100万円 9万円  …
1億5,000万円 1,500万円 合計214万円 26万円  …
 … 登録免許税 司法書士報酬 仲介手数料 不動産取得税 固定資産税・都市計画税の精算 火災保険料・地震保険料
 … 27万円 10万円 96万円 21万円 売買時期、物件により変動 物件の構造、保険期間により変動
 … 63万円 10万円 216万円 50万円
 … 135万円 15万円 456万円 107万円

ただし、この「初期費用は物件価格の15%」というのはあくまでも目安になります。というのも、銀行の融資額が個人の属性、物件の属性によって変化するためです

不動産投資で物件を購入する際、たいていの場合は物件価格全額を自身のお金で用意するのではなく銀行からお金を借りて物件を購入することになります。この時、どのくらいの金額を融資するか銀行が決定しますが、その際下記のような事柄を考慮します。

  • 個人の属性 …年収、資産額、借入残高、住所 など
  • 物件の属性 …所在地、駅距離、築年数、構造、遵法性、積算価格 など

これらによって融資額は変化します。物件価格と同額の融資が出る場合もあれば、半分しかでない場合やそもそも融資が出ない場合もあります。この融資額によって初期費用は大きく変化します。融資額では足りない部分は頭金として物件購入の際に必要となります。

もし検討している物件があれば、その物件を販売している不動産業者に自身の源泉徴収票や確定申告書等を提出して融資打診を依頼しましょう。自身の場合の融資額を知ることができます。


2.初期費用の種類と目安

先ほどは物件価格の15%とお伝えした初期費用ですが、その内訳は下記の通りになります。7000万円の物件を購入すると仮定して、目安の金額も合わせて記載します。

内訳 概要
物件の頭金 物件購入にあたり必要となる自己資金。物件価格のうち融資額を除いた部分。
融資事務手数料 融資を受ける際に支払う手数料。
融資保証料 保証機関による保証を受けるための費用。
印紙代 売買契約書や金銭消費貸借契約書に張り付ける印紙代。
火災保険料・地震保険料 物件にかける保険の費用。
登記費用 所有権や担保を登記するための費用。登録免許税。
司法書士報酬 上記の登記を司法書士に依頼するにあたりかかる費用。
仲介手数料 不動産業者に物件を仲介してもらった際に支払う手数料。
不動産取得税 不動産を取得するとかかる税金。
固定資産税・都市計画税の精算 物件の売主が支払った固定資産税・都市計画税の一部を、買主が保有する期間に応じて負担するための精算金。

2.1.物件の頭金

1章でお伝えした、物件購入にあたり必要となる自己資金です。個人、物件の属性によって変化する部分ではありますが、おおよそ物件価格の10%として見ておきましょう。

例)7000万円の物件の場合 … 頭金700万円

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2.2.融資事務手数料

不動産投資の融資を銀行から受ける際に支払う手数料です。融資金額の1~3%程度が必要になります。

  • オリックス銀行 … 借入金額の2.20%(消費税込み)以内
  • PRESTIA 三井住友信託銀行 … 165,000円(税込)
  • 三井住友トラスト・ローン&ファイナンス … 融資金額の1.65%(税込)

例)7000万円の物件で価格の90%融資を受ける場合 … 融資事務手数料は(下記の保証料を合わせて)約100万円

2.3.融資保証料

銀行から融資を引いて物件を購入する場合、その借入に保証を付けるのが一般的です。不動産投資では額も高額になるため、保証会社による保証を付けることがあります。銀行からすると保証会社に保証をしてもらうこととで、仮に融資が貸し倒れになったとしてもお金を回収することができます。その保証会社による保証に保証料がかかります。おおよそ、融資額の1.1%を見ておくと良いでしょう。

一般的な7000万円程度の物件であれば、上記の事務手数料と合わせて100万円程度を見込んでおきましょう。

例)7000万円の物件で90%融資、一括で支払う場合 … 保証料は事務手数料と合わせて100万円程度

2.4.印紙代  

売買契約書と融資を受ける際の契約書(金銭消費貸借契約書)には印紙税がかかります。印紙代は契約書の記載金額(売買金額や融資額)によって下の表の通りに変化します。

印紙税

ただし、平成2641日から令和4331日までの間に作成される、土地建物売買契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるものについて印紙税の税額が軽減されます。軽減後の税額は下記表の通りです。

印紙税の軽減税率

)7000万円の物件を購入する場合 …9万円

2.5.登記費用(登録免許税)

物件を購入するとその旨を登記することになります。また、融資を受ける際には抵当権(担保)を設定するために登記を行います。それらの際に必要となるのが登録免許税です。

登録免許税は「課税標準額×税率」によって決まります。ここでの課税標準額は実際の不動産の価格ではなく、行政によって定められる「固定資産税評価額」によります。固定資産税評価額は物件にもよりますが物件価格の約7割がおおよその目安になります。

登録免許税

税率については、基本的には下記のようになります。

  • 土地を購入する際(所有権移転登記)        …2.0%(令和5年3月31日まで1.5%)
  • 新築建物を購入する際(住宅用家屋所有権保存登記) …0.4%
  • 中古建物を購入する際(住宅用家屋所有権移転登記) …2.0%
  • 融資を受ける際(抵当権設定登記)         …0.4%

例)7000万円の物件の土地・建物・抵当権を登記する場合 … 登録免許税は約63万円

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2.6.司法書士等の報酬

登録免許税の項目でお伝えした通り、物件購入にあたっては登記手続きが必要です。この手続きでは多くの書類が必要になる他、複雑でもあるので司法書士に依頼することが一般的です。

