2020年8月24日
専務 太田の物件の行方!!⑬ ~界壁のはなし~
新築
界壁といえばレオP問題が思い浮かびます。レオP問題では多くの入居者さまが引っ越しを余儀なくされ、オーナーさまも大きな損害を受けるという社会的影響の大きな事件となりました。
私としては工事中に誰からもオカシイ??と声があがらなかったのか???が大きな問題であるとするべきで、働く職方の知識やチェックする側がちゃんと検査や指導をしていればこのような問題は発生しなかったと考えています。
確かに「設計図書」通りに造るのは当たり前なのですが、それでも常識的に考えてオカシイ部分については工事を止めて「設計図書」を変更してでも正すべきだと考えます。
さて造作工事が進んでいます。各階ごとに別々の大工さんに仕上げてもらいますので、同じ間取りで違う納まりにならないよう細かく打合せして共通認識をもつことが重要になります。基本的には3階担当のM大工さん(藤村俊二似のため以下おヒョイさん)がまとめ役にとなっているため周知、連絡を1本化することにします。
現場へ到着しました。3階天井の下地が組まれていて断熱材がすでに敷き込みされています。ここはおヒョイさんの造作範囲です。
おヒョイさんの脚立を借りて断熱材をめくり天井裏を覗きこみます。ここでのポイントは界壁の施工状況を確認することです。
界壁の状況です。軒裏までスキマなく施工してあります。界壁には石膏ボードが貼ってあるのですが、12.5mmのボードを2重貼りしています。これはその界壁に求められている「防火性能」と「遮音性能」を確保するために決められているのです。
おヒョイさん:「そんなに細かくみなくてもちゃんと貼ってあるよ!!!」ワカッテマスって!おヒョイさん・・・疑うわけではないのですが・・・ちゃんとできているか確認するのがワタシの仕事なので・・・・。
つづいて2階と1階の天井裏を確認します。
問題なく施工されています。こちらは脚立がなくても目視で確認することができました。
前にも同じようなコトを言いましたが・・・
「見えなくなる所こそ丁寧に仕事しているかが重要なのです!!!!」
見えるところに不備があったとしても、それは手直しすることができるワケで、見えないところを丁寧に仕事する職人さんは見えるところも丁寧に仕事をするものなのです。もちろん見えるところすら雑なのは論外ですが・・・。
前回、FRP防水をしていたベランダです。サッシとシャッターが取り付けされています。
いよいよ工事も大詰めを迎えることになります。
【オマケ】
界壁とは長屋や共同住宅でみられ各住戸の間を区切る壁のことを指しているのですが、この壁が「小屋裏または天井裏に到達しているか否か」がポイントとなっていました。昨年6月に建築基準法が改正され「界壁規制の合理化」の条件を満たす場合は「小屋裏または天井裏に到達しなくてもよい」ことになりました。
共同住宅等の界壁に関する基準の合理化(法第30条及び令第114条関係)
1 長屋又は共同住宅の界壁(法第30条及び令第22条の3関係) 従来、長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、一定の遮音性能を有するものとし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならないこととされてきたところ、長屋又は 共同住宅の天井の構造が、界壁と同等の遮音性能を有するものとした場合には、当該長屋又は共同住宅の各戸の界壁を小屋裏等に達するものとしなくてもよいこととした。
2 共同住宅等の界壁の代替措置(令第114条第1項関係) 従来、長屋又は共同住宅の各戸の界壁は準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達 せしめなければならないこととされてきたところ、法第30条の改正により、天井の構造が一定の遮音性能を満たしているものについては、界壁を小屋裏等に達するものとしなくてもよいこととしたことを踏まえ、自動スプリンクラー設備等設置部分とすること及び天井を強化天井とすることに関する技術的基準について、令第114第2項の防火上主要な間仕切壁と同様の基準を位置付けることとした。