司法書士に支払う報酬は10~15万円程度が一般的です。

例)7000万円の物件の登記を依頼する際 … 約10万円

2.7.仲介手数料

物件を不動産業者に仲介してもらって購入する場合、成約時にその業者に支払うことになる手数料が仲介手数料です。不動産業者が自ら売主となる場合は、この仲介手数料はかかりません。

仲介手数料は物件価格の「3%+6万円」が上限です。(物件価格が400万円より高い場合)

物件価格が7000万の場合、仲介手数料は216万円(税別)です。あくまでも上限ですので、これより抑えられる可能性もあります。

仲介手数料については下記の記事で詳しく説明しています。 

不動産売買の仲介手数料はいくらかかる?計算方法と金額の上限を徹底解説

2.8.不動産取得税

物件を購入して取得すると、不動産取得税がかかります。不動産を購入したのち、行政から納税通知書が送付され、その税額を参照して納付することになります。不動産取得税の額は「課税標準額×税率」で決まります。この課税標準額も登録免許税同様固定資産税評価額によります。

税率は下記の通りです。

  • 住宅でない家屋 4%
  • 土地および家屋 3%(令和6年年3月31日まで)

また、宅地や宅地と同じ扱いをうける土地については令和6年331日まで課税標準額が2分の1になります。

土地についてはさらに下記の通りの税額控除があります。

不動産取得税

※床面積や耐震基準など土地の上に存在する建物が一定の条件を満たす必要あり

7000万円の物件の場合、(物件の築年数や立地によって変動しますが)おおよその税額は約50万円となります。

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2.9.固定資産税・都市計画税の精算

固定資産税・都市計画税はアパートや土地等を所有している人が支払う税金です。毎年11日時点で不動産を所有している人に課税されます。

物件の売主が年の途中で売却を行っても(年の途中で物件を買っても)その年の固定資産税は売主に全額課税されます。ただ、実際には不動産引き渡し以降分の税金は買主が負担するのが一般的です。

固定資産税額は7000万円の物件であれば20万円程度で、これを精算する形となります。

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2.10.火災保険料・地震保険料

購入する物件には火災保険・地震保険をかけることが一般的です。融資機関によっては、火災保険への加入が条件となる場合もあります。

〇オリックス銀行

 原則、建物の火災保険に加入していただきます。

https://www.orixbank.co.jp/personal/property/account.html

〇三井トラスト・ローン&ファイナンス

 ご融資の対象となります建物に対して火災保険にご加入いただきます。また、火災保険金請求権等に質権を設定させていただく場合がございます。

https://www.smtlf.jp/housingloan/lineup/apart.html

その火災保険、地震保険への加入に保険料が必要となります。保険料は保険期間や物件の構造により大きく変化します。


3.初期費用の抑え方

ここまで、初期費用とその内訳をお伝えしました。初期費用を抑えるには、次のような点を抑えるとよいでしょう。

初期費用の抑え方

3.1.売主の業者を探す

初期費用の内、仲介手数料は不動産業者に仲介をしてもらうことによって発生する手数料です。一方、不動産業者が自ら保有する物件を販売する場合はこの手数料は発生しません

物件価格が7000万円であれば、約200万円の費用をおさえることができます。取引態様が売主のものを選べるといいでしょう。

3.2.土地値物件を探す

土地の価格は国税庁の発表する相続税路線価や、実際の売買価格である実勢価格によって決定されます。これらの土地の価格が物件の価格に近いものを土地値物件といいます。

こうした土地値物件は銀行からの評価が出やすく、フルローンも視野に入ってきます。物件購入の頭金を抑えるという意味で、こうした物件を探すのもいいでしょう。

3.3.融資アレンジに強い業者探しをする

もしあなたが自身で金融機関との関係持っていない場合、不動産業者に融資アレンジを行うことになります。不動産業者によって融資アレンジを行う力には差があります。その不動産業者がいくつの金融機関と取引があるか、取引を頻繁におこなっているか等によって頭金の割合などが変わってきます。

融資のアレンジに強い業者を探すとよいでしょう。不動産業者のHPに融資実績が掲載されているかどうかを確認するとよいでしょう

(参考)ワンルームマンションは頭金を減らせるが…

不動産投資の初期費用を減らそうとすると、ワンルームマンション投資が選択肢になります。ワンルームマンションであれば物件の価格が低いため自己資金を減らせるというものです。

ですが、ワンルームマンション投資はオススメではありません。頭金は少なくても利益が出にくく、赤字になって手出しが発生することもあります

詳細はこちらの記事をご覧ください。


4.初期費用だけじゃない!運用時にかかる費用   

不動産投資においては初期費用だけではなく運営時にもいくつかの費用が掛かります。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 物件の修繕費
  • 退去が発生した際の原状回復費
  • 入居付けを行うための広告費

仮に初期費用を賄えたとしても、そこで資金が尽きてしまい運用中のお金を用意できなければ、急な出費に対応できません。初期費用に加えて余裕資金をいくつか持ったうえで物件購入を進めることをオススメします。


5.おわりに

ここまで不動産投資をはじめるにあたりかかる初期費用をお伝えしました。不動産投資は最初にある程度の費用を支払う必要がありますが、その後は自分で何もしなくても家賃収入という不労所得を得ることができます。

不動産投資でかかる初期費用を考慮して、不動産投資を始めてみてくださいね。

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